愛と情熱の革命戦記

猫々左翼の闘争日誌

Ya Basta !(もうたくさんだ!) 

2008年07月20日 13時18分20秒 | 農業・食糧問題
Ya Basta !(もうたくさんだ!) 


 1993年12月サパティスタ民族解放軍は、ラカンドン密林宣言を発表して翌年元旦武装蜂起をした。

 サパティスタ民族解放軍は、主としてマヤ系先住民族から構成されている。メキシコにおいても、先住民は500年前にスペイン人に征服されてから、土地を奪われて密林において細々と農業を営んできた。スペインから独立した後も、スペイン系の白人の収奪を受けて貧しい生活を強いられてきた。

 1994年は、メキシコとアメリカとの自由貿易協定が発効する年だった。マヤの農民たちがゲリラ組織をつくってまで武装蜂起をしたのは、この協定によって自分たちの未来の生活まで破壊されると考えたからだ。実際、自由貿易協定が発効されてからメキシコにはアメリカからの"安い"トウモロコシが流入して少なくない農民がトウモロコシ栽培を続けられなくなり、農地を売却して廃業せざるを得ない境遇に追い込まれた。農地を失った農民たちは、都市においてホームレスになるかアメリカに不法入国した。アメリカにおいても不法入国であるがゆえに安い賃金に甘んじざるを得なかった。
 自由貿易協定の被害を受けたのは、農民だけでない。都市に住む人々にも被害が及んだ。メキシコの人々にとってトウモロコシは主食である。これは、日本人にとっての米と同じである。なぜ、メキシコにおいてアメリカ産のトウモロコシの値段がメキシコ産のトウモロコシの市場価格より安いのか。それは、アメリカ政府が輸出用の農産物に対して補助金を出すからだ。だから、"安い"トウモロコシがメキシコに流入したというわけだ。これは、なにを意味するのか。メキシコの人々にとって。

これは、主食が外国(アメリカ)にのっとられたということだ。

"反米大陸"(集英社新書)の著者である伊藤千尋氏は、語っている。
 日本では、自由貿易の推進が当然のようにいわれるが、事実を見て考え直したほうがいい。一部の工業はそれで利を得るだろうが、見返りとして日本の農業は破滅しかねない。アメリカは、他国の政府には、農民にお金を出すなと言いながら自分の国ではちゃっかり補助金を出しているのだ。アメリカの言う自由とは「アメリカの、アメリカによる、アメリカのための」自由であって、他の国を不自由にするものである。

 現在、日本の食料自給率は由々しきことに40%を割り込んでいる。米は、かろうじてまだ 100%自給できる状態であるがそのほかの食品に関して言えば、例えばスーパーの冷凍食品のコーナーに行けば、アメリカ産のトウモロコシなどが使用されている"ミックスベジタブル"などがあふれている。すでに、私たち日本人は、外国から海を渡ってきてどのような農薬(ポストハーベスト)などが使われているか分からないような"怪しくも毒々しい"食料品を買わざるを得なくなっている。

 
 私がここでサパティスタ民族解放軍の戦いを紹介しながら農業・食糧問題に関して思うところを書いているのは、皆さんに武装蜂起を訴えているのではない。ラテンアメリカの状況を人事ではなくまさに日本のことそのものと受け取って欲しい、これが私の願うことである。

日本共産党中央委員会は、農業政策について"日本共産党の農業再生プラン"を提起している。できるだけ多くの人々に、日本における農業や食糧の問題を理解していただき、これからの日本のこと、食の安全に関してともに考えていただきたいと、私は願う。バターが店から姿を消して久しい状況に見られるように、農業の再生は私たちが飢えて死なないためにとても重要である。

追伸
 写真の中央に写っているのがサパティスタ民族解放軍のリーダーでありスポークスマンであるマルコス副司令官である。なぜ彼が副司令官という肩書きなのか。それは、真の司令官は先住民である、という彼自身の信念による。写真を見てお分かりかと思うがマルコス副司令官は、先住民ではない。スペイン系の白人であるかメスティソである。


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