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身近な生き物:数万の平等な社会

2022-06-29 06:29:29 | 日記
揺らめく路面

 強い日差しを浴びたアスファルトが煮え立ちそう。
そのせいなのか路面にうっすらと筋が見え、何だか僅かに揺らめいた感じ。
もしかして私の頭は熱中症の一歩手前?
 訝りながら近づくと、思ったよりも筋は長いものでした。
路面よりも少し濃い色をして足元から南の方角に伸びています。
 目を凝らすとそれは驚いたことに生きていました。
2mm程の薄茶色をした無数のアリが筋の中で蠢いているのが見えたのです。

 アリが隊列を組んで移動するのは珍しい光景ではありません。
甘い物などに向かう流れと、虫の死骸などをくわえて巣に戻る流れが整然
と続きます。
 ところが今目にしているのは少し変わった光景。
アリの流れが一方通行なのです。
 流れの先がどうなっているのか気になって、しゃがみこんで追跡を
始めました。
アスファルト路面を横切って南に舵をとる筋は、その先の生け垣の中に
消えていました。 
 ならば反対側はどうなっているかとUターン。
筋を遡ると道路の反対側に向かい、そこにある石垣に辿り着きました。

 目を凝らすと筋は石垣の一番下に沿ってまだまだ続いています。
更に数メートル進むと唐突に石垣の割れ目の中に筋が入り込み、アリの隊列
はこの中から湧きだしていました。
 生け垣からここまでおよそ50歩です。
成人の歩幅は約70センチと言いますから距離にすると35メートル。
 幅2cmの筋の長さ10cmに該当する部分にいるアリはざっと見て60匹。
すると隊列全体では少なくとも2万を越えるアリがいることになります。
 このアリの正体は、そして謎の行動の目的は?
答えを知りたいものです。

たったの2種類

 正体は「アミメアリ」
<2.5mm程の大きさで腹部が黒褐色でその他は赤褐色。
他のアリに比べて腹部が丸い。>(ants base label より)
頭部に網目上の模様があることからこの名になったそう。
 おもしろいのはその生態です。
このアリには女王がいない。
決まった巣が無い。
雄アリもいない。
ないないズクしなのです。

 <女王がいないため成虫になってあまり年齢を経ない若い働きアリが
少数ずつ産卵をする。>(Wikipedia より)
 <決まった巣を持たず石や倒木の下に野営し、頻繁に場所を変える。
移動は出発点も終着点も分からず、3時間観察しても途切れない。
大きなコロニーでは数十万匹もの個体がいる。>(泉の森 より)
 <単為生殖なので雄はいない。
こんな性質は1万数千種のアリの中でたった2種類だけ。>(academist journal より)
 不思議なアリに遭遇したものです。
でも考えてみればアリ自体が不思議な存在。
何故あれ程小さなナリをしているのか、もしも尋ねられても答えられません。
 <小さければ食料が少量で済む。
卵から成虫まで日数が掛からない。
狭い場所でも巣を作れる。
だからアリは小さい。>(キッズネット より)
 その小さな体の中で、どうやって平等な社会を育む意識を生み出したのか、
そこも知りたいものです。

 
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