Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

フランスのファーストレディ

2013-06-09 10:13:22 | 私の日々
授業が終わって教室から出てくると外の様子が物々しい。
そこかしこに黒服の男性、女性も立っている。

校内のカフェで働く女性に「なに?」と聞くと困った表情。
フロントで聞くと「要人が到着するので。」と言葉を濁す。
今までファニー・アルダンやメルビル・プポー、
フランス大使や仏外務大臣の来日の時はオープンに話してくれたスタッフが口を閉ざす。

顔見知りの教師と会ったので「何が始まるの?」と尋ねると、
「オランド大統領の奥さんが来るんだよ。
("femme"という言葉を彼は使った。これは妻だけでなく女性一般の意もあり)
最初は授業参観もあるって聞いてたんで、自分の授業にあたるかと思ったりで。
結局、学長に会ってその後は東北の支援をしている担当者とかとのランチに決まった。
もうすぐ来るから見てれば?
明日も二人で来るからそのために休校になるレッスンもあるんだ。
明日は大統領のスピーチと日本の若者達とのディスカッションがある。」

外に出て校舎とブックストアの間にあるパティオのベンチに座る。
SPらしき人たちに話しかける人もいて、校内とは違い案外気軽に質問に応じている。
「フラッシュをたかなければ写真も大丈夫ですよ。
コースとしては正面から入り、裏口から出てブラッセリーへ行き、
お食事をされて、ここから出てこられます。」

まもなくインカムを付けていた人が「飯田橋を通過されました。」
と周囲に告げ、SP達、迎える人たちも準備態勢に入る。

白バイがまず二台、それに続くパトカーが一台。
その後に黒い大き目の車が到着した。
車種不明、近くにいた人が「菊の紋章が入っている。皇室の車よ。」
と教えてくれる。

10人位の人に囲まれて登場したヴァレリー・トリエルヴェレール(Valérie Trierweiler)
スタイルが良くて綺麗な人だ。
私の左手の駐車スペースに停まった車からさっと出て、
正面の入口から入っていく。
目の前を通ったのは一瞬の出来事で携帯のカメラを構えて覗き込んでいたばかりに、
実際の本人の姿や周りの雰囲気を感じ取り損なった。

その後、裏口からブラッセリーへと向かう時にもう一度前を通っていく。
フランス語で掛け声を掛けた男性がいて、ヴァレリーは微笑み返す。
ブラッセリーではオープンエアの席の端でランチミーティング。
普通に一般客の間に交じって食事している様子が見える。
和やかな雰囲気と共にそのオープンさ加減に驚く。

そのまま撮った写真をフェイスブックにアップすると、
早速フランス人の友人二人からコメントが付いた。
二人共「大統領のパートナー」「ファーストレディー」という表現をしていた。
大統領の経歴を読むと前のパートナーの女性とは事実婚、
今回のヴァレリーとは民事連帯契約とある。

事実婚と民事連帯契約との違いとは何か、気になって調べてみた。
民事連帯契約(PACS)が成立したのは1999年。
最初はゲイのカップルの権利を認めるためだったこの制度が今では異性間のカップルにも浸透。
結婚、離婚の手続きがややこしいフランスでこのあり方を選択する人が多いとある。
要するに前のパートナーの時はこの制度がなかったゆえに「事実婚」
今回のヴァレリーに関してはこの「民事連帯契約」の成立後なのでこちら、
というわけのようだ。

日本で国賓として迎えるにあたって婚姻上の妻でない女性をどう扱うのかが協議されたそうだ。
他国を訪問した時にファーストレディーとして扱った例を基にそれに準じたとある。

ところでヴァレリーのフランスでの評判はどうなのだろうか。
もし人気があれば私の写真にコメントをくれた二人、
親しみを込めて「ヴァレリー」と呼んだのでは?
何となくフランス人の女性には好かれてないのかなと。

後から良く写真を見ると細くてかなり高めのヒール、
黒で白の襟付きのスーツ、これはシャネルだろうか。
やはり時の人、特有の華やいだオーラがある。
フランスの友人たちも生で見たことのないファーストレディーを
たまたま間近に見ることができてちょっと得した気分だった。


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