Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

ポートモレスビー

2011-08-23 08:41:57 | パプアニューギニアへの旅
10時にRがホテルに迎えに来てくれた。
一つ年上の従兄で大学でも先輩だったというCも一緒だ。

まず国会議事堂へと向かう。
最初にやはりゲートがある。
しかし余りきちんとしたチェックはしていない。
車を停めて、議事堂の前に行く。

外を見るだけかと皆思っていたのだが、
中から出てくる人がいる。
「入っていいんですか?」と聞くと、ドアを開けてくれる。
受け付けがあり、名前を記帳。
最後に感想も書いて欲しいとのこと。

受け付けにいた三人の女性の内の一人が「どこから来たのですか?
初めてですか?案内しましょうか?」
と声を掛けてくれる。
早速案内をお願いすることにする。
外にいたRにも声を掛けて中へと呼ぶ。

内部にはパプアニューギニア歴代の首相の写真が飾られている。
初期には首相とは言わずに"Speaker"と呼ばれたそうだ。
またPNGの風物、珍しい蝶の標本なども置かれている。
議事堂の内部、国会が行なわれるホールも見せてもらった。
天井や壁にはモザイクや木彫りの彫刻があり、首相の座る椅子はひと際立派だ。
国会議員の座る席、書記や傍聴人の座る席がある。
与党と野党と席が分かれている。

内部の構造がわかるようになった模型が展示されていた。
その中には国会議員一人一人のオフィスもある。
「今度、来る時にはあなたのオフィスを訪ねるからね。」とRに言うと笑っている。

内部は撮影禁止とのことだったので、外に出て全員で記念撮影をする。
余りののどかな様子に、いったいここのどこが危険だと言われているのか、
なぜ強盗が起きているのか、その時は理解できなかった。

その後、PNG大学へと行く。
ここにもゲートがあり、守衛が待機していて門を開けてくれる。
二人がかつて住んでいて今は使われていない寮
(二人ともポートモレスビーから飛行機で一時間ほどのハイランド出身)
現在の男子寮、女子寮、図書館。
校内はびっくりするほど広い。
車なしに移動するのはたいへんそうだ。
男性が二人手を繋いで仲良く歩いていた。
Rが「あれはね、この国では男同士でも親しみを込めてやることなんだ。
ゲイではないんだよね。」と説明してくれる。

動植物園の前で車を停める。
ここの前でも事件が起きたと聞いていたが、確かに怪しげな人が前にいる。
しかし私達の目には危ない人とそうでない人の区別が良くわからない。

動植物園で最も面白かったのは圧倒的に鳥類だった。
見たこともない華やかな鳥達、木の実を取って観覧者にプレゼントしてくれる鳥までいる。

ところが、ここでグレーのペンキが塗りたてなのに何も案内がでていなくて、
RのTシャツとズボン、持っていたキーホルダーや手に付いてしまう。
Rは「ペンキ塗りたてなら、そういう立て札とか書いておけばよい物を・・・」
と日本語で呟いている。
その後、係員にも注意をすると早速手書きの立て札が置かれる。
この辺が日本と違ってかなりアバウトだと思った。
持っていたウェットティシューを出して渡したが、手に付いたペンキも洋服も落ちない。
作業小屋の前を通りかかったので、作業員を呼んで、
「友達にペンキが付いちゃったんだけど、シンナーとか落とす薬品はないの?」と聞くと、
缶を出して来てくれる。
手とズボンのペンキは落ちたが、Tシャツは残念ながら落ちなかった。

Rと夫がその直後に煙草を吸おうとするので「引火するかもしれないよ。」と心配したが、
「ガソリンみたいな匂いになった。」と言いながらも二人は煙草を吸いだした。
Rは私が渡したウェットティッシュも煙草の吸殻もごみ箱を見つけるまで持ち歩いている。
夫が捨てようとした吸殻も預かっている。
その辺がすごくきちんとしていることに感心する。

大学を後にして野菜の市場へと向かう。
この時ばかりはRとC、二人とも険しい表情になる。
車の中に荷物を残さないように、バッグは前にたすき掛けにして、
自分達から離れないようにと言われる。
Rが前を歩き、その後ろに夫、私、Cが後ろにピッタリと付いてくれていた。

地面に座り、裸の子供と一緒に陽のあたる中、
笑顔で野菜を売っている女性がいる。
様々な種類のバナナ、サトウキビ、グァバ、日本にない種類の芋類。

ココナッツの実の上をナイフで切ったものをRが買ってくれる。
さっぱりとした味で喉の渇きが癒える。
たっぷり入っているので、最初に私が飲み、次が夫、RとCも引き続き廻し飲み。
まるでお茶のお手前のようで笑える。

突然、Rに話しかけてきた人がいる。
その人は買い物した荷物を全部持ってくれて、買い出しを手伝ってくれる。
Rが選挙に出た地方出身の住民だそうだ。
RはPNGにある一つの部族の酋長の家系なので、
同じ地方出身の人には知られている存在らしい。

車に戻ると市場の入り口は大勢の人がいて中々進めない。
Rから「みんな、いい人ばかりなんだ。
でも悪い人が一人か二人いて、弱そうな人を狙う。」
「それは観光客を狙うのね?」と言うと、
「そうとは限らない。老人だったり子供連れの人だったり。
だから注意しなければならないんだけどね。」

この話を聞いた時、なぜRがCを連れて来てくれたかが良くわかった。
危険な場所でも現地の男性が二人ついていてくれれば狙われないからだ。

Rがポートモレスビー滞在中にお世話になっているという家へと向かう。
ご主人は船の船長で留守にしている。
奥さんと娘3人、一人の息子、娘婿二人と孫が同居している。
「健一郎」と名付けれてた孫息子が無邪気で可愛い。
家の周りは鉄の柵で覆われていて、柵の上にはギザギザの針金がぐるぐる巻きだ。
チェーンで厳重に閉められている門を開けてくれて車を入れて門を閉める。

庭には鶏がたくさんペットのように飼われている。
裏庭には動物園にいたようなきれいな鳥もいる。
庭の林檎をもいで食べさせてくれた。
バナナやライムの木もある。

庭の一角でバーベキューのような炉がある。
そこに薪をくべ、丸い大きな石を熱し始めた。
大きな鍋やたらいが用意されている。
石が熱くなるのを待つ間、近くのスーパーに飲み物を買いに徒歩で出かける。
ここでもRに声を掛けてきた人がいて、買い物の荷物を持ち、
お店の人に頼んでくれたり、必要な買い物を手伝ってくれる。

道に赤い染みがところどころにあるのをRが指差す。
「口が赤い人、歯が赤く染まっている人に気付かなかった?」と聞かれるが、
全然、覚えがない。
ビートルナッツというのを噛みながら、石灰を付けたマスタードの実をかじる。
すると化学変化を起こして色が赤くなる。
その汁を吐き出す。
カフェインをたくさん取ったようなハイな気分になるそうだが、
Rはそれが嫌いだと言う。
中にはやり過ぎて歯が赤く染まってしまい落ちない人もいるそうだ。
その後、気を付けて見ているとたくさん口の周りを赤くしている人がいる。

歩きながらRは前にいる人を指差して「ああいう人はドラック付けで危ないんだよ。」
と教えてくれるが、私にはやはり危ない人とそうでない人の区別がつかない。
家に戻ると石がちょうど良いあんばいに焼けていた。

まずココナッツを割る。
その真ん中をこそげとるような大根おろしのような道具でココナッツを削って行く。
少しやらせてもらったが、慣れないと決して簡単ではない。
最後に手についたココナッツは手足に摺り込む。
天然のオイルだからと。

4つのココナッツを摩り下ろすと、今度はこれを手で笊をのせたボールの上で絞る。
オイリーにしたかったらぎゅっと、そうでなければさっと絞るそうだ。

このココナッツを少し水で薄める。
そこにニンニクとショウガのすりおろしも入れる。
この鍋を炉の近くに置き、まず熱々の石を炉から取り出し、水を張ったボールで洗う。
そして鍋に入れると一気に沸騰する。
一度、蓋を閉める。

そこに鶏肉、バナナ、芋類などを入れる。
そしてまた熱い石を足す。
庭に生えているバナナの枝を切る。
これを洗ってたたみ、鍋の上を覆い、更に蓋をして重しのレンガを置く。

次にトマト、玉ねぎ、青唐辛子などを刻んだものと、
チキンスープの素、空心采あるいは明日葉のような野菜と
摘み菜のような野菜をたっぷり、どんどん押しこむ。
石も足す。
そしてまたバナナの皮、蓋をして重石。
良い香りが立ち昇って来た。

学校に行っていた末娘と末息子が帰ってくるが、制服も可愛らしく二人とも初々しい。
できあがった料理、鶏肉、芋類とバナナ、青菜をそれぞれ別に盛り付け、
炊きたてのご飯も用意された。

皆で遅い昼食になる。
本物のココナッツを使った料理、パウダーや缶詰と違い、目から鱗の美味しさ。
今まで食べていたアジアンフード、
日本料理で例えれば、鰹節や昆布で出汁を取ったものではなく、出汁の素を使った料理だったことになる。

食事の後で先ほどの道端の人達がかじっていたビートルナッツをやってみないかということになり、
これがとんでもないことになってしまった。


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