Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

Eric Benet 5/16 2014 @ Yokota Air Base

2014-05-21 19:43:19 | エリックべネイ2014年来日
新宿の待ち合わせは6時半。
そこから中央線で立川、青梅線で福生へと向かう。
8時過ぎには横田基地に着いている予定。
エリックべネイ、この日の出番は9時半。

事前にパスポートか、免許証+そのピンコードが必要なことは教えて貰っていた。
ピンコードがどうも思い出せないと伝えるとそれなら必ずパスポートをと念を押されていた。
下りの中央線、混雑が不安などと話しながら乗り込み、
立川で乗り換えて青梅線では座ることもでき、一段落した時に私は突然気づいた。
「パスポートを忘れた!」
私以上にご一緒したお二人の方がよっぽど気が動転したと思う。
ここまで来て入れなくなる可能性が高くなってきたから。

Mちゃんが「ピンコードは三回までトライできる。
3回間違えるとロックされてしまう。
ピンコードを間違えた場合を考えて、
三通りの組み合わせを今から考えておいた方がいい。
4桁の数字の繰り返しの可能性が高いと思う。」
Yさんから「免許証の更新をしたのはいつ?
その時の状況からどういう数字にしたのか思い当たらない?」
それぞれが親身になってアドバイスしてくれる。

福生の駅から横田基地まで向かう私の心中はもう暗澹たるものだった。
しかしその中でここで帰ることになるのだったら、それも運命のめぐり合わせ、
きっと仕方がないことなのかもしれないなどと思い直していた。
こうやってエリックべネイに向けて心を一つにできる仲間たちと会えて、
横田まで一緒に来れた、それだけで充分満足しようと自分を納得させつつ、
どうか物事が巧く運んでほしいと祈りに近い気持ちでいた。

免許証だけでピンコードのチェックがないことを願いつつ、
ゲートでチェックインの手続きを待つ。
やはりピンコードは必要になる。
一度目、失敗。
二度目、やはり違っていた。
基地の職員から「後一度間違えたら、入れない。」と告げられる。
Yさんが私のパスポートの番号は控えてあると伝える。
私も何とか救い上げてくれる方法はないのかと尋ねるが、
はっきりと拒絶された。

皆にゆっくり考えるようにと言われて、他の人達を先にしてもらう。
Mちゃんが「たぶん4桁の数字の繰り返しだと思う。」
と耳元で言ってくれているのが遠くに聞こえる。
まるで深い霧の中に一人佇んでいるようだ。
意を決して4桁の数字の繰り返しを2回押し、エンターキーを押す。
手は震えている。
職員から「大丈夫です。」と告げられた時にはもう"Almost Paradise"
(5/28に日本先行発売されるEric Benet"From E to U"のシングルカット曲)
天にも昇る気持ちだった。

Mちゃん、Yさん、Jさんと歓声を上げてハグ。
皆さん、ほんとうにごめんなさい、いろいろと心配をかけてしまって。
こういう時って本人以上に周りの人は気を使うと思う。
皆が一緒に祈ってくれたお蔭です。

その後、基地の中のクラブへと向かいつつ、
要所で記念撮影をしてるが、私の笑顔はもう完璧に突き抜けて
別世界に行ってしまっている。
たいへんな難関を突破することができただけに喜びも格別だ。
基地の中へとエスコートしてくれた関係者に"You got lucky"と言われる。
そう、今年の私の合言葉は"Get Lucky"だった。

クラブの中に入る時にチケットを手渡すと引き換えに入場のバングルをしてくれる。
中に入ると席は一見空いてるように見えたが、
近くに行って座ろうとすると「友達の分の席取りをしている。」と言われて、
ようやくたどり着いた席は中央でも最も後方。

一人のアフリカ系アメリカ人女性が相席させてくれないかと言って來る。
待ち時間に彼女に「エリックべネイのファンなの?」と聞くと、
「そうねぇ、2009年に彼がここに来た時も観たけどね。
あなたはファンなの?」と聞かれるので持っていた『True Eric Benet Fans』
と書かれエリックの顔がプリントされたバッグとそこにしてもらったサインを見せる。
「東京のショウも観たの?」と聞かれるので「うん、3回。」と言うと驚かれる。
「ニューオリンズにも観に行ったのよ。」と言うと倒れんばかりにのけぞってる。



彼女の友達の女性がやってきて話し始める。
そして私に「ねぇ、あのバッグ見せてあげて?」と言うので見せると
やたら受けて笑われる。
次にやってきた彼女の男性の友達にも「あれ、見せて!」と言われる。
彼はおやおやといった表情で苦笑いしているので
「あなたはハリー・ベリーのファンなの?」
と聞くと「そういうわけじゃないけどね。」
彼女はその後も「ねぇ、あなたのバッグちょっと貸して。」と言うので渡すと、
別の席に持って行ってそこに座っている友人たちに
「私と同じテーブルの人達はエリックの大ファン、凄いのよ!」と見せて、
笑いを取っている。

ちょっと複雑な想いが沸いてくる。
Yさんに「エリックのファンってそんなに珍しいの?
何か変なのかなぁ?」と聞くと「これだけのファンが来てるって受けてる、
それだけのことよ。」と慰められる。

前座のバンドのパーフォーマンスが始まった。
日本で活躍する知ってる顔ぶれ、フィリップ・ウーなどもいる。
時間は10時を回った。
一瞬暗くなると共にエリック・べネイの登場。

この辺りで私たちは席から前に作られたスタンディングのスペースへと
突進する。
この時、Jさんは同席の女性に「私達のバッグ、見ていてくれる?」
と頼んでくれた。
彼女は責任を持ってずっとその役目を果たしてくれた。

歓声と共に迎えられたエリック、「皆、どこの出身?
西部?南部、中西部、東部、それとも?
ミルウォーキー、ウィスコンシン(エリックの出身地)の人もいる?」
地名にまつわるジョークも続く。

セットリストはほぼブルーノート東京と同じだが、
"Almost Paradise"はなく、しかしながらずっと聴きたかった曲"I Wanna Be Loved"
を聴くことができた。
場内は撮影自由。
エリックは最前列の人達のカメラ、携帯を取り上げては自分と一緒の写真を撮ってあげている。

そしてファンサービスもたっぷり。
スタンディングの人達の手を取り、跪き歌う。
私にも気づいて手を差し出してくれた。


何だろう、この解放感。
心からエリックべネイのライヴを楽しんでいる。
こんなことは5年振りくらいかもしれない。
この日、私は一つ決めていたことがあった。
これを最後にエリックのライヴを観るのはやめようと。
しかし基地の中でライヴを観る内に自分の中で変わってくる気持ちがあった。
一ファンとしてこれからも見守り続けて行けばいいんだと。


"Sometimes I Cry"を歌う前のエリックと目があった。
「この曲に自分を重ねる人もいるだろうね。」

英語が母国語の人達、エリックの呼びかけに対して言葉が返ってくる、
しかしある意味、この日に基地外から来た日本のファン達の方が、
強烈なファンであることは間違いはない。
エリックもそれをわかっていて日本のファン達がここまで来てくれたのを、
みつけては嬉しそうな表情をする。


ブルーノート東京から名古屋へと行き、そして横田へと来たエリックべネイ。
翌日の早朝には韓国へと立ち、
ソウル・オリンピックパークという大箱でのコンサートを控える。
疲れている中に一つ一つの歌に気持ちを込め、
来てくれているファン一人一人へとコンタクトする。
一生懸命の余り、シャツの片方の襟がベストの中に入ってしまっているのに気付かない。
エリックの声、笑顔、時折に見せる照れた表情、
ステージでの動き、リズムに合わせて踊る様子、
ちょっと天然がかったところ、何もかも大好きだ。



"You're the Only One"を最後にステージを離れたエリックべネイ。
"Georgy Porgy"と共に返ってくる。
場内はほぼスタンディング。
私達にバッグを託された女性が一人でテーブルの横で踊っているのが見える。

終了後、その場を離れて戻ってくると、控室への扉の前で人だかりがしている。
エリックが出てきて写真撮影などに応じていた。
Mちゃんは既に写真を一緒に撮ったそうだ。
Mちゃんはこの日、私達が基地のライヴに行けるようにと、
手を尽くしてくれ、自分がブルーノートで観る分は見送っていた。

私も近寄りエリックに声を掛ける。
その時にエリックが言ってくれたこと、決して忘れない。
ハグしてくれて、今回初めてのカメラ目線の2ショット。
Jさんがすかさず撮ってくれる。

楽屋へと戻っていくエリックを皆で見送る。
この後でご一緒の二人の方、
Jさん、Yさんがエリックとの2ショットを撮ってなかったことを知った。
二人とも「疲れているところを悪いと思ったから。」と。
もう私の役割は終わったけれど、ほんとうのエリックべネイファンの心は、
必ず引き継いでくれる人たちがいると確信したのだった。

I love you, Eric Benet!

True EB fan for life