Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

金子三勇士ホテルオークラ音楽賞受賞 記念演奏会

2011-06-08 00:00:23 | ピアニスト 金子三勇士
画像はホテルオークラが音楽賞受賞者に授与する記念メダル。

昨年末頃にピアニスト金子三勇士、
ホテルオークラ音楽賞の第12回の受賞者に決定したことが発表されていた。
http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/material/pdf/press_release/2010/hot_1217.pdf
この音楽賞はホテルオークラが創業35周年を機に社会貢献事業の一環として、厳選な審査の基、
その年にめざましい活躍をし、将来が有望とされる芸術家に対して授与する権威ある賞。
授賞式と受賞記念コンサートが2011年3月25日に行なわれる予定だったところ、
東日本大震災のため、延期となっていた。

一昨日6月6日午後6時よりホテルオークラ本館5Fロビーにおいて、
改めてこの授賞式と記念演奏会が行なわれた。

昨年2月末のホテルオークラ、ロビーコンサートにおいては多くの聴衆が集まり、
オークラのスタッフ達を驚かせていた。
今回はオークラ音楽賞受賞者としてのコンサートになる。

一曲目はヴァイオリンの受賞者、松田理奈の演奏でイザイ 無伴奏ヴァイオリンソナタ第三番。
松田理奈、素足でステージに上がる。
大地をしっかりと踏みしめるような安定感のある演奏だ。
演奏はロビー2階から聴いていたが、天井高のある木調の空間の隅々まで音が響き渡る。
繊細な曲を充分に昇華して観客達に美しいメロディーを届けた。

続く金子三勇士、曲はリスト ハンガリー狂詩曲第12番、
発売されているCDに入っている第2番ではなく、今回第12回のオークラ音楽賞に選ばれたことにちなみ、
あえて第12番を選んだと後ほどの受賞スピーチで話していた。

5年前に金子三勇士が日本に帰国した直後に出された非売品のCD、
そこにはこの曲が納められている。

「miyuji@piano」
ベートーヴェン ピアノソナタ 作品22 第一楽章
リスト ハンガリー狂詩曲 第12番
バルトーク 2つのルーマニア舞曲より第一番

16才の時の演奏、使われたピアノ、録音環境、
本人はこのCDを今聴いたら納得できないかもしれないが、
ハンガリーでピアノの研鑚に励んできた少年の瑞々しい感性がほとばしる。
iPodでシャッフルにしていてこの3曲がかかると、その独特の響きにはっとするものがある。

ここのところ、このCDを度々聴き込んでいたので、
この日に5年を経た金子三勇士のハンガリー狂詩曲第12番が聴けたのは思いがけないことだった。

昨年の演奏時とは異なり、金子三勇士はスタインウェイアーティストとして認定済なので、
ホテルオークラ所蔵のピアノではなく、
スタインウェイ&サンズが彼のために、Dタイプ、フルコンを用意した。

16才の時と21歳の演奏。
片方はコンサートを録音したCD、そして今回は生。ピアノのタイプも違うはずだ。
演奏はより感情表現豊かにきめ細やかにコントロールされている。
高音と低音のコントラストが鮮やかだ。
男性的で勇壮な演奏へと変化しているのも感じられた。

三曲目は松田理奈と金子三勇士の二人で、サラサーテ ツィゴイネルワイゼン。
リハーサルの時間はそれほど取れなかったはずなのに、ぴったりと息の合った演奏。
ヴァイオリンの音量に合わせてピアノの音をコントロールしているのがわかる。
金子はハンガリー、松田はドイツで音楽を学んできた二人。
哀愁を帯びた調べがホテルのロビーの空気を変えた。
金子の得意とするハンガリーの民族的な調べとサラサーテのこの曲には共通するものがある。

今年はリストイヤー。
リスト生誕200周年の年。
その記念すべき年に栄えある音楽賞の受賞が重なった。