Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

Nik West 2/12 2nd @ Blue Note Tokyo

2014-02-13 15:20:21 | その他のライブ
おもむろにクルー達と登場したかと思うと、ベースを演奏しながら、
後姿を客席に向けつつステージに上り、リズムを刻む。
パープルのトサカのようなヘア、アイシャドーはトサカに合わせて紫、
リップはアイスピンク、ブラックのトップは裾の部分にフリルが入り、
ミニスカートのようにも見える。
ゴールドのタイツにフラットな同色のブーツ。
とにかくカッコイイ。スタイルが抜群、いきなりニックの世界に取り込まれる。
しょっぱなからグッと観客のハートを掴む。

一見したところ、見た目は違うがジョディー・ワトリー、
CHICのフォラミ、そして性格や方向性は全く違うがエンダンビの姿に通じるものがある。
要するにカッコカワイイ女性ということだ。

ニック・ウェストのライヴに行きたいと思ったのは、前日のことだった。
ライヴハウスのスケジュールを先々まで見渡したところで、
観たいアーティストのライヴがほとんどない。
そんな状況の中で断トツでNik Westの存在が輝いて見えた。
映像、エピソードなどを読み、曲を聴き画像を見ている内に行きたい気持ちが募り、
ツイートしたところ、ライヴ仲間の方から「明日、行きますけれど?」
とお返事をいただき、急遽ご一緒させていただくことに。

事前に読んだ本人のFBのページ。
東京に着くまでの珍道中が綴られていた。
まずLAの空港でカルト的な騒動を起こした不審人物がいたためか出発が1時間遅れる。
後30分で着く予定の時に、成田空港が雪のために着陸できないとアナウンスが入り、
更に2時間近く遅れて到着する。
予定よりも3時間遅れで空港に着くとブルーノートのドライバーが出迎えてくれたが、
「雪のために車は途中で置いてきた。」と言われ、荷物と楽器を抱え、
凍てつく寒さと疲れの中、電車と地下鉄を乗り継ぎ、ホテルまでようやくたどり着く。
いやはやたいへんな思いをしたけれど、ステージではぶっ飛ぶわよ!といった内容。
到着してからはツイートも頻繁、私達ファンのツイートもがんがんリツイートしてくれる。

女性のベーシスト、初めて観るが演奏だけでなく歌えるというのが彼女の強み。
セクシーかつ見ていて美しい動き。
ファンキーでありながらクラッシー、品格がある。
動作というよりも所作と言いたくなる無駄のなさ。
アドリブと計算している部分とのミックス感が良い。
イナバウアーあり開脚あり、ステージに寝てベースを唸らせたりで飽きさせない。

固めるバンドも強力だ。
David Schulz(key)
Hubie Wang(g)
Brittany Maccarello(ds)

ここにゲストでMaxayn Lewis、マクサンがボーカルとして登場した。
「私を呼んでくれてありがとう。」と言うマクサンに
「来てくれてありがとう。」と答えるニック。
「こういう若い人が頑張っている姿を見られるのは嬉しい。
今日来た観客の皆さんも彼女がこれからずっと有名になった時に、
『私達は初期の頃から知っている』と言えるわよ。」

マクサンの歌を骨太に支えながらも自分らしさもしっかりとアピールするニック。
マクサンを立てつつ、彼女が話し終わるや否や、いきなりベースで突っ込んだところ、
ここの部分のテンポ感が堪らなかった。

MCもたっぷりあったが、"Black Beauty"の説明の中で、
これはメーカーがこの名前のベースを出したことにちなみ作った曲だが、
自分はブラックガール、そして見た目もこんな感じ、でも自分は自分でいい、
そんな想いを曲にしたと話してくれた。

プリンスとの出会いの部分の語りが面白かった。
夢の中にプリンスが出てきて二人でバスケットボールをする。
「そんなシュートじゃだめだ。」とプリンスに言われて見ると、
バスケットボールではなくベースをプリンスが持っている。
自分の夢はかつても暗示的なことが示された経験があるので、
慌ててプリンスの映像を見たり、曲を聴いたりしている。
すると何通ものメールや電話が掛かってくる。
遅い時間なのにと思いつつ、電話に出るとそれはプリンス本人からで、
彼女と共演したいという申し出だった。
ニックの友人のドラマーから連絡先を聞いたとのこと。

そして翌日、プリンスのスタジオに行くことになる。
弾いてみるように言われたが緊張の余り良い演奏ができない。
何しろすぐ後ろにプリンスがいて見てるのだから。

するとプリンス、「どうしたんだ、ニック。
君のyoutubeは観ている。ああいう風にやってくれ。
自分が自信を持って納得できる演奏をしなければ周りにも伝わらないよ。」
そして「こんな感じに演るといい。」とニックのベースを持って見本を示し始める。
この辺りをすべてニックは一人芝居で見せてくれるのだが、
プリンスとのやり取り、自分の固まってしまった時の演奏とプリンスの見せた演奏。
目の前でドラマを見ているようだ。
その都度、彼女は自分の心の中の気持ちも言葉にする。
「うそ、プリンスが私の映像を見ていてくれたなんて!」
プリンスからベースを返された時「わっ、私のベースをプリンスが弾いた!」

客席から「ほんとの話なんだね?」と掛け声が掛かる。
「そう、トゥルーストーリーよ。」と頷くニック。
1年半前位とニックは話していた。
彼女の観客を取り込む動作の数々、ベースのインパクトは
プリンスと共演したことで磨かれた部分もあるのかもしれないと思わされる。

youtubeに映像を挙げ、そこからフェンダーに見出され、
プリンスとの出会いもありで、
短期間の内に一気に表舞台へと飛び込んできた印象があるが、
子供の頃からずっと演奏活動は続けて来ている。

ほんとうのファンクとは、というところからスライの"Thank You"
THANK YOU FOR LETTING ME BE MYSELF/WE WANT THE FUNK/LET'S WORK
と続く流れが超絶ファンキー。

最後は「皆、私がファンキーだと思ったら立ち上がって。」
私は三人目くらいに立ってしまったが周りのファンク通の方は中々厳しい。
「まだだめなの?」とニックのベースは更に勢いを増す。
最後には全員が立ち上がった。

終了後のサイン会、間近で見るとほんとうにまだ若いということがわかる。
初来日、観客に暖かく受け入れられたことを素直に喜ぶ姿が可愛い。
「素晴らしかった。既に次回を楽しみにしている。」と伝えると
「今度は暖かい時にね。」とウィンク。
最後は楽屋へと戻るところまで見送ることになり「また来てね!」と声を掛けると、
戻って振り向き笑顔を見せてくれた。


今日の日中、彼女のアルバムを室内で大きめの音で掛けてみた。
決して柔な家ではないと思いたいが、ベース音に壁が振動する。
昨夜の感動が甦る。
我らがエリックべネイとニックウェストが共演する姿の妄想をする。
その気持ちを思わずツイートすると成田でボーディング寸前のニックが
早速リツイートしてくれていた。
今のエリックの傾向とは違い似合わないことは重々わかってはいるのだが。

「ニック・ウェストの日々」
http://blog.goo.ne.jp/ak-tebf/d/20140217