行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

続ポルトガル余話

2015-11-12 23:47:10 | Weblog

日本にキリスト教が、イエズス会により布教された天正年間、大友宗麟などキリシタン大名の肝いりで伊藤マンショを団長に4人の少年使節団が1582年ローマに向かった。長崎を発ち当時欧州最大の港リスボンにつくまで2年6ヶ月も掛かった。ポルトガル、スペイン、イタリアへ向かう間、各地で熱狂的な歓迎を受けたそうだが、8年後帰国してからは秀吉によるキリシタン禁止令により悲惨な運命が待っていた。

さて、現在のポルトガルだが、政治は揺れている。長期政権であった社会民主党はEUに大きな借金をつくり、ギリシャと並んで危機をむかえ、懸命の緊縮策で何とか破綻を免れた状態だ。最近の選挙で国民はこの緊縮政策にノーを突きつけ、過半数の議席を取れず、社会党を中心とする左派連合政権が今まさに模索されている。しかし、この国の高速道路などインフラはEUのおかげで充実している。ただ財政赤字を生み出し、財政は貸し主EUの監督下だし、軍隊はNATOに依存、ポルトガル語だけが残っているという嘆きも聞こえる。左派連合政権がEU離脱をやろうとしても伝統的な盟友英国のバックがなければ難しいだろう。

最後にポルトガルワインだが、リスボンについてランチで飲んだのが地酒グリーンワイン(現地語ヴィーニョ・ヴェルデ)、完熟する前の葡萄で創るワインで初めて飲んだ。赤白有るが白を選択、若いワインだけあってやや発泡性ですっきりしてシャルドネ風味だ。日本でよく飲むマテウス・ロゼは避け、地元ワインの赤を飲んだがもう一つだった。名産のポートワインはサンデマン酒造により試飲、赤白ともに素晴らしかった。この創業者サンデマンは英国人で、ワインのうるさ型上得意英国人が乗り込んで自ら生産を始めた歴史だ。これまたポルトガル得意の外国人利用だ。

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ポルトガル余話

2015-11-10 22:27:51 | Weblog

大航海時代の遺産はこの国に多くの観光客を呼ぶ、人口1060万人の国に年間 1700万人の観光客が来る。自動車と並ぶ大産業で雇用を生んでいる。ディナーに出た鰯の炭火焼き、蛸のリゾット、烏賊とベーコンの串焼きなど日本人の口に合う。元祖カステラとかお市の方が食べたであろう金平糖(こちらではコンヘイトウ)など南蛮貿易のルーツもあり、日本人には他の国とは違う味もある。

ポルトガルを代表する菓子にエッグタルトがあるが、その他にもプリンのような黄身を使う菓子が多く白身はどうするのかと思っていた。ところが逆で、いたるところにある修道院の僧服の糊付けに卵白を大量に使い黄身は棄てていた。それを利用して菓子作りを始めたとのこと。

修道院と言えば、絢爛豪華なジェロニモス修道院から殆んど飾りのない質素なシトー派アルコバサ修道院まで本当に各種あるというかんじだ。修道院というと葡萄の栽培、ワインが思いうかぶが、アルコバサの農作物を指導し、地域の発展に貢献し修道院はたたえられた。現代の工場誘致のごとく領主は各地に修道院を誘致したが、やがて領民に対し大きな影響力を持つと、時の権力者は勝手なもので修道院禁止令を発布したこともあった。

ポルトガルを代表するポートワインの産地、ポートの夜景



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大航海時代からのDNA

2015-11-09 22:06:44 | Weblog
トマールにはフランス人が創ったテンプル騎士団の本拠の修道院がある。勇猛果敢な騎士団の修道院だけに強固な古城のおもむきでイスラム軍団に備えたもので、世界遺産となっている。
ただトマールの町の発展はスペインの弾圧から逃れてきたユダヤ人に負うところか多い。
テンプル騎士団修道院


ポルトガルの王妃は英国から迎えることも多く、王自体も、モロッコ征服中に返り討ちにあったセバスチャン王の後釜にはスペインのフィリップ2世に頼ったぐらいた。

この国は外国人が来ることには役立つ限りウェルカムだ。最近のシリア難民に対してもこのDNAは働き積極的に受け入れを表明している。ただシリア難民はポルトガルよりドイツなど先進欧州をめざしているようだ。そのためか滞在中にシリア難民を見たことなかった。
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大航海時代の贈り物

2015-11-08 20:48:44 | Weblog

植民地経営はポルトガルに物心両面で莫大な利益をもたらした。前回書いた金を例にとると、世界遺産の建造物だけでなく当時建てられたナザレの教会の祭壇やコインブラ大学図書館には天井まで金が塗られている。その金の量たるや想像できない。日本だと秀吉の黄金の茶室や 文化遺産の仏像が残されているが、金箔を貼ったものだ。金箔は金沢で見られるように極薄に加工したもので、奈良、平安時代の 仏像の金箔は殆んど現代無くなっている。ポルトガルの場合、金を溶かして指で塗るという贅沢な手法なため、時代が経ってもさんぜんと輝いている。


大航海時代はポルトガルだけでなく、欧州全体に果実をもたらした。ジャガイモ、トウモロコシ、トマト、コーヒー、砂糖、きりがないほどで、シントラの王宮の各部屋を飾るアズレージョ(陶板)にはそれらの食物をモチーフにしたものが見られた。

アズレージョはポルトガルの何処にでも見られる。当初はチェコのコバルトを中国に持ち込み、焼いてポルトガルに運んだ。今ではこの国の陶器産業に発展している。
ナザレの絶景
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大航海時代への発想

2015-11-06 22:59:24 | Weblog
羽田からロンドン経由でリスボンに着いた。久しぶりのヒースロー空港、第5ターミナルができ、新式のボデイチェックが導入されて、トランジットも厳しい検査、私も早速引っ掛かりテロ対策はコストが掛かる。

翌朝、ユーラシア大陸の最西端ロカ岬から遥か大西洋を望んだ。かつて欧州人にとって、地の果てと言われた所だ。ポルトガル人は既にリスボンとポルトという良港を持っていたので地の果ての先に思いをつのらしたことだろう。航海術も発展し、エンリケ王子の熱望で足りないのは資金だけといった状況だった。その資金の出し手があのテンプル騎士団と聞いて驚いた。この縁で後世テンプル騎士団は弾圧されるがここポルトガルでは密かにかくまわれることになる。



リスボン近郊にある世界遺産ジェロニモス修道院を訪れたら、予想どおり、バスコダガマがインドで稼いだ資金が元手で修道院が建設された。また、シントラの王宮の調度品は中国の青磁、ブラジルの金、インドの家具など世界各地からのものだ。見られなかったが日本の南蛮びょうぶもあるとのこと。
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ポルトガルへ

2015-11-05 14:54:38 | Weblog
かねてから訪れたいと思ってたポルトガルへ、受験の日本史で鉄砲伝来1543年は記憶に残っている人が多いと思う。中国の寧波へ向かうポルトガル船が嵐に遭い種子島に流れついた。これが日本の歴史を大きく変えることになる。長篠の戰いで見られるように、織田信長が鉄砲無しで天下を取れただろうか?

欧州は大航海時代に入ろうとしていた時で、先陣を切ったのがポルトガルだ。バスコダガマによる希望峰からアフリカ、アジアへの航路開拓以降、アンゴラ、ゴア、マカオ、そしてブラジルと植民地を確保し、金をはじめ胡椒など特産物を欧州で売りさばき、巨万の富を得ることになった。その遺産がポルトガルには残っている。今回はいくつかの世界遺産を訪ねる旅となる。

ポルトガルの後を追いかけたのが、スペインでありオランダで、仕上げは英国となるが、航路確保は各国間の争いとなり、戦争の時代てもあつた。
現代でも航路シーレンをめぐる抗争は南シナ海の如く続いている。
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平均勤続年数から見た居心地の良い会社は

2015-11-04 13:49:23 | Weblog

東洋経済から平均勤続年数ランキングが発表された。会社生活でその居心地の良さを表す指標が平均勤続年数という解釈だ。少なくとも同業種の中で比較をして、他社よりも平均勤続年数が長ければ、いわゆるブラック企業ではないという解説が付いている。

ベストテン入りの企業は平均勤続年数が23年以上で、1位は富士石油の25年、2位が佐田建設の24.8年でいずれも従業員数500人以下の中堅企業、5位のリーガルコーポレーション23.8年、7位チタン工業23.7は300人以下の中小企業というところが意外であった。富士石油の平均年収が800万円と高水準なので肯けるが、2位の佐田建設は平均年齢46.7歳にして平均年収539万円と高くない。群馬の地域に密着した経営と経営者の資質が優れているのだろう。

ベストテン入りした大企業では、神戸電鉄、東武鉄道が入っているが昔からの地域密着鉄道一家の社風が残っているのだろうか?巨大企業ではホンダとパナソニックがランク入りしている。平均年収はそれぞれ768万、756万とトヨタの838万に較べれば多くない。他の要素としては有給休暇消化率があるのではないかと考え、チェックしてみた。ホンダは消化率92.7%とほぼ休暇を取っており、居心地の良さはこれではと思える。もちろん他の要素もあると思う。例えばトヨタも消化率は81.8%と高いが勤続年数は15.8年と極端に低く給与も高いことを考えると、別の要素があると考えざるを得ない。

私の出身の電機業界では
三菱電機  平均年収 747万 有給消化率35.5% 平均勤続17.1年
パナソニック平均年収 756万 有給消化率54.7% 平均勤続23.3年
ソニー   平均年収 885万 有給消化率55.4% 平均勤続17.9年
パナソニックの勤続年数の長さはダントツで、三菱電機の有給消化率の悪さが目立つ。

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昭島車屋の池にアオサギが

2015-11-03 16:27:55 | Weblog
昭島のホテル昭和館内、車屋で久しぶりに和食コースを楽しんでいたら、目の前の池にアオサギが飛来した。中居さんも珍しいとしばし眺めていた。
青い鳥ではないが、何となく嬉しくなった。
昭島は秩父や奥多摩からの地下水が豊富で水道水もその地下水で、ここの池の水も清らかだ。
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黒田マジックを振り返る

2015-11-01 23:27:36 | Weblog
 
黒田マジックは未知の世界へ

日本銀行は31日の金融政策決定会合で、市場に流し込むお金を増やす追加金融緩和を政策委員投票1票差で決めた。偶然重なったと塩崎厚労相は言うが年金積立金の株式での運用比率を25%に高め...
 

デフレ脱却を狙った黒田マジック、1年経ってみると効果は失せた感がする。まもなく発表される7~9月期のGDPも大方の予想はマイナス成長、2四半期連続で日本経済は縮んでしまったようだ。物価は今年度予想0.1%という予想で、来年後半には2%にしたいという日銀の希望だが、誰も信用してない様子。物価上昇率の中身が悪すぎる。原油安で物価が上がらないというが、専門家は来年後半まで原油安は続くと予想している。一方円安は黒田マジックで達成できたが、輸入品が高くなり、スーパーの肉も野菜も値上がりし、消費者は財布の紐を締めて、日本経済縮小に寄与している。

輸出で儲けた景気の良い大企業は、そこそこの賃上げはしたが、設備投資は計画はするが実行せずで、政府は懸命に促すがのれんに腕押し状態だ。こうした状況のなかで政府は反対のことをしようとしている。更に消費を圧迫する消費税増税、法人税減税で更に企業に利益を貯めさせようとしている。当然経済成長に悪影響を与えるので、3兆円の財政出動で景気を底上げを狙っているが、先進国で最悪の財政危機だというのによくもまあやるもんだ。付けは将来の世代にまわすという無責任さ、このままだと今貰っている年金も削られることは必定だ。

やるべきことは

消費税10%は面子に拘らずGDPが確実にプラスになるまで延期する。企業減税は設備投資減税に絞る。最低賃金を欧米並みに1000円とし低所得者の底上げをはかる。財政再建の財源は当面、所得税率の累進制を高める。高所得者の税率を以前の7割程度にすれば5兆円の増収になるという。最後は我田引水だが、年金は削らない。

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