戦後日本が貧しい頃、食べるのがやっとで、稼いだ給料は殆ど食費に消えた。その時にエンゲル係数という言葉が流行った。おそらく当時のエンゲル係数は40~50%ぐらいだったのではないだろうか。高度成長期を経て日本は豊かになり、洗濯機、冷蔵庫など耐久消費財が普及し、やがてマイカー時代となり、生活費に占める食費の割合を表すエンゲル係数は死語となり気にもしなくなった。
ところが先日の日経の見出しに「食費が圧迫、細る家計 エンゲル係数40年ぶり26%超」という記事に懐かしさを覚えた。最近の食料高が家計の重荷になっていて、消費支出に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」は26%を超え40年ぶりの水準に達した。という記事だ。
3月頃からの円安で肉、野菜など輸入品の価格や鳥インフルエンザの影響で卵の価格は急騰し、かつ天候不順で生鮮食品も高騰した。我が家でも1個290円のトマトは止めて缶詰のものを使っている。9月の消費者物価指数では生鮮食品を含む食料が前年同月比9.0%プラスと高止まりし、賃上げが追いつかず、エンゲル係数の上昇につながった。
8月のエンゲル係数を2人以上の勤労者世帯年収別に見ると、1145万円以上の世帯は25.9%に対して、402万円以下の世帯は31.9%と1970年代に戻ってしまった。年金生活者の統計は無いが、おそらく40%に近づいているのではないか。
エンゲル係数が高いと、生活必需品である食料品に多くのお金を使い、結果的には、その分他の支出が減り、景気にも悪い影響を与える。景気対策で減税だとか,給付金だとか国会で議論されてるが、エンゲル係数の高い層にしぼって給付金を出す対策がより効果的なのでは。
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