かつて世界に君臨した大英帝国が世界第2次大戦後、その地位を米国に譲ってから、英国は数々の困難に直面した。特に多くの植民地が独立し、反英の動きも出てきたが、英連邦(コモンウェルス)として何とかまとめあげてきたことへの女王の貢献は大だ。女王自身は「私は戦争を率いることも出来ませんし、法を定めたり人を裁いたりもしません。でも他のことが出来ます。それは私が皆さんに献身的に尽くすことです」と述べ、こまめに英連邦諸国をこれという時に訪問して英政府を支えてきた。
私が印象に残っているのは、1984年英国に進出した日系企業調査団の一員でNECスコットランド工場に訪問したときだ。その工場は当時半導体世界一の日本が初めて欧州で半導体工場を稼働した。産業革命発祥の国だったが繊維、造船といった製造業が疲弊し、当時のサッチャー首相は外資を呼び込み懸命に構造改革を進めた。当時私達が調査した工場はダイワ精工、日立、松下、三菱、そしてNECだった。
中でも、NECスコットランドは世界最先端の半導体工場という事もあり、エリザベス女王は当時1000人程度の工場を訪問され、従業員を励まされた。この辺はサッチャー首相との連係プレーのような気もしないではないが。英国を支えるという女王のまめな一面だろう。
ちなみに、この歴史的なNECスコットランドは国際競争に敗れ、2002年4月に撤退し、従業員約1,260名については、2002年3月末で解雇となった。日本の半導体産業凋落を象徴している。
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