総合漢方にんぷ薬・総合漢方育児薬

~頭を使ってではなく、カラダ(感性)で子育てしてみませんか~

老母が化ける弾ける

2015年11月14日 | エッセー
 母がはじけた。
 それは、弟の結婚式のため、朝早く美容室に行ってカットとセットとメイクをしてもらった瞬間の出来事だった。
 母を美容室に迎えに行って、びっくらこいた。マジ。
 だって、見違えるほど洗練されていたんだもの。化粧でこうも変われるのか・・・・。
 田舎のネズミが都会のネズミに大変身。失礼、都会のリスに大変身しちゃった。
 「どうせ、私は…。」と不幸オ―ラをバンバン出していた母が、ルンルンオーラ全開だった。心まで大変身したのだ。もう、姿勢から違う。うつむき加減で自信なさげで暗い印象だった母が背筋を伸ばして、自信にみなぎっている。信じられない。化粧で人はこうも変わるものなのか。
 母は、化粧大嫌い人間だった。化粧をしてもちっともきれいになれないからしない方がましと、人生をあきらめていた。きれいになるためのテクニックを磨こうともしないくせに、どうせ、私は・・・・と心を閉ざしていた。昔は、自然化粧品を売る立場にいたんだけど、どうしても、テクニックをゲットすることができない稀有な人でもあった。
 私が「よく、老人ホームなどの高齢者の施設で化粧をして気持ちが若返るっていうけど、本当だね。」と母に言うと、「そうね。ただし、プロじゃないとね。」とダメ出しまでする母。
 そう、プロじゃないと母のように180度人生が変わるほどのルンルンを手にすることはできないかも。金婚式のプレゼントは、プロに化粧してもらうチケットがあったらいいなって本当に思った。
 実際、母は結婚式の当日は、堂々としていた。いつもなら、うつむいて、何を語るにも緊張していたとだろう。相手のお母さんは、東京育ちで今も東京にお住まいの人。母にとってはまさに鬼門だ。
 でも、この日の母は違った。いつものいじけ虫はどこに飛んで行ったのやら・・・。いきいきと話をする母を見ていて感動すら覚えた。
 実は、化粧だけでなく、カットしてセットした髪も素敵だった。髪が薄いことをかなり気にして、いついかなる時も帽子を脱がなかった母。しかし、美容師マジックはすごい。ボリューム感を限界まで引き出してくれた。粋だった。

 追伸、母は、当日の夜、露天風呂付きペンションに家族で泊まったのだけれど、顔と髪は死守した。せっかくの温泉。でも、顔も髪も洗わず、翌日までキープ。ああ、いじらしい。

 追伸の追伸
 弟夫婦の結婚式のために依頼したカメラマンに、母あ特別に一枚、とっておきの写真を撮ってもらった。最後の日のために。
 最近、私も、遺影のための素敵な写真をとっておかなくては・・・・と考え始めているところ。
コメント
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