言葉を尽くして想いを語ることの大切さは身に染みている
だけど、世界にはいくら言葉を尽くしても語り尽くせないことばかりが溢れている
自分の想いを十分に語る言葉も知らないで、どうやって人は物語を紡いできたのだろう
たぶん、それは歌があるからだと思う
人類は言葉よりも前に音を手にしたらしい
音楽は言葉ができるずっと前から寄り添ってきた
言葉のように細かくて表面的なものではなくて
音楽はもっと粗くて深いものなんだ
伝えられる情報は少ないけれど、分かり合えることはずっと多い
言葉が通じなくても伝えられるものがあるし
心に直接語りかけることだってできる
人の心に訴えかける力だけを考えれば
考えに考えた長編感動大作も、たった数分の歌にも勝てない
そういえば、偉人と呼ばれる名演説家が大衆に語りかけるその語り口は、
リズムよく、どこか歌に聞こえなくもない
自分がそうなんだが、人間については親や先生や友達より、
歌から学んだって人も多いんじゃないか
合理では語りえない、言葉と言葉の間から零れ落ちる想い
それを語れるのは歌だけだと思うんだ
教科書にはできないし、教えることもできやしない
人が理屈と理屈で伝えきれない、その想い
役に立たないけど、生きていくのになくてはならないそういうもの
人は、人間達は、そういう表現できないものと住み分けれると思ってきた
でも結局、やっぱり人間は不合理でしかなかった
そういう弱さを、そんなことさえうまく表現できない、
そんな弱さを受け入れる時期にきてるんだ
もし、社会を変えたいと願う人達がいたら、
その時は、人の心に直接訴えかけることさ
やっぱり人は感動でしか動かないし変わらないと思う
人が、自分の生に対して答えを出せるその日が来るまで
この答えは変わらないと思うよ。
少なくても私は。