「不生不滅」のとらえ方として、私はまず宇宙をこのようにとらえています。主要元素が合成したり分解したりあっちこっちへ移動しているだけで宇宙全体としてみたら何一つ新たなものを生み出したりなくなったものはない。
ただ移動しているだけにすぎない。回環しているだけにすぎない。空気の移動が風だったり、水分の移動が雨だったり雲だったりです。
千の風になって、という歌が流行っていますが、死んでから千の風になるのでなく、生きているうちも私たちは千の風なのだと思います。
私たちの体の分子も身体のなかで作りだしてるものではなく、外からとりいれたものを分解して私たちの体の分子を合成しそれを体中回して、外に出しているだけです。
私たちも風になれるのは、外の世界をとりいれてそれを私たちの体中回し、外に出すときです。
養老孟氏が次のように言っていました。
「人間の『「入力』はすべて知覚、つまり五感からです。『出力』は筋肉だけなんです。」(注1)
五感(知覚)で外からとりいれたものは、筋肉を動かさないと出ていかない。頭のなかにとどめておいて体を動かさないと出ていかない。逆に体を動かさないと本当の五感は働かない。
私たちが風になれるには、必ず外の世界とつながった輪にならなくてはなりません。風というのは流れることです。だから外の世界をとりいれ、それを筋肉を動かすことで出さなければ風は流れません。考えるということは、外と切り離された脳の内部の「小さな輪」にすぎません。パターン化されたものをぐるぐる動かしているだけです。脳の内部の「小さな輪」では淀んでしまって風になれないのです。
外の世界をとりいれて出して風とおしを良くしてやれば、私たちの身体は自動的に宇宙いっぱい駈けめぐるようにできているのです。
「正法眼蔵」につぎのような言葉があります。
「群生のとこしなえにこのなかに使用する、各各の知覚に方面あらわれず」(注2)
(一切の生物が自分を受けとり使い切っているとき、狭い視野でものを見てない。無限大のひろさの世界にすんでいるわけだから、その無限大の大きさで物事に対処している。)(注2)
「不生不滅」ということは、この世の中がただあらゆるものが関係し合うことによって循環しているにすぎなく、目の前の世界はいろいろなものが移動するさいに生じる現象にすぎない、また私たち自身も自然の流れの一部であるととらえています。
注1:南澤道人「道元禅を生きる」四季社 20頁
注2:西嶋和夫「現代語訳正法眼蔵 第一巻」金沢文庫 13頁
参照:福岡伸一「生物と無生物のあいだ」講談社現代新書
ただ移動しているだけにすぎない。回環しているだけにすぎない。空気の移動が風だったり、水分の移動が雨だったり雲だったりです。
千の風になって、という歌が流行っていますが、死んでから千の風になるのでなく、生きているうちも私たちは千の風なのだと思います。
私たちの体の分子も身体のなかで作りだしてるものではなく、外からとりいれたものを分解して私たちの体の分子を合成しそれを体中回して、外に出しているだけです。
私たちも風になれるのは、外の世界をとりいれてそれを私たちの体中回し、外に出すときです。
養老孟氏が次のように言っていました。
「人間の『「入力』はすべて知覚、つまり五感からです。『出力』は筋肉だけなんです。」(注1)
五感(知覚)で外からとりいれたものは、筋肉を動かさないと出ていかない。頭のなかにとどめておいて体を動かさないと出ていかない。逆に体を動かさないと本当の五感は働かない。
私たちが風になれるには、必ず外の世界とつながった輪にならなくてはなりません。風というのは流れることです。だから外の世界をとりいれ、それを筋肉を動かすことで出さなければ風は流れません。考えるということは、外と切り離された脳の内部の「小さな輪」にすぎません。パターン化されたものをぐるぐる動かしているだけです。脳の内部の「小さな輪」では淀んでしまって風になれないのです。
外の世界をとりいれて出して風とおしを良くしてやれば、私たちの身体は自動的に宇宙いっぱい駈けめぐるようにできているのです。
「正法眼蔵」につぎのような言葉があります。
「群生のとこしなえにこのなかに使用する、各各の知覚に方面あらわれず」(注2)
(一切の生物が自分を受けとり使い切っているとき、狭い視野でものを見てない。無限大のひろさの世界にすんでいるわけだから、その無限大の大きさで物事に対処している。)(注2)
「不生不滅」ということは、この世の中がただあらゆるものが関係し合うことによって循環しているにすぎなく、目の前の世界はいろいろなものが移動するさいに生じる現象にすぎない、また私たち自身も自然の流れの一部であるととらえています。
注1:南澤道人「道元禅を生きる」四季社 20頁
注2:西嶋和夫「現代語訳正法眼蔵 第一巻」金沢文庫 13頁
参照:福岡伸一「生物と無生物のあいだ」講談社現代新書