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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【21航海目】!

2015年11月13日 | モバイル
強い南西の風で時化模様の海を北上し、11月9日朝04時、釧路入港。

水揚げ・氷の積み込み後、まだ残る風を懸念して、

16時頃の出港予定時間が組まれた…。

甲板は網のメンテナンス、機関部は各配管系統のメンテナンス作業。

冬海となって、揺れに揺れる船、再点検の機会がほしかったので、

良いチャンス(機会)が出来た…!

点検・メンテナンス作業の後、各々の個人仕込みも出来た…。

出港予定時間の30分前にエンジン始動も、即出港となった…

まだ風が残っており、左舷から風を受け船は大きなローリングを繰り返す…

微速で南下、10日、15時・S/B。

付近には外国籍船団が見えるが日本漁船は僅か…

どんよりとした空、北東の風強く、うねりも高い時化海…

支えながら漁灯を拡げ、甲板を操業準備。
船の周りはグレーと白の世界…

11月も中旬になるが、公海…
サンマ操業海区は、まだ沖なのだ…

この時期、沖よりの海区は季節風に追われ、陸よりの海区での調査になるのだが…

気象の風予報の想定圏外も、予想以上に海は荒れている…!

凪る時間を待つように、微速で調査しながら東へ…。

漁灯の明かりで見るうねりは白波となって、容赦なく船に打ち付ける…!

打ち付けた波が飛沫となり、強い風に乗って船首側から船尾側まで一気に飛び抜ける…!

波によって甲板のデッキが濡れると、滑りやすく、揺れる船上は足元も悪くなり、

新しい船とて、危険な職場に豹変する!
要注意だ…!

風が冷たく、雨も降りだして合羽越しの体は一気に冷える。

上部機関室の気温も、20℃をきった…

下部機関室エンジンルームとの気温差も少ない。

暑い暑いで始まったサンマ漁も、寒い寒いの時季になった…!

エンジンによる震動に加え、波が船に打ち付ける震動で、

機関室内見廻り時は、普段以上に神経を使う時化海…!

…S/B時に見えていた外国籍船団からは離れ、

本船を含め日本漁船8隻での調査。

19時・1回目の操業は、高いうねりと強風で体を支えながら…

漁撈機械にも網にも負荷がかかる為、時化海操業は労力的にも神経的にもキツい…!

微速で、時に支えながら調査範囲を拡げ、1回操業しては調査航走のパターン…

次第に漁り火が増えた、外国籍船団が調査範囲を拡げてきたようだ…

若干うねりが低くなってきたが、風はまだ強い…。

日付けが変わった頃、日本漁船の漁り火も増えてきた…!

5回程の操業、僅かな漁獲に終わったが、時化海での操業…

トラブルがなかったので、夜が明けてほっとした…。

11日、15時・S/B。

次第に風が弱まり、寒さもやわらんだ…

16時30分頃から操業開始!

やや纏まった群れを数回、その後、南側に調査して行き、

魚体組成の良いサンマの群れを数回操業するも、群れじたいが薄く、漁獲は伸びない…

夜明け近くには、うねりもおさまって良い凪となったが、

漁獲が伸びないまま夜明けをむかえてしまった…

夜明けより漂泊。

12日、15時・S/B。

日暮れから纏まった群れを操業し、早い時間に終わる勢いだったが、

うねりが高くなり、ほどなく季節風が来た…!

20時過ぎからはサンマが見えなくなった…

広範囲に調査も、操業できるような群れには当たらず…

日付けが変わってから、ライトを点灯させたまま固定、西よりに…

雨が降りはじめ、次第に風が廻った…。

03時・調査止め!
甲板を整理し、漁灯を仕舞い帰途航走となった…。

東北東の風を右舷船尾側に受け、追い風で西へ…

13日・22時頃の女川入港予定。