80年代Cafe

80年代を中心に、70年代後半~90年代位の懐かしいもの置いてます。
あなたにとって80年代はどんな時代でしたか。

構造と力-記号論を超えて/浅田彰・勁草書房

2012-03-17 11:19:18 | 書籍・漫画

 『構造と力-記号論を超えて』は、勁草書房より1983年に出版された現代思想の解説書。著者の浅田彰氏(現・京都造形芸術大学大学院長)が、京都大学人文科学研究所の助手時代に若干26歳で出版されたもので、難解な哲学書としては異例の15万部を超すベストセラーとなり、ある種の社会現象にまでなりました。これは80年代を覆った空気を考える際には、外せないもののひとつだと思います。
 

 構造と力のブームを受けて、雑誌などに掲載されたエッセイや対談記事などを収めた『逃走論-スキゾキッズの冒険』(84年)。パラノとスキゾという言葉も流行語に。『チベットのモーツアルト』の宗教学者・中沢新一氏らとともに、ニューアカデミズムなどという言葉も。


 構造と力は、フランス現代思想の構造主義やポスト構造主義を、チャート式に平易にまとめた解説本なのですが、その元ネタとなったドゥルーズ・ガタリの『アンチ・オイディプス』と『ミル・プラトー』。ドゥルーズ・ガタリとは、哲学者ジル・ドゥルーズと精神分析学者フェリックス・ガタリの共著によるもの。藤子不二雄みたいなもんですな。


 ドゥルーズ『ニーチェと哲学』。ドゥルーズの思想の根幹、元ネタとも言えるニーチェの研究本。もっと平易に書かれた『ニーチェ』という著作もあります。この本の日本語訳版は、裏表紙が何故か山口智子氏。


 フランス現代思想の大御所、ミシェル・フーコーの『言葉と物』。他には『監獄の誕生』などが有名。


 こちらも大御所ジャック・デリダの『エクリチュールと差異』。なんだかよくわからないけれど、脱構築という響きがかっこよすぎでした。


 浅田氏と同じ頃にニューアカデミズムのスターとなった、宗教学者・中沢新一氏の『チベットのモーツアルト』


 同じくニューアカデミズムのスターのひとりだった、柄谷行人氏の『ヒューモアとしての唯物論』


 ポストモダンの代表的な思想家のひとりとされるジャン・ボードリヤール『象徴交換と死』


 記号論などを論じたフランスの批評家ロラン・バルトの『物語の構造分析』。『テクストの快楽』なども有名。


 ロラン・バルト『零度のエクリチュール』。バルトには、日本を論じた『表徴の帝国』という本も。


 蕩尽、祝祭などで有名なフランスの思想家ジョルジュ・バタイユ『呪われた部分 普遍経済学の試み』、『エロティシズムの歴史』


 構造主義、ポスト構造主義の全ての発火点となった、社会人類学者レヴィ・ストロースの『野生の思考』。旅の記録をまとめた紀行文『悲しき熱帯』も有名。


 個人的な思い出としては、80年代のブーム当時には、リアルタイムでは知りませんでした。90年代に入ってから学校近くの古本屋などで見つけて、10年遅れではまることになりました。90年代頃にはブームのおかげもあってか、このような現代思想本が古本屋にちょうどゴロゴロ置いてありました。自分の学生の頃の気分といえば、これらの本と村上春樹氏だったように思い出します。

参考:Wiki ポスト構造主義、ニューアカデミズム、浅田彰、柄谷行人、中沢新一、ジル・ドゥルーズ、ミシェル・フーコー、ジャック・デリダ、ジャン・ボードリヤール、ロラン・バルト、ジョルジュ・バタイユ、レヴィ・ストロースの項

ゲームブック・死神の首飾り/ジェイミー・トムスン&マーク・スミス・社会思想社

2012-03-17 06:37:56 | ゲームブック

 死神の首飾りは、ファイティングファンタジーシリーズの11作目として、社会思想社より1986年に発売されたゲームブック。本作の特徴は、S・ジャクソン、I・リビングストンは監修にまわって、2人以外の作家さんの手によるものという点と、このシリーズに馴染み深いタイタン世界ではなく、オーブ(Orb)という特殊な世界を舞台としているという点。シリーズ8作目サソリ沼の迷宮/S・ジャクソンも、2人以外の手による作品でしたが、これ以降2人は監修にまわって、別の作者による作品が増えていくことになります。


 物語は、オーブ(Orb)の世界に世界を転覆させる死神の手が迫っていた。それを阻止するには、昔作られた死神の首飾りが必要となる。君は、死神の首飾りの力を無にするためにオーブ(Orb)の世界の神々によってこの世界へ召集され、死神の使途の追跡を逃れて、首飾りを運ぶ役割を担うことになる・・・。主人公は地球よりこの世界に招集され、オーブ(Orb)世界のダンジョンに現れます。そこでは、十字軍のパーティが首飾りを使途の手より奪取しており、主人公にそれを託します。プレイヤーはこの世界を回って情報を集め、元の世界へ首飾りを持ち帰る道を探すことになります。ウルティマみたいな感じですが、読者が主人公となる巻き込まれがたの冒険ものですね。物語の前半は、学問の都グレイギルドでの邪悪な巫女との対決。後半はグレイギルドを出て元の世界へのゲートを目指す展開になります。


 主人公は、グレイギルドに付いた途端、ホーカナという巫女に首飾りを奪われてしまいます。学問の都ということで、学者アポテカスの協力を得て、この世界の仕組みを教わり、手助けをしてもらいます。その後、酒場レッドドラゴンにて情報を集め、盗賊のギルドの助けを借りて寺院に潜入し、ホーカナと対決することになります。とてもTRPGっぽいというか、ありがちですがよくできた展開になっています。ライバル的な2人組の盗賊や妖術師の手を逃れて、後半の山場は元の世界へのゲートの門番をするレッドドラゴンとの対決になります。ドラゴンの弱点や装備など、情報を集めて対決をするのですが、このレッドドラゴンあの手この手を使って主人公を懐柔しようとし、一筋縄ではいきません。ここまでのシリーズに登場した中でも、屈指のラスボスになっています。この辺りの老練なドラゴンとの交渉も、TRPGを連想させていい感じだと思います。


 という感じで、なかなかいい雰囲気の作品なのですが、残念ながら当時はあまり印象に残っていません。少ないこずかいの中でやりくりしながらゲームブックを買っていますので、S・ジャクソン、I・リビングストン以外の作品には目が向きにくかったんですね。ゲームブックブームも去った90年代頃に、古本屋で100円で投売りされていた時に買って読んでいるとは思うのですが、これもあまり記憶に残っていません。もうその頃には、他の事に目が向いていたのだと思います。

アイ・オブ・ザ・ビホルダー(Eye of the Beholder)・Westwood Associates/CAPCOM

2012-03-16 12:22:29 | RPGゲームReview

 アイ・オブ・ザ・ビホルダー(Eye of the Beholder)は、1994年にCAPCOMより発売されたSFC用のRPG。開発元は、米国のWestwood Associatesで1990年の作品。


 元々はPC用に開発されたゲームで、日本ではPC版以外にセガ・メガCDにも移植されています。海外では人気があったようで、Ⅱ.Ⅲと続編も作られています。TRPGアドバンスト・ダンジョンズ&ドラゴンズ(Advanced Dungeons & Dragons)のシステムを用いた作品で、この頃流行っていたダンジョンマスターのように、リアルタイム制の3Dダンジョンものになります。AD&Dのシステムを用いたCRPGは、現在までかなり作られており、FCでもポニーキャニオンより4作品ほど出ていました。また、ちょうどアイ・オブ・ザ・ビホルダーと同じ時期に、カプコンからアーケードゲームとして、ダンジョンズ&ドラゴンズ タワーオブドゥーム(Tower Of Doom)、続編シャドーオーバーミスタラ(Shadow over Mystara)が発表されていました。


 ROM、説明書、アンケート葉書。


 洋ゲー臭がいい味出してます。日本製では、こうは行きません。


 ゲームの方は、雇われの冒険者となって、フォーゴトレンレルム北部の都市ウォーターディープの地下に広がる下水道に降りて、町の平穏を脅かす邪悪な存在を倒すというもの。ウルティマ・アンダーワールドに少し近い設定。プレイした感じも、ダンジョンマスターとアンダーワールドを足して、水で割ったような感じです。


 モンスターも洋ゲー臭が、炸裂しています。


 ダンジョンマスターとアンダーワールドに影響を受けて作られた、作品群のひとつということのようです。カプコンが移植しているということもあって操作性は快適ですが、かなり難しい作品です。ダンマスのように迷路にメリハリが利いておらず、ひとつのフロアに階段が複数個あって、構造を把握しにくいです。一応NPCやイベントもありますが、アンダーワールドのように交渉やイベントなどの見せ場も少ないので、必ずしも同じフロアーにない扉を開く鍵を求めて、ダンジョン内を上下するのがメインの探索となります。またタイトル通り、ビホルダー(Beholder)がラスボスなのですが、日本の感覚だとビホルダーは中ボスというイメージですね。D&Dの世界では、ビホルダーは魔法の無効化や即死、石化、消滅などドラゴンに匹敵する強敵ということのようです。日本では漫画BASTARD!!の書き換え事件が有名で、そちらのイメージも強いよう思います。


 D&Dのデザイナー、ゲイリー・ガイギャックスによるエッセイ、TRPGの指南書ロールプレイングゲームの達人(社会思想社)


 同じくゲームマスターの達人(社会思想社)


 富士見書房より出ていた、AD&Dのシステムを用いたゲームブック。


 角川の電撃ゲーム文庫より出てた、文庫版D&Dのルールブック。


 ホビージャパンより出ているDungeons & Dragons 3rd editionのコアルールブック。


 80年代から90年代初頭のRPGのブームの頃には、Dungeons & Dragonsというだけで胸が熱くなるようなロマンがありました。ただCPRGの方はどうも日本人の感覚には難しかったのか、中古FCショップなどに行くと、必ずといってよいほど1,000円未満の値段が付けられて置いてありました。ただ難易度や遊びにくさなどを考えると、なかなか手を出しづらかったように覚えています。



参考:Wiki ダンジョンズ&ドラゴン、ビホルダー、Eye of the Beholderの項