『ときめきメモリアル』は、1994年にコナミより発売された恋愛シュミレーションゲームです。
現在ゲームショップに行くと、RPGやAVGとならんで育成(恋愛)シュミレーションがジャンルとして定着していますが、これを一般に定着させたのが、この作品だといってよいと思います。恋愛シュミレーションという側面ばかりが注目されましたが、もともとの設計思想は『高校生活シミュレーター』であり、高校3年間が擬似的に体験できるといったものだったようです。製作は90年代前半ですから、当然舞台設定となったのは、80年代~90年代初頭にかけての学園生活であり、当時流行した『ラブコメ』と呼ばれる漫画やドラマの世界観でした。ということでレトロというほど古い作品ではありませんが、ネタとして取り上げてみます。
最初に発表されたのは、PCエンジンSUPER CD-ROM²向けであり、コナミのPCエンジン最後の作品として登場しました。声優を起用しPCエンジンの特徴であった音声を生かした作品で、最初はそれほど注目されたものではなかったようです。しかし口コミで火が付き、次世代機PSやSS向けに『ときめきメモリアル ~forever with you~』として発売されると、一般的にも知られるようになりました。その後もSFC、GB、Win版へと移植され、延べ100万本を売り上げたのだそうです。続編として『ときめきメモリアル2』、『ときめきメモリアル3』、女性向けの『ときめきメモリアル Girl's Side』、『ときめきメモリアルONLINE』と発表され、現在まで続く息の長いシリーズとなりました。これ以外にもAVG形式の『ドラマシリーズ』、『ときめきメモリアル対戦ぱずるだま』、『ときめきの放課後 ねっ☆クイズしよ』など、それぞれのシリーズごとに派生的な作品郡が作られています。
ゲームの内容としては、プレイヤーは『私立きらめき高校』に入学した主人公となり、勉強やスポーツなどのコマンドによって自分のパラメーターを上げて、最終的に12名+αいるヒロインより告白されることを目指すというものです(自分を育成することにより、ヒロインの恋愛感情も育む、といった2重の意味での育成要素があるわけです)。主人公へのヒロインの感情によって、表情が変化したり、名前の呼び方が変わるなど、当時としては目新しい要素をもっており、恋愛・育成シミュレーションのお手本ともなりました。女性キャラや恋愛の要素ばかりが強調されますが、文化祭、体育祭(ミニゲーム)、修学旅行、クリスマス、お正月、バレンタイン、サークルに参加して甲子園に出場、サッカーの全国大会に出場する、などの学生生活でのイベントも豊富に再現されています。基本的に自由度の高い作品なので、ヒロインそっちのけでスポーツを極めたり、学業に専念してみたり、あるいは何にもしない高校生活を送ってみたりと、自由に高校生活を擬似体験できるようにもなっています。また続編の『ときメモ2』、『ときメモ3』と、時代の変化(製作者やプレイヤーの年代の変化)に合わせて学園生活の様子も微妙にかわっており今風になっていますが、初代ときメモでは、80年代~の学園漫画、ラブコメ作品のパロディとでもいうべき要素も多分に持っていたと思います。
ということで、今の時点からみると非常に懐かしいんですね(90年代当時としても、ノスタルジー的な要素はあった)。またゲームシステム的にも非常にバランスがよく、一本のゲームとしてみてもかなりよくできた作品だったと思います。自分のパラメーターを上げることによってヒロインの感情(好感度)も上がっていくのですが、お目当て以外の子の好感度も同時に上がってしまいます。これを放っておくと相手の感情が爆発してしまい、傷つけたことになって評判が下がってしまいます(この辺は妙にリアル)。それを避けるためには、お目当てのヒロイン以外の子とも、(相手の感情が爆発しないように)ほどよく付き合って行く必要があります。そのため微妙な駆け引きというか、バランス感覚やパラメーターの微調整が必要で、単なるギャルゲーには終わっていないんですね。実はゲームとして攻略しようと思うと、攻略本が必要になるほどのゲーム性も備えていたりします。個人的には、RPGとかそちらからゲームに入りましたので、ギャルゲーなどには結構抵抗があったのですが(今とは異なり、80年代~90年代にはオタク的なものは敬遠されていました)、このゲーム以降は少し見方が変わるようになりました。
写真は、PS版『ときめきメモリアル』、ドラマシリーズPS版『虹色の青春』、SS版『彩のラブソング』、また97年には、実写版の映画『ときめきメモリアル』も公開されました。現在遊ぶ場合には、PSP用に初代ときメモが復刻されているようです。またPS本体も、ソフトも(ベスト版)で安く手に入りますので、(もしギャルゲー的な部分で敬遠されて遊んだことない方には)80年代学園生活シミュレータとして、またゲーム的によくできた作品として、週末などに遊んでみるにはお勧めの一本だと思います。
参考:Wiki ときめきメモリアルの項