

“Pocket Boy ファンタジーゾーン”は、株式会社ハシートップインより2009年8月に発売された電子ゲームです。製造元は有限会社ハンドヘルドで、それまでエポック社よりEL-SPIRITSとして販売されていたシリーズが、販売元が変わったものだと思われます。販売元が、ハシートップインに変わると同時期にパッケージも一新され“ペンゴ”/セガと共に新作として発売されました。

元ネタの“ファンタジーゾーン”は、1986年に発表されたセガのアーケードゲーム。時期的には、SEGA MARKⅢやFCの中期にあたり、これまで電子ゲームへは移植されていませんでした。凝ったゲームシステムと画面上を縦横に動く巨大なボスキャラ等、MARKⅢやFCに移植された際にも、完全移植は難しく無理があった作品でしたが、20年以上経過した後に突然電子ゲームへと移植されて帰って来ました。その出来が電子ゲーム界(どんな世界だ)の(ごく)一部で、話題となっていました。これまで“魔界村”“バブルボブル”“クレージークライマー”“エレベーターアクション”と、奇跡の移植を実現してきたハンドヘルド製電子ゲームでしたが、ファンタジーゾーンではどうだったのでしょうか。

基本画面はこのような感じ。1面の前線基地ドリンフラワーと雑魚敵はソーサンしか登場しませんが、雰囲気はいい感じです。残念ながらショップでの買い物は省略されていますが、空中用ミサイルと前線基地用ボムの打ち分けも再現されており、ボムが命中すると前線基地が落下する演出も再現。スタート時には、アーケード版と同じBGMが流れてきます。ステージ内のドリンフラワーを倒すとボス戦となり、ステージ4で一周となります。もちろん背景などの再現は望めませんが、省略すべき点は思い切って省略し、残すべき点はこだわるという取捨選択が見事だと思います。

発売時に一番の話題となったのが、ボスの再現。ドリンフラワーやソーサンの組み合わせでボスを再現するという無理移植なのですが、1面スタンパロン、2面ボランダ、3面クラブンガー(原作ではROUND 4)、4面ウィンクロン(原作ではROUND 6)となっています。ここで一部で話題となったのが、ボスの選択。ハードスペックの制約でMARKⅢ版で差し替えられてしまったクラブンガーとウィンクロンが選ばれ、20年以上の時を超え2009年に電子ゲームとして再現されているところが泣かせてくれます。おまけにMARKⅢ版では省略されてしまったレーダーも再現され、前線基地も10個(MARKⅢは6個)ある点など製作側のこだわりを感じます。画面下の“ファンタジーゾーン”ロゴもキュートでいい感じ。

このハシートップインと言う会社、お洒落なファンシーグッズ等を販売しているところで、このPocket Boy ファンタジーゾーンも可愛らしいパッケージを施され、雑貨店等でファンシー小物として売られています。製作者側がボスの取捨選択にMARKⅢ版を意識していたのかどうかはわかりません。ただ試作品までできていたのに、放送当時発売されなかった1/100ウォーカーギャリア(戦闘メカザブングルのプラモ)を2008年になって再び発売するみたいな(わかりにくい例えですな)、ひそかなこだわりを感じさせてくれます。まあ、これをファンシー小物として買っている層には、全く関係ないどうでもいい話なのですが。

ということで、電子ゲーム、ファンタジーゾーン、SEGA MARKⅢというキーワードに反応する方にはお勧めです。アマゾンには在庫があるようですし(2011年4月現在)、雑貨店店頭でもまだ見つかると思います。

参考:アイデア勝利!LSIゲームにファンタジーゾーンを超絶移植/kotakujapan、GAME&WATCH ゲームウォッチカンストへの道
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