80年代Cafe

80年代を中心に、70年代後半~90年代位の懐かしいもの置いてます。
あなたにとって80年代はどんな時代でしたか。

MSX・MX-101・カシオ

2007-02-18 18:33:28 | レトロPC(MSX等)
             

 これは、1986年にカシオ計算機より発売されたMSXパソコン、『カシオMX-101』です。カシオは最後発ながら、低価格機でMSX規格に参入して、お得意の価格破壊をMSX規格に持ち込みました。写真:左側 電波受信用のアンテナと、右側 MX-101本体

 最初にカシオは、1984年10月に『PV-7』を29,800円という当時としては驚異的な価格で発売しました。これは低価格を実現するためメインメモリーを8KBしか積んでおらず、テープどころかROMソフトまで動かないものが出てしまったようです。その後85年6月に、メモリーを16KBまで増やした『PV-16』を価格据え置きの29,800円で発売、86年になると性能はそのままに19,800円という、更に価格を引き下げた『MX-10』を発売しました。この『MX-101』は、『MX-10』にRFで電波を飛ばす性能を付与してワイヤレスにしたものです。またカシオは、MSX2規格には参加しませんでしたので、これがカシオ最後のMSXパソコンという事になります。

 『MSXマガジン保存版3』には、カシオ製ゲームソフトともに、当時の開発者のインタビューが収められています。これを読むと最初からFCをライバルとして設定し、14,800円のFCに対して競争力を保つため、29,800円や19,800円という価格を設定されたようです。そのため極限までコストが削減されて、8KBのメインメモリー(他社は最低でも16KBだった)にゴムのようなキーボードなど、カシオ独自の仕様で発売されました。これは様々な家電メーカーより発売されて似たような機種が多かったMSXの中では、確かにカシオの個性として認識されていたように思います。PV-7の発売された84年当時は、他社のものは(多少の値引きはあっても)50,000円近い値段でしたから、29,800円でPCが買えるというのは、当時としてはかなり衝撃的なことでした。(実際クリスマスシーズンなどには、電気店に山積みにされて良く売れたそうです) 私はカシオ製のものは持っていませんでしたが、当時デパートの試遊機として良く見かけましたので、とても懐かしく感じます。

             

 1985年になるとMSX2規格も発表され、MSX1規格のパソコンの方も価格がかなり落ち着いてきました。この後しばらくは、高級路線(8万~15万)のMSX2と、低価格普及路線(3万~5万)のMSX1といった感じで、両規格は共存してゆきます。他社のMSX1規格のものも、実売価格3万円前後で売られるようになってきていましたので、ここでカシオは、更にもう一段階価格を下げて19,800円の『MX-10』を投入します。PCとしてOSまで入ったもので19,800円というのは、ウィンドウズ機の時点まで見ても存在してないようです。当時私は、友達の家のPC-88で遊ばせて貰ってましたから、(性能はたいしたことなくとも)とにかくゲーム機ではなくPCが欲しかったのですが、同じように考えた人は多かったようです。ゲーム機ではなく、プログラムを学べて自分でゲームも作れるPCが、この価格で発売されていたことの意義は大きかったと思います。
 
 NECなど専門メーカーと異なりMSX規格は、松下、ソニー、東芝、日立、サンヨー、三菱、パイオニア、ヤマハなどそうそうたる家電メーカーの参入した統一規格でしたので、CMもばんばん打たれて、PCショップではない一般の電気店でも販売されていました。特に初期の83~84年頃には、それまで一般的でなかったPCが家庭に入ってくる時期にあたり、ある意味とても新鮮な感じがしたのです。その後MSX規格は、ゲーム機に押されて衰退してしまいますので、今の時点から考えると、どれほど当時魅力的だったかを実感するのは難しいですけどね。映画やSFのものでしかなかったPCが、遂に家庭に入ってくる時代となり自分のものになるなんて、ぜひ入手しなければ・・という感じでした。ゲーム機と変らない値段で、それを提供してくれていたカシオは、確かにあの時期に一定の役割を果たしていたのだと思います。

参考・MSXマガジン保存版3、※写真左は、『こんにちはマイコン2』すがやみつる著


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
はじめまして (wolf)
2010-01-03 21:44:48
MX-10持ってました。懐かしい。
記事を拝見して
自分の購入動機を思い出しました。
ファミコンを先に購入したけど
どーしてもパソコンが欲しかった。
すっかりハマりコンシューマと平行し
MSX2→PC98→DOS-Vと購入していきました。
自分の夢であったゲームプログラマーには
結局なれませんでしたが。

インタビューの箇所を見て改めて思うのは
カシオは庶民の少年にまで
裾野を広げてくれたと思います。
人間工学を無視したゴムのキーボードすら
今は総てが懐かしく愛しいです。
カシオ自体に、
あまりお金は落とせませんでしたが(笑)
また当時は安くとも純国産なのか
MX-10に限らず耐久性が凄いです。
MSX、そしてカシオ。その存在は忘れられ
ないです。
返信する
はじめまして (80-cafe)
2010-01-04 14:49:25
コメントありがとうございます。

実はカシオ・MSXというキーワードで来られる方は、結構多いです。1日に2~3件位はコンスタントにあります。カシオのMSXに思い入れを持つ人が多いということでしょうね。

個人的には、当時デパートのPC売り場によく行っていて、そこで試遊機としてデモっていたことを思い出します。88やX1なんて20万近くしていましたので、これならお年玉でなんとかなるかなと、希望を与えてくれる機種でした。特にPV-7は、MSX史に残る名機だと思います。
返信する

コメントを投稿