ブラックレーサーは、タカラと合併する前のトミーより、1978年(昭和53年)に発売されたゲーム機。LSIを使った電子ゲームではなく、モーターやギアを駆使したいわゆるエレメカの一種。電子ゲームがブームになるちょっと前に、このような電子ゲーム(テレビゲーム)風のエレメカというのがちょっと流行りました。当時の価格は2,980円。5,000~6,000円が主流だった電子ゲームと比べても、リーズナブルで手に入りやすいということから、当時は大変なヒット商品となったようです。
オークションなどにエレメカが出てくる場合、なかなか不動品が多い。LSIで制御されてる電子ゲームと比べても、モーターやギアなどで物理的にゲームを制御しているためか経年劣化が出易いのでしょう。この手のエレメカはそれほど値段も高くなりませんが、1,000円~3,000円といったところ。当時相当売れたためか、オークションでは今でもたくさん見かけます。
操作系は、ステアリングにシフトレバーとスタートボタン。成績を表示するラップカウンターが付いている。スタートを押すとタイマーのメーターが動き出しゲームが始まります。海外に輸出することも考慮されていたのか、本体の表示はすべて英語表記。安い素材や子供っぽい感じを、極力デザインで抑えている感じです。ネット上には海外からの動画も上がっている。
フイルムに自動車が印刷されており、モーターの力でフイルムを動かすことにより、レースゲームを再現している。自機の移動はハンドルで行い、その動力は手動である。ギアの切り替えもあり、2車線の道路上に車が並んで避けられなくなった場合、ギアを変えてやることで左右のフイルムのスピードが変わってきて、それによってライバル車を避けられるという仕組み。
スペースインベーダーの生みの親であるタイトーの西角友宏氏製作のスピードレースとか、初期のレースゲームを再現している。またエレメカという観点からは、関西精機のミニドライブを再現しているともいえるでしょうか。ただ、ギアとモーターだけで制御している関係でゲーム性は単純。子供でもLSIを使った電子ゲームではないということはわかりますので、すぐ飽きてしまっていた。今となっては、アイクスクリームやゼリーなどについてくるプラスチック製のスプーンみたいな透明の板に書かれたレーシングカーが、キッチュで実にいい味を出している。
ブラックレーサーが好評だったためか、続編ともいえるブラックライダーも登場している。バイクで障害物を跳び越す、バイクスタントを題材にしている。これにも元ネタとなったスタントサイクルというATARI製のゲームが存在している。トミーではポケットメイトにもスタントサイクルを題材としたものが存在した。
こちらは、1976年に発売された世界初の電子ゲーム機Mattel Auto Race (マテル オートレース)。ブラックレーサーの2年も前ですから、まだまだ海外との技術差が大きく舶来品が高価で珍しかった時代。
もうちょっとお金持ちの子の家庭では、任天堂が同じく1978年に発売したテレビゲーム型のレースゲーム、レーシング112で遊んでいた。これは、任天堂が三菱電機と共同開発したもので、112種類のレースゲームで遊べるというのが売りだった。とはいっても、ゲーム性はかなり単調だったのですぐ飽きられてしまい大ヒットとはならなかった。高価なテレビゲームや海外製の電子ゲームは、誰でも手に入れられるというわけにはいかなかったので、ギアとフイルムで安価にゲームセンターのゲームを再現したブラックレーサーが必要とされたのでしょう。個人的には、団地に住んでいた友達が持っていて、遊ばせてもらった思い出がある。
当時はかなり売れた有名なゲーム機ですから知名度は抜群で、思い出の中にこれが登場する人は、結構多いのではないかと思います。
参考:ぼちゃけ、CVS ODYSSEY、しおんパパのひみつきち、山口 浩の「汚い部屋」、Japan-Games.com
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