
『ドラゴンバスター』は、1985年にナムコ(バンダイナムコゲームス)より発表されたアーケードゲームです。前年の『ザ タワー オブ ドルアーガ』(84)に続いて、この作品でも剣と魔法のファンタジー要素と、キャラが成長するRPGの要素が入っていました。85年前後は、ファンタジーやRPGが流行り始めた時期でしたね。

ドルアーガの塔と続編の『ザ リターン オブ イシター』(86)は、謎解きの要素や、パスワードによるコンティニューなど、アーケードとは思えない実験的な作品でした。本作はあくまでも、バランスよく遊べる通常のアクションゲームとして仕上げられています。80年代のナムコは、『パックマン』(80)に始まって『ラリーX』(81)、『ディグダグ』(82)、『ゼビウス』(83)、『マッピー』(83)など、黄金期といってもよい名作を連発している時期でした。特にこのドルアーガから、ドラゴンバスター、源平討魔伝(86)にかけてあたりが、その絶頂期だったのではないかと思います。また『キャロットハウス』というゲームセンターを運営していて、それまでの不良の溜まり場だったゲームセンターのイメージを払拭して、80'でポップな空間へと変えてしまいました。

ゲームは、勇者クロービスを操って城や山岳地帯を抜け、ドラゴンの住む山へと向かい、王女をさらったドラゴン退治をするといったものです。この時期のアクションとしては、珍しかったLIFE制を取り入れ、キノコをとる事により成長もします。攻撃力が2倍になる剣や、魔法使いの剣と魔法を防ぐ盾など、アイテムによる強化もあります。またスクロールを拾う事で、ファイアーボールの魔法が使えるようになり、これを使うタイミングが戦略性を生んでいます。2段ジャンプや兜割りなど、プレイヤーのテクニックを必要とする要素もあり、やり込んで上達する楽しさも持っています。初心者でも1面のドラゴンを倒すくらいまでは容易に到達できる難易度で、バランスもなかなか良かったと思います。

当時から、結構人気がありFC、MSX2、FM77AVなどに移植されていました。特に金色のカセットのFC版は、ご記憶にある方も多いのでは。その後も、PSやPSPなどに移植され、数多くの機種で遊ぶ事ができます。販売中止になってしまいましたが、プラグインTVゲーム「Let's TVプレイ CLASSIC」(バンダイ)にも収録されていました。またウェブ上からダウンロードすることもできるようです。今遊んでも、なかなか当時の新鮮な驚きを感じる事は難しいかもしれませんが。


上写真は、東京創元社より出版されたゲームブック版。作者は、ナムコ出身の古川尚美氏。氏は、東京創元社で他にもナムコを題材としたゲームブックを書かれていました。下写真は、角川文庫の小説版。小説版の作者は、歴史小説などを書かれている、あの井沢元彦氏です。どういう経緯でこれを書くことになったのかは、ちょっとわかりません。それにしても氏とドラゴンバスターとは、なかなかイメージが結びつかない意外な組み合わせですね。
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