
ということで、新しく手に入れた愛機“ホンダ・ドリーム50”(Honda Dream 50)です。

私は、80年代後半から90年代にかけてバイクに乗っていたのですが、90年代の終わり頃に生活上の必要からバイクを降り、車に乗り換えました。ただ維持費のかからない小さなバイクで、車とバイクとの2台体制で行けないかと、ずっと考えていました。日常は車にて移動しますので、実用性は求めない完全な週末用の玩具(週末スペシャル?)ということになります。

バイクを選ぶ上での選択基準は、①まず維持費がかからないこと(=原付)、②バイク気分が味わえること(=ギア付き)の2点。本格的なバイク趣味に戻る前に、ちょっとバイク気分が味わいたかったということです。候補としては、(車がイタ車のため、イタ車2台体制でいこうかと)アプリリアRS50、べスパを探していたのですが(この間5年程)、なかなか希望の価格と程度のものが見つかりません。また故障やパーツを気にしないで(気軽に)ツーリングにも出たかったため、ドリーム、エイプ、マグナ、ベンリィ、YB-1などへと対象を拡げました。最終的にRS50とドリーム50へと絞り、出物を探していたのですが、近場にたまたま置いてあり、個人売り買い(ショップへの委託品)でおまけや値引きなど融通がきいた、これに決めたというわけです。また私は、ホンダファンでもありますので、(世界最小のDOHC高回転エンジンという)性能面でも惹かれるものがありました。実用の道具ではなく、趣味のための玩具ですから、趣味性の高いものが欲しかったということになります。

ホンダアクセス製のものを復刻したような、エトスデザインのメンテナンススタンド。

ホンダ・ドリーム50は、1997年に本田技研工業より発売されました。この頃は、レトロブームでもあり、車もバイクにもクラシカルな外観をもったものが、数多く発売されていました。当時は、これ単にレトロなバイクという認識しかなかったのですが、実は本田の60年代の市販50ccレーサー“CR110”(youtube)をモチーフにしたレーサーレプリカであり、マニアな層には結構注目されたモデルだったようです。“CR110”とは、当時主流だった2サイクルレーサーに4サイクル・エンジンで対抗するため、超高回転までまわる精巧なDOHCエンジンを積んだ、実にホンダらしいモデルだったようです。もちろんドリームは市販車ですから、そのような特殊なエンジンを積んでいるということはありません。ただ、わざわざ(量産市販車)世界最小のDOHCを開発して載せるという、非常に手の込んだことをしています。

ということで、(コスト上の制約から)原付にはタコメーターが無いものも多いのですが、これにはしっかりと装備されています。また50にしては異様に目盛が多く刻まれているのがわかるかと思いますが、10,500回転で最高出力を発揮する(目盛は15,000まで刻まれる)、高回転型のエンジンになっています。つまり原付にしては、結構作りこんであり、(意外と)本格的なバイク気分が味わえるものになっています。

このバイクの一番の売りでもあるエンジン。本田の50ccのバイクは、モンキー、ゴリラ、ベンリィ、ジャズ、マグナとカブ系の横型のエンジンを流用したものが多いのですが、こちらは存在感のある専用の縦型エンジンとなっています(エイプも縦型ですが、CB50系からの流用)。一番の特徴が、その形状から“ミッキーマウス”と呼ばれるカムカバーで、これは市販レーサー“CR110”を模したものです(但し“CR110”とは反対側に付く)。

まるで模型のような小ささが、精密さを感じさせてくれる。

音は50ccの単気筒エンジンですから、ヒュルルル・・と軽いもので、お世辞にも迫力があるものではありません。性能の面でも、(高回転型のエンジンのため)低回転ではトルクがなく、2ストのスクーターには置いていかれると思います。ただ、元となった“CR110”と同じような本来の使い方(高回転でパワーバンドをキープするような走り方)をすれば、そこそこの速さと(バイクに乗っているという)気分は味わうことができます。おまけにセルがなく、キックのみで始動という仕様となっており、あまり良くない始動性も伴なって、エンジンをかけるのに一苦労させられるという、スパルタンなバイクになっています。それにしてもバイクらしい、美しいエンジンだと思います。

フロント周りです。小さなメーターと小ぶりなライト、かなり前傾姿勢を強いられるセパハンと、(小さなバイクらしい)纏まりのあるデザインです。写真では、そこそこの大きさがあるように感じますが、実際はゼロハンのため細くて小さなバイクです。その小ささが玩具っぽさをより感じさせますし、デザイン的にも(洗練された)端整なオートバイだと感じさせてくれます。

ミラーは小ぶりのものに変えてありますが、この後の定番の改造としては、メーターバイザーの装着、社外品のセパハンへ交換、社外品のフルスケール・メーター(純正は原付のため60キロ)への交換、ウインカーの小型化、といったところでしょうか。なんだかいろんな楽しみがありますね。ただ写真では、そこそこ綺麗に見えますが、実際は錆び錆びで、錆落とし剤に556、ピカールで必死に磨いた後にタッチペン、その後シリコンスプレーを全面に吹いてあります。もともと原付でコスト的にも塗装も、メッキもそれほどしっかりしたものではありませんので、気を抜くと直ぐ錆だらけになってしまうような感じがします。

メーターバイザーを装着後、トップブリッジを鏡面に仕上げ。

リア周り。モンキーと共通の純正ストップランプ。

後日、TAKIGAWAのブレズランプに交換しています。

ということで買ってから一ヶ月ほどになるのですが、週末にしか触れる機会がありません。おまけに乗りにくいバイクですから(そもそも原付自体が、30キロ制限、2段階右折と、一般道を走りづらい)、乗ったのも2~3回ほどで、ちょっと南海部品に買い物にいったくらいです。後はひたすら眺めたり、錆落としをしたり、556を吹いたり、磨いたりといった感じです。ただ、そんなことが凄く楽しいですね。昔はスクーターに乗った後、直ぐ中型へと移行しましたので、これまでゼロハンはあまり意識したことがありませんでした。普通免許で乗れるお気楽さと、維持費のかからないお手軽さ、意外とある所有の満足感、などで原付の楽しさに(改めて)目覚めたような気がしています。

30キロ制限、2段階右折を回避して普通に乗るためには、黄ナンバーは必要ですね。ただ50ccという小さなDOHCエンジンの繊細さも捨てがたいとこです。50ccのままでは、あまり実用に向かず盆栽バイクになってしまい、悩ましいところですね。
このページにたどり着いたのでコメントさせて
いただきます。
私も買っちゃいました。
ホンダが気合を込めて作った世界最小のDOHCエンジン
もうすでに製造中止になっているので
走行700kmの床の間バイクを中古で購入しました。
床の間バイクだけあって外装はきれいですが
エンジンの調子はいまひとつでしたけど
10000回転以上でエンジンをぶん回したら
調子が戻ってきました。
ノーマルのままですが原付にまつわる
ウザイ規制を避けるために黄色ナンバー登録しました。
これからも大切に乗りたいと思ってます
ホンダの50周年記念に、世界に飛躍するきっかけとなったレーサーのレプリカを出すという企画により生まれてきたバイクですから、採算度外視の部分もあったかと思います。以後このようなバイクはなかなかないでしょうね。
まだお持ちでなければ“ホンダ モーターサイクル レーシング レジェンド vol.3”(八重洲出版)はお勧めです。ドリームにより愛着がわく一冊かと思います。またYahoo!には、マニアックなドリームブログが集まっているようです。ブックマークのTam@亀山さんのところからいけます。
さっそく楽天ブックスで注文しちゃいました。
今色々情報収集中ですが、
まずいじりたいと思っているのは
リミッターカットとスピードメーターです。
私のドリームはたぶんまだノーマルだと思うのですが、
スピードメーターは平地でも普通に振り切ります。
ドリーム50の性能って普通にこんなもんなんでしょうか?
http://www.youtube.com/watch?v=JWRhEuqoqdM
熱心なドリーム乗りの方は、ボアアップ、オイルクーラー、カウル装着などで、レーサーRC風にしているようです。これが、ドリームの究極の形かもしれませんね。(私は金銭的にとても無理・・・)