カメレオンの独り言

当分は漫ろ言の漫ろ歩き、頭に浮かんだ事柄を挿絵と写真と下手な文で綴ります。色々と間違い多いですがご容赦を。

カメレオンの独り言-500 「映画 戦火の馬」

2012年09月05日 | 日記





仕事を上がる前に、外で煙草を吹かせていると彼女が帰って来た。

大学へ進学するための説明会を聞いていて遅くなったと笑っている。進学する大学の候補を絞って的が見えてきたようだね。

至って饒舌で瞳が輝いているよ。的を絞れば「おまえのものだよ」そんな特有の勢いを、おまえは持っているよ。






よしんば、外れても、今のおまえは萎えないだろうね。そんな強さを感じさせるよ。「強くなったと云うよりも、素が甦ったと云うべきかね」

自分を試せ、自分を磨け、自分のために自分が力を出してやれ。結果が、どうあろうと、ゆくゆく一切無駄になるものはないよ。






素直に前向きなおまえを見るのは珍しい。日頃出さぬ顔は、そんなに活き活きしているんだね。

「オレが、生きた世界ではないので、やたら輝かしくて、おまえが、なんだかずっと遠くの丘の上の人に見えるよ」 嬉しいね。 






















第一次世界大戦前夜のイギリスの農村で、1頭の美しい馬が貧しい農家にひきとられる。

この家の少年アルバート(ジェレミー・アーヴァイン)は、“ジョーイ”と名付けられたその馬とかけがえのない友情を結ぶ。

しかし戦争が始まると、ジョーイは英国軍の軍馬として売られ、フランスの戦地に送られる。






アルバートはジョーイを探すため、徴兵年齢に満たないにもかかわらず入隊し、最前線フランスに向かう。

ジョーイは死と隣り合わせの過酷な日々のなか、軍馬を誰よりも大切にするイギリス人将校、ドイツ軍を脱走した少年兵の幼い兄弟、

両親を失ったフランスの少女らと巡り合う。過酷な運命に立ち向かう人々との出会いと別れを繰り返しなら、






やがてジョーイは彼らの希望となり、“奇跡の馬”と呼ばれる。












『 戦火の馬 』 2011年度作品 アメリカ映画 監督 スティブン・スピルバーグ








畑仕事に必要な馬を競売で手に入れるはずが、力仕事には不向きなサラブレッドを落札して父親が帰ってくる。

母親は「返して来い」と怒る。しかし、そのサラブレッドとは、顔なじみだったアルバートは、自分が面倒見て役に立つ馬にしてみせると

母親を説き伏せる。これが馬のジョーイとアルバートの馴れ初めだね。調教を介して心通わせ、互いが信頼する仲になる。






田を耕し収穫した稼ぎから借地代を支払うのだが、支払いが滞って苦しい。アルバートは、ジョーイと手付かずの荒地を耕す。

しかし、それは困難を極め、サラブレッドのジョーイには過酷過ぎた。だが、諦めない。

雨降る中、とっか、ジョーイが爆発的な力と根性を見せる。大きな石を蹴散らし、引きずる鍬は固まった土をどんどん掘り起こして突き進む。、






広い荒地だった土地に野菜の緑が育ち、もうすぐ収穫を目前に大雨が降り、その水に甚振(いたぶ)られて、すべてがご破算になってしまう。

時代は、第一次世界大戦前夜。欧州戦線にイギリスも参戦した報が村にも伝わる。

村は、徴兵、徴用で軍隊が出向きごった返している。其の中に、アルバートの父が馬のジョーイを騎馬隊に売る姿があった。






小屋にジョーイの姿がないのに気づいたアルバートは村に駆けつけるが、売買は成立してジョーイは騎馬隊の将校の持ち馬になっていた。

将校は、哀願するアルバートに「君のように大事に世話をする、生きて帰れたら君に返すよ」「お父さんの窮状を察してあげろ」と、諭すのだった。













騎馬隊では、ジョーイは群を抜く脚力と粘りをみせ、隊長の黒毛の愛馬と双璧の名馬と名を馳せる。



























フランスの戦地に渡り、まもなく、騎馬隊の出撃の時が来た。敵の野営地を襲撃するが、敵が、逃げ入った森には機関銃が

配列され、追撃する騎馬隊は、その銃火の餌食になって全滅する。ここから、ジョーイと黒毛の運命は、二転三転と翻弄されることになる。













ジョーイを預けた騎馬隊の将校が戦死した報が青年に届く。青年は志願して欧州の戦場へ。地獄の戦場で過ごすうち、毒ガスで負傷して前線から後方へ

移送されて手当てを受ける。其処へ彼の馬が現れ巡り会うという展開だね。






ジョーイは、ここへ来るまでに、いろんな人々と遭遇し、様々な出来事を体験してきた。













ドイツ兵の若い兄弟兵士にも世話になったが、兄弟は、脱走した罪で銃殺刑に処せられる。

逃亡中、身を隠していた水車小屋で見つかり「何故だ?」との上官の問いに、兄は、弟を守るのが「母との約束だった」












前線に送られる弟を無理やり馬に乗せ、連れて逃げたのだったが、見知らぬ土地で味方の銃弾に射抜かれて兄弟は死ぬ。









ジョーイが、黒毛とともに残された水車小屋は、お爺さんと孫娘の農家の敷地にあったんだね。



























ほんの暫し、ジョーイと黒毛は孫娘に大事にされて平和な時間を過ごす。



或る日、丘の向こうにドイツ軍が現れ、泣き叫ぶ孫娘を引き離して馬を引き連れていく。「此の娘の馬だっ」












「戦争は皆から、大切なものを奪うんだ」













「いつまで」













「戦争の続く限り死ぬまで大砲を引かせる」













「この戦争は終わらんっ」













「じゃ、馬は死ぬ」























ジョーイと黒毛には、過酷な重労働が待っていた。巨大な大砲を引くんだね。過労で倒れた馬は射殺されるんだね。




















急な坂を巨大な大砲を引き上げる途中、4頭だて先頭の馬が崩れて倒れる。指揮官が、その馬を射殺、「次を連れて来いっ」

馬係がジョーイを引くと「違うっ、隣の黒毛だ」 この黒毛は足を怪我しているって馬係が庇う。「構わんっ」

状況を理解したのか、ジョーイが駆け出し先頭馬の位置まで走ってきていきり立つ。「こいつは強いです」













ジョーイのいきりようを見て「よし、こいつを繋げ」 ジョーイは黒毛を庇ったんだね。引かれて戻る黒毛を見るジョーイの表情がいいね。





















イギリス側だけで100万頭の馬が死んだという。全軍合計では1000万頭の馬が死んだと推定されている。

イギリスから海外へ送られた100万頭の馬の内、帰ってきたのは僅か6万2000頭で、残りの馬たちは戦死したかフランスで食肉処理されたという。



































アルバートも、巡り会う確率など無いに等しい可能性に賭けて地獄の戦場を九死に一生の思いで生きてきた。




















青年が、馬とともに必死で荒地を耕す苦労を見守っていた同郷の友人は、青年の目の前で毒ガスに覆われ戦死する。













集中砲火の中を突進して、敵の塹壕まで辿り着いたが、其処は敵の兵士の死体がゴロゴロ転がっているばかり。「毒ガスだっ」













「アルバート・・・・」 同郷の友人は、アルバートの眼前で毒ガスに包まれる。









第一次大戦は、イギリスの男性人口に多大な影響を及ぼした。

88万6000人の男性が死んだ。これは戦争に行ったうちの8人に1人が戦死したことになる。「なんてことだろうね」

敵の反撃でドイツ軍は退却を急ぐ。「馬など捨てて逃げろっ」ジョーイは、騎馬隊当初から苦楽を共にした愛する黒毛の馬との悲しい死に別れに啼く。













ジョーイは、狂ったように駆け出す。砲火轟く戦場の真っ只中を全力で疾走するんだね。凄い撮影だね。


































幾重にも張り巡らされた鉄条網を突き破り、杭をも引き抜き跳ね飛ばす糞馬力も、やがて身体中に巻きついて身動きできずに倒れる。














戦場の真っ只中でうごめく姿に、睨みあう両軍が注視する。「馬だ」「助けよう」両軍が同じ思いになるんだね。

身体中に巻き付いた鉄条網をカッターで切り取り、両軍の兵士がジョーイを助ける。最期に、どちらの馬かコインで決める。

「奇蹟の馬だよ」イギリス兵士がドイツ兵と握手してジョーイを連れ帰る。





















毒ガスで目を負傷して視界が利かないアルバートは、前線から後方に移送され手当てを受けている。

ジョーイを引いてイギリス兵士がアルバートの脇を通っていく。「馬ですか?」 「ああ、奇蹟の馬だよ」看護兵が答える。

イギリス兵は、ジョーイの傷を軍医に見せるが「破傷風だ、助からん、楽にしてやれ」脇に居た軍曹が銃を抜き、ジョーイの眉間に狙いをつける。





「ピ~イ~」懐かしい音色の口笛にジョーイが顔を上げる。口笛の主の姿は無い。たずなを引いてジョーイの顔を下げ、もう一度狙いをつける。













「ピ~イ~」また口笛にジョーイが反応して顔を上げる。




















そして、偶然に巡り会えた。奇蹟の馬は、ジョーイだった。懐かしい口笛の主は、アルバートだった。










戦争が終結する。致命的な破傷風を軍医の手厚い治療で克服してジョーイは元気を取り戻し、アルバートの目の負傷も癒えて視力も回復した。

軍は、生き残った馬を競売にかけて手放すよう命令を発する。

兵士達のカンパで集めた金で競り合うが、大金を叩いて競り勝ったお爺さんに引かれてジョーイが行く。






ジョーイが、軍から逃走中に世話になった牧場のお爺さんだった。難病の身で、馬を愛し世話をした、今は亡き孫娘のためにお爺さんは馬を取り戻した。

アルバートは、自分が育てた馬であることを話すが、孫娘のためにとのお爺さんの思いは強かった。アルバートは、あきらめる。













とっか、引かれ往くジョーイが振り返りアルバートのほうに走り戻る。

アルバートと馬の契りの深さを目の当たりにして、お爺さんは「連れて往け」って、ジョーイのたずなをアルバートに渡す。













アルバートは「名前を・・・」 お爺さんは、孫娘の名の「エミリー」と名乗る。「彼女は、わたしのボスだったからね」 













孫娘ならそうするだろうと、彼女の思いに倣ったんだね。














































人間ほど、罪深い生き物は居ない。人間ほど繊細に感情を表現する生き物も居ない。

罪なき生き物に、僅かな感情表現だけがあれば事足りるのは、理屈がないからだろうね。純だからだろうね。





















カメレオンの独り言