LOTUS BLUE DIARY

インテリアとリビングと手作りのお話

桃の節句・その2

2008-02-22 19:48:34 | インテリア
佐原の”カフェしえと”には、毎年この時期古いお雛様が飾られます。



三年前、”カフェしえと”の桃の節句のために
なんとしても古い上質な雛人形を飾りたいと思い、
苦労して入手した、骨董のお雛様です。

コーディネートの要は“モノ探し”です。
イメージしていても、イメージどうりの物が見つけられなければ、
飾り付けは成立しません。
思い起こせば三年前、桃の節句のために冬の時期から
平和島の骨董市へ雛を探しにでかけて行きました。
くまなくブースを見て歩いたんですが、お雛様は見つけられませんでした。

そこで、以前にお世話になった愛知県の骨董屋”Largo"さんのマダムに
すがるような気持ちでお電話しました。
「古い上質なお雛様を探して下さいますか。」と。
二つ返事で引き受けて下さり、その二週間後に、”カフェしえと”に
お雛様が届きました。
なんでも、知り合い中の骨董ディーラーを、当って見つけてくださったのだそうです。
ドキドキしながらいざ開梱すると、丁寧に梱包されたお雛様に
美しい字で書かれた手紙が添えられていました。

「このお雛様は、尾張の武家の子孫であるお屋敷から出たものです。
経年の割にコンディションが良いので、代々大切に受け継がれたに
違いありません。
女雛の冠には、尾張ガラスがあしらわれています。
上等なものであると、自信を持ってお渡しします。
どうぞ、末永く可愛がってくださいませ。」
という内容のお手紙でした。

見ると尾張ガラスの玉の色は、偶然にもあらかじめ用意していた
タペストリーとまったく同じ美しいターコイズブルーでした。
まるで”カフェしえと”のために、百年の旅をして戻って来たかのように
ずっと昔から、ここに座っていたかのように
無理なく空間に馴染んでくれました。

関東と関西では、男雛と女雛の配置が逆です。
向かって右に女雛を配置するのが、関東風です。

どちらに配置してみようかな、と関東風に女雛を右に配置してみて
びっくりしました。
男雛と女雛の顔が、ほんのすこしお互いの方に振れているのです。

もともと、関東風の置き位置で作られたお雛様だったわけです。

お雛様に合わせて、お神酒徳利と花器は神棚用のものを合わせたくて
合羽橋の神棚専門店まで買いに走りました。
もっともトラディショナルなしつらえには、現代のものは似つかわしくなく
これしかないと思ったのです。

左右対称に、桃の枝を生け菱餅を飾ります。
なんのひねりもなく、ただもとの姿のままに雛を置き
生えている姿そのままに花を生けるだけで
私の仕事はなにもありません。

自然とは、伝統とはそうゆうものなのだと思うのです。