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リタイアーのよもやま話

知的幸福の技術

2011-05-04 12:04:16 | 若い時に読みたかった本

知的幸福の技術
自由な人生のための40の物語

橘玲

幻冬舎文庫

を読み終えた。

いつの頃からか、橘玲氏の本に興味を持つように
なった。

夢だけを見て生きていくわけにはいかない。真実だけを
突きつけられる世界は息苦しい。
社会を支える相反する二つのルールと上手に折り合いを
つけるところに、人生の知恵は生まれるのだろう。

と語っているが、凡愚のわたしには、その知恵がなかなか
身につきそうにない。

この歳になっても。

しかし、彼の見る「真実」は、性善説の人間にとって、悪魔
的とさえ言える。冷徹であり、爽快でもある。

息苦しさに耐えかねて、真実を知らないのは、危険でもある。

不都合の真実は、念頭におく必要がある。

ただ、その頃合いが、いつなのか、自信がない。

でも、お互いの年代になって、この真実を知らないというのも
どうかとも思ったりする。

わたしは、性善説を前提とする現場で、仕事をしてきた
ので、この真実を知ることは、辛すぎる。

しかし、そうでもなければ、少しでも若い時に、この本を
読んで、相反する二つのルールと上手に折り合いをつけら
れる人生を選択するのも、善きことかも知れない。

過剰に性善説に拘らない人生を選択するのであれば、
この本を若い時に読むのは、勧められることかも


ニューリッチ

2011-03-10 22:19:12 | 若い時に読みたかった本

9時ー5時労働からおさらばして、世界中の好きな場所に
住み、ニューリッチになろう。

「週4時間」だけ働く。

ティシモー・フェリス著
田中じゅん訳

青志社


この本にこのようなことが書かれている。


みんなただ億万長者になることを望んでいるわけ
ではない。

億万長者のみが手に入れられると思い込んでいる
ことを経験したいだけなのだ。

銀行に100万ドル貯めこむなんて、ちっとも
ファンタジーにならない。

お金を使って得られる完全に自由なライフスタイル
こそファンタジーだ。

そこで、疑問が湧いてくる。

100万ドルがなくても億万長者のような完全に
自由なライフスタイルをとりあえず手にするには
どうしたらいいか?

以上。

 

「週4時間」だけ働く奇想天外な方法を考えだし、
億万長者のみが手に入れられると思い込んでいること
を経験しつくそうなんていう、とんでもない生き方
である。

残念ながら、そのような生き方をするためには、
そのことが可能な職業があると思う。

わたしがやってきた仕事では、このようなことは、
現実的に不可能だ

この著者だって、それは、否定できないと思う。

仮にわたしが可能な職業であったとしても、現在
のわたしの住んでいる環境ではできないだろう。

やはり、英語圏の世界でなくては、不可能だと
いうような気がする。

もっとも、わたしの場合は、そのようにして
時間を確保して、貴族的な生活ができるかと
いうと、残念ながら自信がない。

自由になったら、何をしていいのか分からない。
これが、自分の現実だと思う。

昔風の言い方をすれば、根っからの〝賃金奴隷〟
の性分なのだろう。

退職生活に憧れた割には、情けない現実である。

でも、このような生き方が可能であるということは、
驚きである。

富裕層のおいしい部分をつまみ食いする貴族的な労働者
の出現かな?

なんて思ってしまった。

ある意味で、新しい階級の出現だろう。

この本を読めば読むほど、とんでもないことを
考えついた人がいるものだと思ってしまう。

このような労働を可能として生きてゆける人間と
そうでない人間との格差のありよう。

想像を絶する。

にしても、こういう時代なんだという認識は
しておく必要があるかも知れない。

このノウハウには、学ぶべきものがあるような
気がした。

なんという時代になったもんだ。

驚きとため息が出てしまう。

わたしたちの世代が、真似ることは不可能だが、
20代の世代には、読んでみて貰いたいと思った。

 


人生の旋律

2011-03-10 11:54:02 | 若い時に読みたかった本

人生の旋律

神田昌典著

講談社+α文庫


とある本の中に、この本の話が出てきたので、
注文して読んでみた。

「事実 は 小説 より 奇 なり」とか「数奇な運命」
という言葉があったが、まさに、この本の主人公
近藤藤太のことであろう。

やはり、この手の本は、若い時に読んでおくべき
だったと思っている。

ちまちました人生が、もう少しは、変わったかも
知れない。

わたしが、彼の人生の何十分の一かを体験する
ようなことがあったとして、生きていることが
できたか、まったく自信はないが、それでも、
何かしら、触発されるものがあったのではなか
ろうか。

この本を読んで、ふと思うことがあった。

それは、宮本武蔵のことである。

宮本武蔵に関する本を読んでいるうちに、気づいた
ことがあった。

それは、才能と時代とのミスマッチである。


ウィキペディアによると、以下のようになっている。

宮本 武蔵(みやもと むさし、天正12年(1584年)? -
正保2年5月19日(1645年6月13日))は、新免武蔵
藤原玄信のことであり、江戸時代初期の剣豪。

兵法者であり、また書画でも優れた作品を残している。

以上。


彼に関する本を読んで、何を思ったかということで
あるが。

上記の資料の通り、「江戸時代初期の剣豪」となって
いるが、彼の野心を知る限り、彼のような兵法者は
江戸時代初期にあっては、時代とのミスマッチ
であったということである。

生まれてくるのが、遅すぎたということである。

何かの本に書いてあったことだが、もう時代は
変わりつつあり、武術をたしなむ者でも、柳生
宗矩のように官僚の務まる者の時代に変わり
つつあったと記されていた。

宮本武蔵は時代の波に乗ることができなかった。と
いうことであり、彼の出自、野心からすれば、彼の
生まれてくるタイミングが遅すぎたということかと
思ったのである。

もしかして、豊臣秀吉と行動を共にするような
ことがあったれば、武蔵の違う人生になったかも
知れぬ。

というようなことを、この本を読んだ後、近藤藤太
の人生についても感じたのである。

それはさておき、この本の中で、気にかかったことが
あったので、抜粋してみた。

以下、抜粋。

トウタの人生はあきれるほど、金ですべてが解決
できる人生だった。

離婚という重大事件も、トウタにとってはヤブ蚊に
刺されたようなものであった。

二歳の息子も母親が面倒をみてくれるので、何も
問題がない。

会社も、事務所を日本郵船ビルの中に構えることが
決まって、本格的に稼動しなければならない。

これから忙しくなるから、かえって面倒なヤツは
いないほうが都合よかった、とさえ思った。

トウタは、のちにリトル・ヒトラーと呼ばれるよう
になる。

独裁者のようだったから、そうあだ名がついたのだが、
その独裁者の芽はこのときから出始めていた。

いったい、何かトウタの中で起きているのだろうか。

なぜ、朴さんをはじめとした朝鮮義勇兵を可愛がる
ような優しさを持っているトウタが、独裁者になっ
てしまうのか。

なぜ、愛していた妻を水の中に突き落とすような卑
劣な男になってしまうのか。

 


人は、変わる。とくに成功し始めると、変わってしま
うことが多い。

しかも恐ろしいのは、本人が変わってしまったことに
気づかないことだ。

大成功をなした経営者が、晩年、犯罪者となることが
あるように、成功者と犯罪者の差は、統一重なのだ。

このように成功に向かって突き進む過程で、不幸に
なってしまうことが起こる。

 


そこで転ばぬ先の杖として、トウタの心の中で何が
起きているのか、そのメカニズムを説明しておこう。

すると、あなたも人間関係で不可解な出来事が起こ
ったときに、その背景にある意味、そこから得ら
れる学びを受け取りやすくなるはずだ。

人間はひとつではなく、多数の人格でできている。

ボクらは、一生を通じて、自分の人格は基本的に
はあまり変わらないと思っている。

自分は「こういう人である」と思い込んでいるの
だが、それは幻想でしかない。

あなたの中には、何人もの別人格が棲んでいるのだ。

たとえば、あなたの中には優しい「世話役」がいた
り、闘争好きな「戦士」がいたり、理性的な「賢人」
がいたり、自由奔放の「愚者」がいたりする。

この基本的な核になる人格を、心理学者のユングは
アーキタイプ(元型)と呼んでいる。

人生の流れの中で、ある時期にはあるアーキタイプ
が強くなり、別の時期には、また別のアーキタイプ
が強くなる。

たとえば「戦士」というアーキタイプが強くなった
ときには、ふだんどんなに優しい人であったとしても、
その優しさが抑圧され、横暴になりがちになる。

言いかえれば、優しい資質は持っているのだが、
それが押さえつけられ、闘争的な資質が前面に
出てきてしまうのである。

トウタが、奥さんをお堀の中にぶち込んでしまうと
いう馬鹿なことをしてしまったのは、自分の中で
強くなる「戦士」をコントロールできなかったか
らとも解釈できるのだ。

なにも「戦士」の資質自体が悪いわけではない。

「戦士」が特つ闘争心-言いかえれば、「やって
やるぞ」と障害を打ち砕いて突き進もうとする強引
さ―は、独立して会社をゼロからスタートする場合
には、とても大切なエネルギーなのである。

しかし、事業の成長にとって有効な闘争心も、その
まま家庭に持ち込んでしまうと厄介なものとなる。


とても有能な経営者の中に、トウタのように何回も
結婚と離婚を繰り返す人がいるのは、ビジネスを
成長させるために活性化された「戦士」のエネルギ
ーをコントロールできず、家庭でも突き進もうと
した結果であるという見方もできよう。

さてトウタは、妻のヒロミをお堀に放り込んで、
目の前から消し去った。

すると、その後、どうなるだろうか?

「目障りなものがいなくなって、ああ、よかった」
とトウタは思ったかもしれないが、そうは問屋が
卸さない。

臆病の社員のクビを切って追い出すと、同じ部署で、
別の社員が臆病になることが多いように、目障りな
人物を消し去ったら、また別の目障りな人物が、
突如としてトウタの目の前に現れる。

あたかも偶然かのように思えるが、けっして偶然で
はない。

それは、なぜかといえば、内面で抑え込まれた人格
は、外面で実在の人物ー嫌いであったり、目障り
であったりする人物ーとなって現れるからだ。

「あんな人と一緒にしないで」と互いに毛嫌いする
二人が、まわりから見れば、ほとんど同じ性格をし
ていることがあるだろう。

嫌いな人は、自分の内面を映す鏡。

だから、もっとも嫌いな人から、もっとも貴重な学び
ー次の段階へ行くための突破口-が得られるのであ
る。

トウタの場合、「強く」「自立」した男性を演じる
ために、自分の「優しさ」という女性的な資質を内面
で抑え込んでいた。

「優しさ」を「女々しい」と考え、否定してしまった
のだ。

こうして心の内面で、自分のイヤな面を否定すれば
するほど、それは消えるどころか、逆に、そちらに
意識がいってしまう。

内面では見えないようにするので、外面で、つまり、
まわりにいる同僚や家族に、自分が抑え込んだイヤな
面を見出してしまうのである。

目障りな人物が登場したときに、トウタが気づくべ
きだったのは、その人物のイヤな面を切って捨てる
ことではなく、逆に解放して活用することだった。

「優しさ」を「女々しさ」「弱々しさ」と否定する
のではなく、認めることで、歯止めがかからなくな
っている「戦士」をコントロールする。

すると、あるときには思い切って「戦士」となって
突撃し、あるときには「優しさ」で周囲をねぎらう
という柔軟な行動ができるようになるのである。

このように両者をぶつけ合うのではなく統合する
ことができれば、経営者として器が大きくなる。


多くの人は、イヤな人の出現を、心理的メカニズム
による現象ではなく、たんなる偶然と切り捨ててし
まう。

そのため、貴重な学びを受け取ることができない。

そして学びを得ることができるまで、呪わしい現象が
目の前で起こりつづけるようになるのである。

そうした不愉快な出来事は、いつも予期していない
ときに起こる。

以上。


近藤藤太についての話であるが、仕事人間であった
わたしたちの世代にも、思い当たる人がいるのでは
なかろうか。

わたし自身も、結局この体質だったと思っている。
ただ、結婚しなかったので、このような不幸が
実現することはなかったのだが。

何かの本にあったが、公の時間とプライペートな
時間は、厳密に分けるべきで、公の時間は、効率的・
効果的を最優先する時間であり、プライペートな
時間はそれと相反する概念で対応すべき時間だと、
提言している本があったが、わたしは、プライペ
ートな時間より、公な時間を最優先すべきなんて、
思い込んで生きてきたので、どこかで、この報い
を受けるかも知れない。

いやもう、受けているのだろう。

これだけの人生でありながら、歴史の表舞台にその
人となりが、残らないのは、不思議であるが、それ
にしても、このような人生もあり得るということで、
多いに学べるものがあるような気がする。


ところで、この本の中で、思いがけないことが分
かった。

セレンディピティーである。

以下、抜粋である。


1987年、トウタの人生の師であった岸信介は、
90年の人生の幕を閉じた。

岸は以前よりも格段に日本に有利な新日米安保条約
の締結に成功したが、左翼マスコミに歪んだ報道
され、批判の矢面に立たされた。

そのため「昭和の妖怪」とのイメージが定着し、
その悔しさを亡くなるまでトウタに嘆いて
いた。

ここである。

わたしは、若い頃は、左に多いにかぶれたので、
「昭和の妖怪」の話が、記憶に残っている。

だから、彼が亡くなった時に、これで、右傾化
は無くなるなんて、ほっとしたことがあったが、


「『昭和の妖怪』とのイメージが定着し、
その悔しさを亡くなるまでトウタに嘆いて
いた。」ということの中に、本当は、真実
があったかも知れないなんて、思って
しまった。

今になってみれば、岸の選択は、当時の置かれた
状況にあって、可能な限りの現実的な処理であっ
たのだろう。

彼としては、国民への最大の善意だったかも
知れない。

 

今、メア発言でゆれている。

「沖縄の人は怠惰でゴーヤーも栽培できない」
これを言われた沖縄県民、どんなにか悔しかろう。

沖縄県民が、日常的に食する野菜であり、沖縄の
特産物である。

生産高ももちろん日本一である。

ゴーヤーなんて、家庭菜園でも作るし、夏場は、
日除けがわりにも植えるし、子どもの教材にも
なりうる。

2006年~09年まで駐沖縄米総領事だった
彼は、沖縄の何を見たのだろう。

等々の騒ぎの原因となる沖縄の基地を残すという
不条理も生み出しはしたが。

 

「『昭和の妖怪』とのイメージが定着し、
その悔しさを亡くなるまでトウタに嘆いて
いた。」ということを、あれほどまでに
歴史に残った人物が語っていたとは、何
かしら、思われてならない。


「もちろん、歴史が単純であったためしは
ない。」と誰かが言ったが、なんとも神妙
な気分になった。

 

 


世界経済を破綻させる23の嘘

2011-02-20 23:40:58 | 若い時に読みたかった本
世界経済を破綻させる23の嘘

ハジュン・チャン[著]
田村源二[訳]

徳間出版

最近、この本を買ったが、やっと読み終えることが
できた。

やっと読み終えるという気持ちになった本は、長い
間記憶にない。

あまりにも中身が濃いのである。

タイトルにつられて、買ったのだが、こんなにもヘビー
な本とは知らずに、読み出して、しばらくして、その
様子の違いにびっくりしてしまった。

最初にびっくりしたのは、文章の美しさである。

文章のリズムが綺麗なのである。

嘘を暴かんとする勇ましさは、猛々しくなく野卑にならず
颯爽として、品がいいのである。

本の出だしなどは、まるで、詩でも読んでいるのではという
錯覚に陥ってしまったほどの文章の流れであった。

実は、わたしは、最初、この本の著者については、注意して
見ていなかった。

漠然とアメリカ国籍の人だろうと、なんの根拠もなく、
決めつけていた。

読んでいるうちに、あまりにも不思議だったので、改めて
本の表紙を確かめてみて、びっくりしてしまった。

なんと著者は、韓国人だったのである。

今まで韓国人が、書いた本なんて読んだことがない。

この方面の文化人がいたなんて、びっくりである。

本の帯びには、こう書いてある。




ケンブリッジ大学の鬼才!
ノーベル賞に最も近い経済学者の渾身作

マネー、自由、貪欲、格差についての常識・通説を
破壊し、新しい世界経済の流れを読み解く!

市場経済では誰もが能力に見合う賃金をもらえる
インターネットは世界を根本的に変えた
インフレを抑えれば経済は安定し、成長する
世界は脱工業化時代に突入した
教育こそ繁栄の鍵だ
今や努力すれば誰でも成功できる
金融市場の効率かこそが国に繁栄をもたらす
良い経済政策の導入には経済に関する深い知識が
必要だ

これらは全部ウソか錯覚である!


と、書かれている。


本の目次に目をむけると、


本書の七つの読みかた

1 資本主義(資本制経済)がどういうものかもよくわから
  なければ―
  1 2 5 8 13 16 19 20 22 を読む

2 政治は経済には無益と思っているなら―
  1 5 7 12 16 18 19 21 23 を読む

3 所得が上がりつづけ、技術が進歩しつづけているのに、
  自分の生活が良くなっているという実感を得られないのは
  なぜなのか、と思っているのなら-
  2 4 6 8 9 10 17 18 22 を読む

4 金持ちになれるのは、他の人々よりも有能で、教育があり、
  起業家精神に富んでいるからだ、と思っているのなら-
  3 10 13 14 15 16 17 20 21 を読む

5 なぜ貧しい国は貧しいのか? どうすれば富める国になれる
  のか? それを知リたければ-
  3 6 7 8 9 10 11 12 15 17 23 を読む

6 世界はアンフェアな場所だが、それを正すことなどたいして
  できない、と思っているのなら-
  1 2 3 4 5 11 13 14 15 20 21 を読む

7 最初から順番にすべてを読む


本論は、以下の項目に沿って、展開されている。


はじめに 経済の「常識」を疑ってみよう


第1の嘘 市場は自由でないといけない

第2の嘘 株主の利益を第一に考えて企業経営をせよ

第3の嘘 市場経済では誰もが能力に見合う賃金を
     もらえる

第4の嘘 インターネットは世界を根本的に変えた

第5の嘘 市場がうまく動くのは人間が最悪(利己的)だからだ

第6の嘘 インフレを抑えれば経済は安定し、成長する

第7の嘘 途上国は自由市場・自由貿易によって富み栄える

第8の嘘 資本にはもはや国籍はない

第9の嘘 世界は脱工業化時代に突入した

第10の嘘 アメリカの生活水準は世界一である

第11の嘘 アフリカは発展できない運命にある

第12の嘘 政府が勝だせようとする企業や産業は敗北する

第13の嘘 富者をさらに富ませれば他の者たちも潤う

第14の嘘 経営者への高額報酬は必要であリ正当でもある

第15の嘘 貧しい国が発展できないのは起業家精神の欠如のせいだ

第16の嘘 すべて市場に任せるべきだ

第17の嘘 教育こそ繁栄の鍵だ

第18の嘘 企業に自由にやらせるのが国全体の経済にも良い

第19の嘘 共産主義の崩壊とともに計画経済も消滅した

第20の嘘 今や努力すれば誰でも成功できる

第21の嘘 経済を発展させるには小さな政府のほうがよい

第22の嘘 金融市場の効率化こそが国に繁栄をもたらす

第23の嘘 良い経済政策の導入には経済に関する深い知識が必要

むすび 世界経済はどう再建すればよいのか

となっている。

そして、その項目ごとに、彼の見解が述べられている。

その内容が、なんとも驚愕なものとなっている。




第1の嘘 市場は自由でないといけない

     だが、真実は、「自由市場なんて存在しない」


第2の嘘 株主の利益を第一に考えて企業経営をせよ

     だが、真実は、「株主利益を最優先する企業は
     発展しない」

第3の嘘 市場経済では誰もが能力に見合う賃金を
     もらえる

     だが、真実は、「富裕国の人々の大半は賃金を
     もらいすぎている」

第4の嘘 インターネットは世界を根本的に変えた  

     だが、真実は、「洗濯機はインターネットよりも
     世界を変えた」


第5の嘘 市場がうまく動くのは人間が最悪(利己的)だからだ

     だが、真実は、「人間を最悪と考えれば最悪の
     結果しか得られない


第6の嘘 インフレを抑えれば経済は安定し、成長する
   
     だが、真実は、「マクロ経済が安定しても世界
     経済は安定しなかった」


第7の嘘 途上国は自由市場・自由貿易によって富み栄える 

     だが、真実は、「自由市場政策によって貧しい国が
     富むことはめったにない」


第8の嘘 資本にはもはや国籍はない

     だが、真実は、「資本にはいまなお国籍がある」


第9の嘘 世界は脱工業化時代に突入した

     だが、真実は、「脱工業化時代は神話であり幻想
     でしかない」


第10の嘘 アメリカの生活水準は世界一である

     だが、真実は、「アメリカよりも生活水準が
     高い国はいくつもある」


第11の嘘 アフリカは発展できない運命にある

     だが、真実は、「アフリカは政策を変えさえ 
     すれば発展できる」


第12の嘘 政府が勝だせようとする企業や産業は敗北する
   
     だが、真実は、「政府は企業や産業を勝利へ導ける


第13の嘘 富者をさらに富ませれば他の者たちも潤う

     だが、真実は、「富みは貧者までしたたり落ちない」



第14の嘘 経営者への高額報酬は必要であリ正当でもある

     だが、真実は、「アメリカの経営者の報酬は
     あきれるほど高額すぎる」


第15の嘘 貧しい国が発展できないのは起業家精神の欠如のせいだ

     だが、真実は、「貧しい国の人々は富裕国の人々より
     も企業家精神に富む」


第16の嘘 すべて市場に任せるべきだ

     だが、真実は、「わたしたちは市場任せにできるほど
     利口ではない」


第17の嘘 教育こそ繁栄の鍵だ

     だが、真実は、「教育の向上そのものが国を富ませる
     ことはない」


第18の嘘 企業に自由にやらせるのが国全体の経済にも良い

     だが、真実は、「企業の自由を制限するのが経済に      
     も企業にも良い場合がある」


第19の嘘 共産主義の崩壊とともに計画経済も消滅した
 
     だが、真実は、「わたしたちは今なお計画経済
     の世界に生きている」


第20の嘘 今や努力すれば誰でも成功できる

     だが、真実は、「機会均等だからフェアとは
     かぎらない」


第21の嘘 経済を発展させるには小さな政府のほうがよい

     だが、真実は、「大きな政府こそ経済を活性化
     できる」


第22の嘘 金融市場の効率化こそが国に繁栄をもたらす

     だが、真実は、「金融市場の効率は良くする
     のではなく悪くしないといけない」

第23の嘘 良い経済政策の導入には経済に関する深い知識が必要

     だが、真実は、「経済を成功させるのに優秀なエコノミ
     ストなど必要ない」


むすび 世界経済はどう再建すればよいのか


原則1 資本主義はいろいろ問題があるにせよ、
    それにまさる経済システムはない

原則2 人間の合理性には大きな限界があることを
    認識して、新しい経済システムを構築すべきだ

原則3 人間の〝最悪〟ではなく〝最良〟を引き出せる
    システムをつくるべきだー自分たちは無私無欲の
    天使ではないと認識しつつ

原則4 報酬は必ずしもその人の価値によってきまる、
    という思い込みを捨てる

原則5 「ものづくり」をもっと重視する必要がある

原則6 金融と実態経済のバランスをもっと良くする
    必要がある

原則7 政府は大きく活発になる必要がある

原則8 世界経済システムは発展途上国を不当に
    優遇する必要がある


等のように、彼の本は構成されている。


わたしたちが、通常マスコミで知り得た情報とまったく相反する
ことを彼は主張している。

なんとも、驚愕の話である。

あまりの凄さに、わたしは、「コペルニクス的転回」という
言葉を思い出してしまった。

カントがこの言葉を遣いだしたのだそうだが、個人的には、
あまり好ましくは思ってはいない。

いい表現なだけに残念な気がする。

勝手な感想だが、彼のやった「コペルニクス的転回」は、
コペルニクスがやったこととは、反対のことであって、地動説
を天動説にもう一度ひっくり返したと思っているからである。

それはさておき、わたしにとっての「コペルニクス的転回」は
唯物弁証法の世界を知ったことであった。

20代前後の、あの政治の時代に覚えた言葉である。


「哲学者たちは世界をいろいろに解釈してきたに過ぎない。
たいせつなのはそれを変更することである」

「意識が生活を規定するのではなく、生活が意識を規定する」

「現実の世界の歴史は、支配する階級と支配される階級との
絶えざる闘争の歴史である。」

等のマルクスの思想は、わたしのパラダイムの転換を誘発して
くれた。

そのような時代に、知った言葉が、「コペルニクス的転回」と
いう言葉だったが、

今回、まさに、この「コペルニクス的転回」が再び起こった
ような思いがしてならなかった。

わたしは、読み終えてみて、この本が、いろんな国々の言葉で、
翻訳され、世界中の人々で読まれてほしいものだという感想を
もった。

わたしたちが、信じて疑わないことが、実は、誰かがこさえた
マトリックスの世界に閉じ込めるための、わたしたちを羊の
ようにあしらうための柵であるようだ。

この本を読みながら、大分前に読んだ本のことを思い出した。

それは、広瀬隆氏の「アメリカの経済支配者たち」「資本主義
崩壊の首謀者たち」。そして、堤未果氏の「アメリカから
〈自由〉が消える」、「ルポ貧困大陸アメリカ」、「ルポ
貧困大陸アメリカⅡ」である。

これらの本を一緒に読んだ方が、どちらの本もより分かり
得るような気がしたのだが。

わたしたちが、今、絶望的な世紀末にあって、これを否とする
知性に出逢える幸運に喜んでいる。

わたしたちが、未来に希望を見出すために、わたしちの絶望的な
世紀末を図ることのできる知性の出現である。

彼は、資本主義の「中興の祖」とならんとしているようだ。

このような知性に未来を託すために、世界中の人々に、この本を
読んで貰えたらと、願ってやまないのだが。


お金と人生の真実

2011-02-17 05:46:35 | 若い時に読みたかった本
お金と人生の真実

幸せと豊かさを手にいれるために

本田健著

サンマーク出版

だいぶ前に、読み終えた本である。


本の帯びの表側には、

30年にわたり、お金と幸せについて
探求してきた著者が満を持して放つ、
決定版!お金のバイブル

これからの時代、もっとも必要なのは
「お金に振り回されない生き方」。

等と書かれている。


そして、本の帯びの裏側には、

お金とは何か?
すべての謎が?
いま明らかになる!

本書には「お金とどう向き合うのか」というヒント
をたくさん盛り込みました。

お金の本質についていろんな角度でみながら、お金と
どうつきあったら幸せになれるのか、豊かな生活が
送れるのかについてお話していきます。

本書を読み進めているうちに、あなたのお金の本質、
今までのお金の稼ぎ方、使い方、両親のお金観、先祖
代々のお金との関係など、いろんなことについて考え
ていくことになると思います。

とある。

本書を手に取ってくださって、ありがとうございました。
 お金をテーマにした本は、これまでに数子冊と世に出ています。
その内容は、お金をた
くさん得る法とそのテクニック、お金なしで生きる法から精神論
まで、多岐にわたっています。



あなたも、今までにお金に関する本をたくさん読まれたのでは
ないかと思います。

今、あなたが手に取られた本は、そのなかではちょっと変わって
います。

お金を儲ければいいと主張するわけではなく、お金を捨てなさいと
すすめるわけでもありません。

お金を愛せとも、大切にしろともいっていません。

あえていえば、お金から自由になりましょうというのが、私の
伝えたいことです。


本書には、「お金と人生の真実』というやや大汗さなタイトルを
つけましたが、お金は、100人いれば100通りの解釈が可能
です。

この本が、お金についての真実を詰るわけではなく、読者の
みなさんが、自分にとっての〝真実〟見いだしていただきたい
という願いを込めて、このタイトルをつけました。


そのために、本書はみなさんが「お金が何なのか」をあらゆる
角度から考え、自分の感覚、感情を整理する半助けができるよう
に組み立てられています。


 
払なりに、お金とは何か、どうしてお金が「人生を振り回すのか」
について、
明快に説明したつもりです。10代の学生でも、「お金ってこういう
ことだったのか!」ご理解してもらえるのではないかと思います。

お金は多面性をもっていて、人によってまったく違うものに見えます。

また、お金は、人の感情を大きく揺さぶるので、冷静にお金を見る
ことができる人もごくわずかです。

そのために、ほとんどの人が、お金に関して混乱しているのです。

お金とは何なのか、どうつきあえばいいのかが理解できると、
お金ともっと上手につきあえるようになってきます。

すると、そのぶんだけ、あなたの人生もより自由で楽しいものに
なっていきます。

以上、まえがきより、抜粋。


目次を紹介すると。

プロローグ お金がわかると人生が見えてくる。

第1章   なぜお金は〝魔物〟になるのか?

第2章   お金の正体をさぐる

第3章   人生を決める「お金の設計図」

第4章   上手にお金とつきあうために

第5章   お金に振り回されない生き方

あとがき  お金から自由になると、人生はがらりと
      変わる


以上。


著者は、10代の頃から数千冊に及ぶお金に関して
書かれた本を読んできたようである。

そして、お金についての探求を重ね、30年たって、ようやく
自分なりの答えを見つけました。

ということらしい。

最初は、この本のタイトルを見たとき、あまりにもタイトルが
露骨なような感じがしたので、臆してしまったが、お金について
は、いろいろと知りたい気持ちがあったので、ミーハーになった
気分がして、ちょっと恥ずかしかったが、読んでみることにした。


読後感として、結論から言うと、このような本をもっと若い頃に
読んでいたかった。

である。

どこかの本でも、書いていたが、わたしたちは、日頃、お金の
話をするのを憚る傾向にある。

だから、お金がどういうものであるかということついては、無知
のままに大人になっていく。

大概のひとは、「お金とは?」ということについての知識は、
成り行きまかせである。

だから、勘のよい人は、それなりの力を身につけるが、大方
の人間は、成り行きまかせに大人になったばかりに、お金に
ついては、躓く人が多いのではなかろうか?

わたしは、子ども頃、金があることについて、罪悪感をもって
しまった。

若いころは、マルクスにかぶれたものだから、その後遺症を
ひきずりつづけてしまった。

今になって振り返ると、大きなマイナスになってしまったと、
この歳になって、後悔の念がわかないこともない。

勿論、お金で、とんでもない失敗をしたわけではない。

大過なく、終わった人生前半ではあるが。

それにしても、お金については、何らかの適切な素養を身に
つける機会があってもよいのではと思っている。

だから、今回のこの本に出逢えたのは、幸運と考えたい。

彼は、あとがきでこう書いている。

「私の夢は、みんながお金から自由になって、本当に好きな
ことをやって生きる世界の実現です。」

なんて言っている。

さすがに、10代から、30年も、そして、数千冊もお金の
本にこだわってきたはずだと、普通の子どもからすれば、
かなり、病的というか「おたく」っぽい、人生のようであるが
結果として、見事な成果ではないかと、感謝と羨望の念が、
わいてやまない。

わたしは、この手の本が、やはり、10代の頃には、読み
終わっていたら、かなり、人生が変わるのではないかと
思われてならない。

できれば、中学の2年頃には、この本を一通り、読み終え
る機会があればと、望まれてやまない。