goo blog サービス終了のお知らせ 

消費期限終了

リタイアーのよもやま話

責任感が強すぎると早死にする

2012-02-17 07:04:09 | 人生


とあるスポーツ新聞に、興味深い記事が
あった。


リスクから身を守る健康生活術94

医療ライター倉西隆男

責任感が強すぎると早死にする

免疫力1

免疫とは病気の原因となるウィルスやがんから
身体を守る働きのこと。

近年、健康長寿の切り札として注目されている。
順天堂大医学部の奥村康特任教授は世界で初めて
サプレッサーT細胞という免疫細胞を発見した世界
的な免疫学者だ。

奥村教授は一見、免疫とは無関係かのような研究
報告について次のように紹介する。

「その昔、どのような性格の人がどれくらい長生き
するかという面白い研究が海外でありました。
ユーゴスラビアに住む40~50代の家主150人を
調べたものですが、多くは目標をしっかり持って
生活している人たちで、そういう人たちが、暮らし
の中で目標を達成できなかったときにどうかという
ことを調べたのです」

結果は大ざっぱにこうだった。
ある目標が達せられなかったときに、「自分のせい」
にする、「自分が悪かった」と振り返り、自分の殻
の内に閉じこもってしまうといったタイプがもっとも
早死にしたという。

 「つまり、結果がうまくいかなかったことの全てを
自分の責任として感じるタイプです。いわば責任感が
強いといわれるのがこれ。
興味深いのは、対象になった人たちの約8割が、がん
で亡くなっていたことです」(奥村特任教授)。

  実は、似た調査が日本にもあるという。
国内にある「1部上場企業」に勤める部長が最も寿命
が短いというショッキングな内容だ。

厳密には退職時に部長というポストにあること。
定年退職後、平均わずか8年ほどで死亡するということ
が統計的に明らかだという。
日本人の平均寿命から明らかに短命ということができる。

  奥村特任教授は、「1部上場企業の部長になるために
は、良い大学を出るために勉強し、まじめに働き続け、
上役に言いたいことも我慢する。最後に部長という肩書
をもらって辞める。
そんなタイプはちょっとつまらないタイプといえるかも
しれませんね」と指摘する。

  ユーゴスラビアと日本での2つの調査から「勤勉」
「真面目」といったタイプでは長生きできない可能性
が示されている。
もちろんこれには、きちんとした免疫学的裏付けがある
というのだ。

以上。


このような記事を読むと複雑な気分になる。

「目的意識」「責任感が強い」「真面目」「勤勉」等
については、この世の中を生き抜いていく資質として、
好意的に受け止められている。

学校教育においても、そして職場においても、これらの
資質は、尊重されることはあれ、疎まれることはない。

わたくし個人的にみても、これらの能力を培うことが、
勧奨退職だったとはいえ、仕事を途中で投げ出さず、
ある意味で、第一の人生を全うすることができたはず
だ。

 

森村誠一氏は、自著でこういっていた。

○人生の風雪を耐え忍び、やっと余生がやってくる

 
老後が存在し、余生を過ごすためには条件がある。

それは、社会構造の中に組み込まれて人生をおくって
きたか、そうでないかだろう。

自分からその日暮らしの職業を選んだ人や、あるいは
自分の意志で定職につかなかった人、自由と引き換え
に社会構造の中に組み込まれることを拒んだ人などの
場合は、余生はない。

こういう人たちは、年金を払わず、健康保険も未加入、
貯蓄もない人が多いので、病気になっても簡単に医者に
診てもらえない。

終の棲家もないわけである。住所不定の場合もる。

この人たちは、余生の心配をすりも 日々の糧を得る
ことを考えざるを得ない。

以上。

森村誠一氏は、このように語ったのであるが、人生の
風雪を耐え忍ぶため、やはり、「目的意識」「責任感
が強い」「真面目」「勤勉」等の資質が、どれだけ寄与
したか分からない。

しかし、その結果、堀田力氏が、次のように語っている
が、

以下、抜粋。

子どもの頃、もっと遊ぶ時間が欲しかった。
勉強に追われて、進ぶ時間が足りなかった。仕事中は、
土、日も結構仕事に奪われた。したいことに取り組む
エネルギーも不足していた。

子どもの頃、進学以外の道は選べなかった。仕事に就い
てからは、仕事が絶対。

自分がしたいことを、ほかに考えるゆとりがなかった。

以上。

これらのことも、心当たりがあることではなかろうか。

親や社会の要求の前で、へとへとになっていたのでは
なかろうか。

しかし、これらの現実があってこそ、年金生活という
褒美が獲得できたのではなかろうか。そして、余生
という褒美も獲得できたのではなかろうか。

これらの成果を得るにあたっても、「目的意識」「責任
感が強い」「真面目」「勤勉」等の資質がどれほど貢献
したのだろう。


しかし、

高田渉氏は、こう言っている。


やりたくない事を日常的にやってると、
本当やりたいものが見えなくなっちゃう。

そのうちに、金をやりたい事に使う度胸も
なくなっちまうぜ。

以上。

これも、また、紛れもない現実ではなかろうか。

「目的意識」「責任感が強い」「真面目」「勤勉」等の
資質が、第一の人生を乗り切ることに寄与したことは
確かなのだ。

これらの資質を無きにして、どうして、猛烈に変わりゆく
時代にドロップアウトすることなく、生き延びることが
できるのだろう。

しかし、このことが、第二の人生の足かせになる。

なんとも言えない微妙な気分になってやまない。


イスラム憎悪の炎を煽る男

2012-02-04 23:13:57 | 人生

ニューズウィーク 2012.2.1


にあった記事で興味深い文章があった。

 


イスラム憎悪の炎を煽る男

 ウィルダースは矛盾の塊だ。
暴力は忌み嫌うと言いつつも、彼の過激な言辞は
問違いなく人々を過激な行動に駆り立てている。

 ウィルダースの元には多くの殺人予告が寄せら
れている。

だが彼にとって、それは自分の正しさを証明する
勲章にすぎない。

「自分の主張がもたらす結果に責任を取るつもりは
なさそうだ」と、兄は言う。

「でも支持と人気が高まるにつれて、自分のメッセ
ージを本気で信じるようになってきた」

 そうであれば、別な広告板が必要かもしれない。

「ウィルダースが来るぞ┄┄┄用心しろ」
 
以上。


この記事の最後の文章に、興味深いものを感じた。

人生においては、えてして、こういうことがある
ような気がする。

誰かが、何かを言い出す。

その結果が、どういう結末になるかについては、
決して見通しているわけではない。

しかし、

「でも支持と人気が高まるにつれて、自分のメッセ
ージを本気で信じるようになってきた」

ということになりがちだ。

そのうち、エスカレートして、とんでもない結末に
なって、誰もがうろたえる。


高収入やイケメンでも“婚活難民”…驚きの実態!

2012-02-02 14:24:21 | 人生

ヤフーを見てたら、興味深い特集があった。

http://www.zakzak.co.jp/zakspa/news/20120124/
zsp1201241016003-n1.htm

高収入やイケメンでも“婚活難民”…驚きの実態!
★なぜか[結婚できない男]の意外な欠点

高スペックでも関係なし!
 婚期を逃す男には驚きの共通点があった

「’10年の国勢調査でのデータは実にシビアなもの
でした。

すでに上昇傾向にあった男性の未婚率がさらに深刻化
しています」と指摘するのは婚活コンサルタントの
大橋清朗氏。

「特にひどいのは35歳以上。’05年の調査では35
~39歳男性の未婚率が30.9%、彼らの5年後である
’10年の40~44歳は同27.9%です。ということ
は5年たっても新たに結婚できた人は全体のわずか3%。
5年前の同年代と比較すると一気に3割以上も減少した
ことがわかります」。

適齢になったら身を固める。そんな一昔前までの常識は
いまや幻想となってしまった。

しかも、それは高収入やイケメンといった相手に苦労しな
いように思われる人も例外でないという。

現代の“婚活難民”たちの実態に迫った!


?エリート商社マン“女の豹変”がイヤ!結婚にためらい

?年収1000万円の社長も“婚活難民”…そのワケは?

?モテたいなら“クドい話”“下ネタ”はご法度!

?新垣結衣似がイイ~♪“高望み男”の不幸な現実

?ガッチガチの金融マン…“ジコチュウ”で女より付かず

?崩壊家庭で育った悲劇…女とは深い関係になれない

?ユル~イ生活が好き!プロポーズはハゲる前に

?バツイチ子持ちの女もOK!40男の悲しい実情

?まるで女子高生!血液型で人を判断…食えないヤツ

?結婚への“近道”…幻想を捨て現実を見つめるべし!


以上。

この特集を読んで、ウ~ンとため息が出てしまった。

人生、うまい具合にはいかないものだ。

町中で、イチャイチャしている高校生の方が、なんだ
かんだいっても、結婚にありつくかと思うと、複雑な
気分になってしまう。

http://www.zakzak.co.jp/zakspa/news/20120124/zsp
1201241016003-n1.htm

ちょっと、ミーハーな気分になるが、一見、勝ち組の
人生コースを歩んでいるような人達にあっても、その
世界での、勝ち組と負け組がいるんだ。

この事例の中には、凡愚の人生においても、あてはまる
内容もあると思うのだが。

もしかして、結婚して良かったと言える人が、パレート
の法則の通り、20%。

もちろん、経済的なレベルは、ピンからキリまである
として、その中に、たまたま経済的にも富裕層がいる。

ということかもしれない。

もしかして、生まれ変わっても、一緒になりたいという
夫婦は、1%ということかもしれない。

そうなると、たいがいの結婚は、「種の保存」の維持
するための、DNAに組み込まれた行動かもしれない。

それはそうとして、この話しは、男性の話しである。
女性版の話しも、出てきたら面白いと思うのだが。

そのそうが、フェアだと思うので、期待したい。

ところで、次のような特集もあった。

もう「結婚」では食べられません!(日経ウーマン)

必ず結婚できる法則はあるか(プレジデント)

こうなると、わけがわからなくる。

もしかして、婚活について、中・高の授業で教える
ような時代になるのかも。

その方が、手遅れにならなくて済む。

しかし、それが、確実に婚活の負け組を決定づける
ことになりかねないこともあるので、やっかいだ。

知らぬが仏の人もいるはずだし。

自由・平等は、このことまでは、約束するわけ
でもなし。結婚できない者に、とっては、辛い。

第二の人生についての本を、乱読しているが、
これが、たいがいの本については、結婚して、
子どもを生み育て、なおかつ、退職後も夫婦で
あることが前提となっている。

独身、後はもっと辛い話しが、待っている。

とにかく、まだ、独身で第二の人生について、書き
記した人に出会ってない。

これも、厳しい事実だ。

いずれせよ。老後は、明るくない。


人生の整理術

2012-01-18 23:29:24 | 人生


人生の整理術
老いをスッキリ愉しむ秘訣

保坂隆著

朝日出版社


を読んだら、興味深い内容があった。


その抜粋である。


「これから先を考えると不安でしかたがない」

「最近、何をやってもおもしろくなくて」

 こんな悩みをもつ人がたくさんいる。

そんな人に私は、次のようにお尋ねすることにしている。

 「いらなくなったものはきちんと処分されていますか?」
 「家の中はスッキリ片づいていますか?」

 驚いたことに、たいていの人の答えは「それがなかなか、
できなくって」とか、「もう少しスッキリ暮らしたいと
思ってはいるのですが……」などである。

 身辺の整理について尋ねているのは、いうまでもなく、
それが心の状態を映し出すものだからである。

「服の乱れは心の乱れ」。校則の厳しい学校では、こう
いって、ときどき着衣や持ち物 の検査が行われたりする。

同じように、「生活の乱れは心の乱れ」といえるのだ。

 家の中がごちゃごちゃ収拾がつかない状態になっている
人は、心が整っていないことも少なくない。

不安に揺れたり、さびしい日々を送ったりしている。

 不安が強い人は、「もう使うことはない」と思うもの
でも手放すことができず、どんどんため込むようになり
がちだ。

気持ちの整理が下手な人はものの整理も下手で、せっ
かくとっておいても、いざ必要というときに、どこに
しまっておいたかわからなくなり、イライラと探し
まわったり、ついには探し出すのをあきらめて、新しく
買ってくる羽目になったりする。

それでいて、探し出せなかったことにけっこう傷つき、
イライラをさらにつのらせる結果になってしまう。

 「いらなくなったものはきちんと処分されていますか?」

いらないものがため込まれていないかどうか。足の踏み
場所もないほど散らかっているのは言語道断。

ある程度きちんと片づいているようでも、床にいろいろ
積み上げてあるような場合は、収納しきれないほどもの
をため込んでいると推測でき、「要注意!」となる
そうだ。

自己管理ができないことを暗示しているからだ。

 

 ものを手放すこと、捨てることは、それまでの自分の生き
方を見直し、本当に必要なもの、大事なものだけを見きわめる、
生き方の「棚おろし」ともいえるだろう。

 老いの目を目前に、これから後は、本当に必要なものを
中心に、スッキリ無駄のない暮らしに切り替えようと決意
することは想像以上に大きな意味をもっているのである。

「これからは、本当に自分らしい生き方を、好きなように
やっていこう」という決意を自分に刷り込むことだといって
もよいくらいだ。


 スッキリ整理された家の中は、自分を大事にした暮らしを
軌道に乗せていることを物語っているのではないだろうか。


~~~~

不安をなくすためには、求める気持ちを少なくすることが
いちばんだ。
少ないもので満たされる心の習慣をつけると、いままで
当たり前だと思っていたことも、ひたすらありがたく思え
てくる。

~~~~

買いすぎの心理には、さびしさや不安感が潜んでいる。

いくら自分に言い聞かせても、「買いたい症候群」が治らない
人は、心の奥にさびしさやそこはかとない不安感があることが
多い。

特に、ひとり老後の場合は、買い物によって心を慰めている
ことも多い。

衝動買いの最大の要因はストレスやさびしさなのである。

店ではどこでも、お客をやさしく温かく迎えて入れてくれる。
お客を、というよりも、お客がさし出すお金に対して温かい
のだ。

こちらも長い人生経験を積んできているのだ。そんなことは
ちゃんとわかっている。だが、わかっていても、さびしい心は
温かい言葉や笑顔が欲しくなってしまう。

~~~
〇過去
栄光に包まれた人ほど、いつまでも過去にしがみつかないのだ
ろう。
「心にしまっておくだけでは、忘れてしまった時が心配だ」と
いう人もいるかもしれない。だが、忘れてしまったものはなか
ったものと同じ、と割り切るのも清々しい。

記憶はなくなったのに、ものだけ残っているのはかえってもの
哀しい気がする。

 

以上。


不安が強い人は、「もう使うことはない」と思うもの
でも手放すことができず、どんどんため込むようになり
がちだ。

栄光に包まれた人ほど、いつまでも過去にしがみつかないのだ
ろう。
「心にしまっておくだけでは、忘れてしまった時が心配だ」と
いう人もいるかもしれない。だが、忘れてしまったものはなか
ったものと同じ、と割り切るのも清々しい。

記憶はなくなったのに、ものだけ残っているのはかえってもの
哀しい気がする。

と書かれているが、

何とも、反省すべきことだ。

 


いくら自分に言い聞かせても、「買いたい症候群」が治らない
人は、心の奥にさびしさやそこはかとない不安感があることが
多い。

特に、ひとり老後の場合は、買い物によって心を慰めている
ことも多い。

衝動買いの最大の要因はストレスやさびしさなのである。

これも、耳がいたい話しだ。

年寄りの「心の奥のさびしさやそこはかとない不安感」、これ
も、要注意だ。これこそ、高齢者の災いのもとだ。

でも、難しい話しだ。


増え続ける孤独死に需要高まる 遺品整理士の資格認定スタート 

2012-01-12 21:45:01 | 人生

ヤフーのニュースである。

増え続ける孤独死に需要高まる 遺品整理士の
資格認定スタート 

  独り暮らしのお年寄りが増え続ける中、亡くなっ
た後の遺品を整理する仕事の需要が高まっている。

昨秋には業界の健全化を目指して、遺品整理士の
資格を認定する一般社団法人が北海道千歳市に設
立。

すでに全国で次々と遺品整理士が誕生している。

遺品整理業を題材にしたさだまさし原作「アント
ノイノチ」の映画化でも注目されている
この業界の今を探った。

(札幌支局 藤井克郎)(産経新聞)


以上。

このニュースを読んで、なんとなく微妙な気分に
なった。

高齢化社会の進行とともに、独り暮らしの世帯が
増えていくという統計が出ているからだ。

ということは、わたしたちのような団塊の世代が、
高齢化すると、確実に孤独死は、増える。

気がかりな未来である。

わたしの父のアパートの入居者が、離婚して独身
になり、一人で住んでいた。

その人が、病死をしていた。タクシー運転者だった
が、出勤しないということで、会社の方で確かめた
ら、一人で死んでいた。

孤独死は、高齢者でなく働き盛りでも、このような
独身者のような突然な病死もある。

彼の住んでいた部屋は、不動産屋が管理している
ので、わたしがその後片付けに携わる必要は無か
った。

片づけが済んだ後は、リフォームの必要性がある
ということで、部屋の中を確かめることになった
が、その部屋の傷みかたが、尋常ではない。

合板の床板は、ボロボロだし、壁もすごく傷んで
いた。

本当に物凄いことになっていた。


遺品整理業の人の本は、2冊ほど読んだ。自殺者の
遺品整理の話しもあった。

孤独死には、自殺者の死もある。

実は、わたしの弟は、33か34の歳に自殺をして
いる。

6月の下旬頃であった。

今から、30年以上、昔の話しだ。ポカポカした日差
しの気持ちいい日だったことを覚えている。

その自殺した部屋を片づけに父親と従兄弟とわたしの
3人で出かけいった。

首を切って、死んだので、部屋に敷いてある絨毯を剥が
したら、血が残っていた。

それで、畳の上の血を必死になって、拭いた。

4畳半の部屋にたいした荷物はなく、こたつのテーブルの
上に、小銭が散らばっていたような気がする。

とにかく、片っ端から、どこから借りてきたか分からない
小型のトラックに積み込んで、廃棄したのだが、いったい
どこで廃棄したのかは知らない。

弟は、マラソンに凝っていたので、マラソン用のシューズ
がいくつもあった。

まったく先の見通しのつかない人生にあって、そのいくつ
ものシューズを買うことで、ささやかな夢を感じていたの
だろうと思えたりして、やるせない思いがしたのを今でも
覚えている。

弟が自殺したことは、わたしにとって、重たい何かを
残した。

弟の自殺の原因に、兄貴として、きっと大きな責任があった
のではと。

死ぬしばらく前に、弟から電話を受けた。その時に、何か
気の利いたことが言えていたら、違ったかもしれない
なんて。

以来、自殺者をだした家族という負い目を、ずーっと持ち
続けてきた。

確実に家族として責任があったのではという罪意識が、胸
のうちに、潜んでいる。

だから、弟が死んだことは、我が家においては、自然とタブー
になっている。

勿論、わたしは、今まで生活してきて、わずかな親しい人に対
しても、弟のことを話すことはなかったし、自殺で死んだと
いうこと、とても口外できなかった。自分自身の恥をさらす
ようで、堪らないのである。

ずーっと隠し続けてきていた。(もう、時効にしたい気持ち
だが。)

わたしたちの家族に、そのような自殺者をだす、歪な何かが
あったのだろうと。そして、歪な構造の一人として、自分が
存在したはずだということで、自責の念がいつまでも続く。

そして、ずーっと罪意識がいつまでも晴れない。死ぬまで、
引きずることになりそうだ。


弟は、東京に住んでいた。

部屋を片づけた後、弟を火葬することになった。

死に顔は、静かに寝ているとしか思えなく、今にも生き返り
そうで、死んでいることが信じられなかった。

とにもかくにも、息を吹き返してくれなんて、思われてならな
かった。

そういうことで、これから火葬するなんて、嘘のような気が
した。

ここで火葬したら、いよいよ死んだことが、確定するという
ことで、堪らなかった。

だから、いざ、火葬が始まったら、これで、確実に弟がいなく
なるということで、涙が出て止まらなかった。

死体を火葬しないで、防腐処理して残しておくという話しが
あったりするが、分かるような気がする。

そのようにすると、死者がきっとまだ生きているような気が
するのだ。今にも、起き上がってきそうで。

弟が死んで、わたしは、涙もろくなった。

映画やテレビみて、途中で涙腺がゆるんでくる。だから、
できるだけそのようなシーンのある作品は観ないように
しようなんて、心がけている。

いつまで、弟の死を引きずるのだろう?

いろんな孤独死がある。どのような死であれ、そのような
死は、生きている人たちに、大きな心の傷として、残る
場合が多いと思う。

わたしたちは、平均寿命が伸びたとして、喜々とした記憶が
ある。ついこの前のことのようだ。

しかし、時代は核家族化し、どんなに子宝に恵まれ、子育て
に至福の一時を感じた人であっても、高齢になれば、いずれ
の夫婦も、単身世帯となり、老いていく侘しさと、孤独死
の可能性という厳しい人生の終焉を突きつけられる。

子どもの頃、21世紀は輝いていると、期待させられて
きた。

辿り着いた21世紀、「どしゃぶり」ではないが、いわゆる
想定外の認めがたい現実が到来してきた。

今、後続の世代が、先行する世代より、貧しくなっていく
時代だ。先行する世代の「老い」を、後続世代も国家も、
抱え込む力を急速に喪失しつつある。

デフレで、急速に企業が国外へ、我がちに飛び出そうと
する時代に、遺品整理業が有望の業種になるなんて、
自国の死臭が、立ちこめるようで、身震いする思いだ。

この厳しい時代に、新しい宗教が生まれるのだろうか?
それとも、新しい哲学が生まれるのだろうか?

この終焉に気丈に振る舞う強さを、どれだけの人が
持ちえるのだろう?