奈良県の建築家が日々思う設計事務所の家づくり日記、住まいの設計や住宅設計、注文住宅、注文建築、暮らしの事、収納の事

住宅の設計・リフォーム、暮らしのデザイン提案を家具や生活習慣まで丁寧に考えています。

安全に暮らすという意味と暮らしをデザインするという意味を含めて住宅設計の生み出す心地よい住まいの大前提として耐震や安全性をデザインするように。

2023年11月18日 | リフォーム・リノベーション・アドバイス

 

中古住宅の耐震強度と

補強するためのリノベーション。

※中古住宅リノベーション解体・耐震調査工事中

 

中古物件を選ぶときに

気になるの事、

先ずは耐震性能かなと思います。

※中古住宅リノベーション解体・耐震補強工事中

 

そして、

安心して暮らすのに

必要な耐震性能が

果たして満たされているのか?。

 

現状でどれくらいの

耐震性能があるのか?。

 

満たされていない場合は

どれくらいの耐震改修が必要なのか?。

と言ったご相談を多く頂きます。

※開放感を増して耐震補強と安全面を補強したリノベーション案件(LDK)

 

ここ近年の各地の地震被害によって、

大型の地震について

より身近に感じる方が増えていますし

各自治体も

古い建物について

助成制度を設けて

耐震改修を促しています。

※開放感を増して耐震補強と安全面を補強したリノベーション案件(LDK+和の畳コーナー)

 

その中でも特に古い木造住宅については

早急に耐震改修を進めていかなければ

いけない課題となっています。

 

空き屋や古家の問題も含めて。

 

そもそも中古住宅の

耐震基準はどれくらいのものなのか?。

 

一概には言えませんが、

現行基準の耐震性能を100とすると、

おおよそその30%くらいの

性能の建物が多いですね。

 

また、築年数によって

その性能は大きく変ります。

 

「1981年(昭和56年)を境に

それ以前の建物と

それ以降の建物で

耐震性能が大きく異なります。

 

その年の建築基準法改正で

耐震基準が大きく引き上げられたという

経緯がありますから。

 

その要因は1978年に起きた

東北の地震被害が

大きかったことが挙げられます。

 

それ以降、

阪神淡路地震のときも

その被害の大きさから

基準の改正が行われています。

 

1981年以前の耐震基準を「旧耐震基準」と呼び

特に耐震性能が劣る性能になります。

 

それ以降については「新耐震基準」と呼びます。

 

まずは元の建物の

耐震強度を調べるという事。

 

中古物件を検討するときには

必ずその耐震強度を計ること、

耐震診断をすることをお勧めます。

 

僕もリフォームを行う際に

当たり前の事ですが

耐震や安全性には最新の注意を払います。

 

そして事前の耐震診断は、

大きく「簡易診断」と「精密診断」の

2種に分けられます。

 

「簡易診断」は、

目視にて確認できる範囲で

現状を把握する方法となり、

「精密診断」は壁や天井などの

内装材や外装材を解体して

構造体を露わにして

その現状状態を確認する方法となります。

 

診断は内外装材の解体を

伴わない「簡易診断」で行うことが多く、

各自治体があっせんする診断も「簡易診断」となります。

 

診断では、壁の量(壁量)や

壁の仕様・仕上げを確認することが

主な内容となります。

 

例えば窓が多い建物は

必然的に「壁量」が少ない建物なので

耐震性能が低い建物と判断できます。

 

そして壁の仕様、

筋かい(リンク貼)が入った壁、

構造合板が貼られた壁、

石膏ボードという材料が入っている壁など、

その仕様によって壁強度が異なり、

どれくらい高い強度の壁(強い壁)があるのかで

その性能を計ります。

 

またその壁がいかに

バランス良く配置されているかも

大きな要因となります。

 

リノベーションで

耐震性能を高める・・・・・。

 

補強工事の種類元の建物の診断で

現状性能を把握し

耐震改修計画を行います。

 

リノベーションの内容で

どういった耐震改修ができるか、

費用をどれくらいかけるのかで

その計画は異なりますが、

目標は100%の性能です。

 

補強工事内容は単純に書くと

①「強い壁を増やす」

②「建物を軽くする」

③「劣化を修繕する」となります。

 

①「強い壁を増やす」・・・・・。

筋かいを入れた壁や構造合板を張った

壁をバランス良く増やして性能を向上する。

 

強い壁を増やす場合は

同時に基礎の補強も考えるように。

 

②「建物を軽くする」 

土で葺かれた瓦屋根を

軽いガルバリウム鋼板に葺き替えたりすることで

耐震性能を上げる事もひとつの方法。

 

③「劣化を修繕する」

外壁のひび割れを直したり塗り替えたり、

内装仕上げを新しくしたり、

床のキシミなどを修繕することで

耐震性能を向上するように。

 

適切な補強を施せば、

リノベーションでは

2室を1室に繋げたりと壁や柱を取り払って

広い空間にする改修が可能になります。

 

耐震強度に不安のある方には

リノベーションをおススメしています。

 

僕は、物件から検討されている方に、

検討中の中古住宅について

同行して耐震診断の入り口をお話して、

改修プランとして安全面からと生活や暮らしの面

総合的にご提案させて頂いています。

 

リノベーション向きなのかどうか?。

耐震補強工事が必要なのかどうか?。

どれくらい補強が必要なのか?。

理想の間取りは実現できるのか?。

 

身近にある暮らしの環境を

どのように改善するのかという事を

考えるのは大切な時間だと思いますよ。

 

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「木のキッチン」で 得ることができるもの、暮らしの空間コーディネートと同じく気持ちが安らぎ印象深くなる味わいの価値観をどのように考えるのか、設計デザイン・建築家と暮らしの提案立場から。

2023年11月18日 | 設計の事デザインの事

「木のキッチン」で

得ることができるものは・・・・・。

※天板・シンクはステンレス+木のキッチン(ペニンシュラ型)

 

キッチンで過ごす時間は

慌しいことも多くなります

 

「ここに収納がもっとあれば」

「ガスコンロがもっと掃除しやすかったら」など、

その時は気になりながらも、

結局そのままになっている人も

多いのでは?。

※LDKに配置したペニンシュラ型・木のキッチン

 

新築やリフォームで

キッチンの打ち合わせをする際には、

こうした「今のキッチンで不満に思っているポイント」や

逆に「今のキッチンで気に入っているところ」を伺いながら、

新しいキッチンについての

プランを進めていきます。

 

勿論「空間構成」との生活のバランスを考えながら。

 

快適なキッチン空間を計画するうえでは、

まさにここが大切な

分岐点となるわけですが、

色々お話を伺うと

まず出てくるのは「不満に思っているポイント」の方です。

 

その内容としては「収納力」「機器の手入れ」といった

機能面での不満もさることながら

「キッチンが他のインテリアと合っていない」

「扉や引き出しの前板が剥がれてしまっている」などの

意匠性に関する悩みも多く伺います。

 

家具と空間全体のバランスを気にするように、

そして家具そのものの

機能性や耐久性を気にするように、

キッチンもインテリアとして、

同時に機能性や耐久性を

追求している人も増えています。

 

様々な価値観をイメージしていくなかで

木のキッチンというもの

解決策の一つだったりします。

 

その意匠性・機能性の両面から

少し書いておきたいと思います。

 

木視率(モクシリツ)という言葉を

ご存知でしょうか?

 

木、正確には木目には、

見ているだけでも

気持ちが落ち着いたり、

集中力を高めてくれたりする

効能があります。

 

室内を見渡したときに、

素材として木が使われている

パーセンテージを表すものが木視率です。

 

この割合が30%のときに

人は安らぎを感じ、

45%になると気分が高揚するといわれています。

 

一般的に視界に入る内装の割合は

「床:20%・壁:60%・天井:20%」で、

+αで家具などが含まれてきます。

 

天井や壁がすべて

木でできているという住まいは少ないですが、

床がフローリングの場合

それだけで20%となるので、

それにプラスして

家具や対面キッチンの

リビング側の腰壁部分を木にすることで、

木視率をアップさせることができます。

 

では、なぜ居心地良いと

感じることができるのでしょうか?

 

一つ目は、

無垢の木の表面に現れる

木目の効果です。

 

原木から伐り出された

木の断面はひとつとして同じものがなく、

木目の模様や色の濃淡には

炎などと同じく「1/fゆらぎ」と呼ばれる

動きのパターンがあります。

 

それを見ることで

気分をリラックスさせてくれるという訳です。

 

また、木の表面にあるミクロの凹凸が、

太陽や照明の光を

分散させてくれることにより、

その反射率を50~60%にまで抑えて、

人の目に心地よい明るさになることも

その要因のひとつです。

 

二つ目は、

木の内部の構造です。

 

無垢の木材は内部に

たくさんの小さな空洞がある

多孔質という構造を持っています。

 

この空洞が、

空気中の湿度が高いときには

湿気を吸収し、

乾燥しているときには

水分を吐き出す働きをしてくれるため、

漆喰や珪藻土などと同じく

室内の湿度を快適に保つ役割を果たし、

快適な環境を生み出してくれています。

 

また、この構造は

帯電性にも関わっています。

 

樹脂やシート材などの表面材と違い、

無垢材は表面に

静電気を帯びることがありません。

 

冬の乾燥する季節でも

触れたときに静電気で

バチっとならないのはもちろん、

ホコリなどの吸着も

防ぎながら油汚れなどの付着を

防いでくれる効果もあるのです。

 

木のキッチンは

お手入れが大変そうと思われがちですが、

むしろ自然素材を使うことで

メンテナンスを簡単にすることに

繋がってきます。

 

たくさんのモノにあふれている現代。

 

モノを選ぶときの考え方も

本質を見極める

そんな時代になってきています。

 

その中でキッチンは家具の一部として、

その素材を家具との

マッチングも含めて

考えられるようになってきました。

 

また、長く使える素材として

無垢材の家具を選ぶ人も増えています。

 

持続可能なエコを考えていく

そんな必要がある社会の流れのなかで、

短期間で使い捨てるものよりも

長く愛着を持って使い続けられるものが

着目されています。

 

木材に関していえば、

天然石や皮革と同じように

人類の起源から道具として

暮らしに関わってきた素材です。

 

加工しやすく、

身近にあるものがゆえに

素材だったからという理由だけではなく、

その手触りや耐久性も含めて

本能的に今を生きる私たちが

木に惹かれるのは

こうした潜在的な要素が

関係しているのかも知れません。

 

そして、

長い歴史の中で

木の家具は作り続けられていて、

今でもアンティーク家具などは

修復を施しながら

使い続けられています。

 

これは・・・使い続けるほどに

家具としての味わいが増して、

その価値が高まっているからです。

 

キッチンで木を使うことを考えてみても、

こうしたアンティーク家具などと

同じことがいえます。

 

無垢材であればたとえエッジの部分に

傷が付いたとしても

そこから剥がれてしまうようなことはなく、

多少の傷であれば

むしろ使い込んだ風合いとしての

美しさに変わってくれます。

 

そして、長年使って

表面が傷んでしまっても

表面を削り直すなどの

メンテナンスをすることで、

その寿命を更に延ばすことができるのです。

 

また、木目のつながりも

デザインとして作られた面材は

美しいだけでなく、

自然素材でしか感じることのできない

色のグラデーションや

手触りなどの質感を持ち、

空間の中で存在感を

発揮しながら調和してくれるのです。

 

価値観、

空間や暮らしのイメージ

調和にもよりますが

使用するインテリア性も良く

長く使うことで味になり、

健康への良い影響も高い木のキッチン。

 

家具としてのイメージで

メーカーキッチン・セミオーダーキッチン、

フルオーダーキッチン、

ひとりひとりの事情に応じた

間取りと暮らしの提案で、

喜怒哀楽に寄り添いながら

過ごすことに「喜びのある空間」となるように。

 

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