建築家の視点で考える、
理想的ゲーミングルームの設計。
ゲーミングルームは
「現代の書斎」的用途を
持っているという事。
近年、
ゲームは単なる娯楽の域を超えて、
ライフスタイルや
自己表現の一部として
注目されていますし
職業としての「プロゲーマー」も。
それに伴い、
ゲームを楽しむための
専用空間「ゲーミングルーム」もまた、
住宅設計における
ひとつの重要な
コンテンツと
なりつつあります。
設計における目的は、
単に機能的な
空間をつくることにとどまらず、
ユーザーの個性や
美意識を反映させた、
没入感と快適性が
共存する「私だけの空間」を
つくりあげることです。
建築やインテリアデザインの
観点を交えながら、
洗練された
ゲーミングルームを
構築するための
実践的かつ美的な
アプローチを
少し書いてみたいと思います。
カラーパレットの選定。
空間設計の出発点・・・・・。
ゲーミングルーム設計における
第一歩は、
コンセプトとなる色の決定です。
僕はゲーミングルーム以外でも
「DEN」と呼ばれる空間を
間取りに提案することも
よくあります。
明るい「DEN」の場合もありますし
少し薄暗い「DEN」の場合も。
それぞれの暮らしの時間や
過ごしやすさを
汲み取りながら
提案させていただくのですが
ゲーミングルームも同じです。
色彩計画は
空間全体の印象を
決定づける要素であり、
インテリア選び、
照明計画、
家具配置にまで
影響を与えます。
例えば、「紫」を
テーマカラーに据える場合、
一口に紫といっても
赤みのある紫(マゼンタ寄り)と
青みのある紫(バイオレット寄り)では、
空間が醸し出す雰囲気が
大きく異なります。
赤紫系には
温かみと情熱、
青紫系には
冷静さと近未来感が
宿ります。
この色調に応じて
照明やインテリアを
調和させていくのが、
美しい空間づくりの
鍵となります。
同系色で統一された空間美。
空間に一貫性を
持たせるには、
「同系色」でまとめるという
配色戦略が
非常に効果的です。
インテリアや
アクセサリーの色調を
統一することで、
視覚的ノイズが少なくなり、
落ち着きと
洗練を感じさせる
空間になります。
紫を基調とした部屋において、
赤紫寄りの光源を
使用する場合は、
インテリアには
赤やピンクを含んだ
温かみのある配色を
選ぶと良いかと思います。
一方、
青紫寄りの空間には、
寒色系のアイテムを用いて、
クールで未来的な
印象を持たせることが
できます。
この色彩コーディネートの妙は、
まるで絵画のように、
空間全体を
一つの作品として
構築する発想にも似ています。
モノトーンの応用 。
照明と調和する
無彩色の力・・・・・。
空間に
色を取り入れることが
難しい、
または既存の家具との
調和を図りたい場合は、
モノトーンのインテリアを
積極的に取り入れるのが
おすすめです。
白や黒といった無彩色は、
どのような照明色とも
調和しやすく、
空間全体に
統一感と洗練された
印象を与えます。
また、
照明による反射や
吸収といった
視覚効果を活用することで、
空間に奥行きや
コントラストを
加えることができます。
たとえば、
紫の照明下で
白い家具は
淡いラベンダーに染まり、
黒い家具は
深い紫を帯びたように
映ります。
これは偶発的な演出ではなく、
建築における
「光と影の設計」に通じる
繊細な表現です。
配線設計と動線の美学。
実用性と視覚の調和・・・・・。
ゲーミングルームにおいて
見落とされがちな
課題のひとつが
「配線整理」です。
大量のゲーム機器、
モニター、
周辺機器を使用するため
配線が露出すると
せっかくの空間が
雑然としてしまいます。
これに対し、
ケーブルトレーや
配線収納に優れた
デスクを活用することで、
視覚的ノイズを
最小限に抑えることができます。
特に
配線整理機能が
備わった家具は
デザイン性と
実用性の両立を
叶えてくれます。
また、
使用頻度の高い機器は
手の届く範囲に、
稼働の少ない機器は
視界の外に配置するなど、
モニターや機器類周辺の
動線計画も重要です。
これは建築設計における
「ゾーニング」にも
通じる考えであり、
機能美を高めるうえで
欠かせない要素といえます。
CPU排熱設計。
空間機能を高める
テクニカルポイント・・・・・。
デザインに
注目が集まりがちな
ゲーミングルームですが、
機器の性能を
十分に発揮するための
「熱処理」も
重要な要素です。
特に高性能な
ゲーミングPCは発熱量が多く、
排熱効率が低いと
処理速度の低下や
機器故障の
原因にもなりかねません。
この課題に対しては、
パソコン用吊り下げラックや
メッシュ構造の
ラックを活用することで、
空気の流れを妨げず
効率的な排熱が
可能になります。
さらに、
清掃性の高い構造は
埃の蓄積を防ぎ、
長期的な機器保護にも
繋がります。
これはまさに、
建築における
「メンテナンス性」への
配慮であり、
美しい空間を長く保つためには
不可欠な視点です。
インテリアの選び方。
空間の統一感と余白を意識。
ゲーミングルームでは、
「装飾」よりも「設計の質」が
求められます。
インテリアは
過剰に装飾的なものよりも、
機能性を重視しつつ、
空間全体に
余白をもたらすものが
理想です。
扉のない
スチールラックを用いて、
空間に抜け感を演出したり
木質のアイテムは
あえて排除し、
無機質な素材感を
基調とすることで、
クールでモダンな
印象に仕上げる事も
選択肢です。
また、
植物を取り入れる際は、
その鉢や器の色にも配慮を。
インテリアの
カラーリングと調和するように、
白や黒、
またはテーマカラーの
延長線上にある
色味を選ぶことで、
空間全体の
世界観を損なうことなく、
自然のやわらかさを
加えることができます。
テーマカラー別の具体例
紫・白の空間設計術・・・・・。
紫をメインにした空間。
紫をテーマにする場合、
デスクには
白を用いて光を反射させ、
空間全体に
淡い紫の
ニュアンスをもたらします。
チェアやケーブルトレーには
赤をさし色として
加えることで、
赤紫系の世界観を
より濃密に演出します。
紫には
神秘性と
高貴さが宿るため、
照明の色温度や
照射方向まで
計算することで、
その魅力が最大限に
引き立てられます。
白を基調にした空間。
一方、
白をベースとした
ゲーミングルームでは、
黒をアクセントに
用いることで
空間に引き締めと
緊張感を与えます。
白一色では
単調に見えがちな空間も、
黒を効果的に
取り入れることで、
スタイリッシュ
かつ
現代的な印象に
昇華されます。
インテリアや照明は
白に彩度を加えたような色調
アイスグレー、
ホワイトピンク等を
選ぶことで、
柔らかくも
洗練された空間が
実現します。
自分だけの
「小さな建築」をつくる感覚で。
ゲーミングルームとは、
単なる趣味の場では
ありません。
日々のストレスから解放され、
創造力を
自由に解き放つための
「現代の書斎」であり、
「個人的な建築空間」です。
美しいゲーミングルームは、
ただの機能性だけでは
成り立ちません。
色彩、動線、視覚的調和、
そして空間全体に流れる
雰囲気までもが
計算されたとき、
初めて本物の
没入空間が完成します。
自宅やセカンドハウスに
自分だけの
理想のゲーミングルームを
つくり上げることで、
日常に彩りと
充実感を加えてみては
いかがでしょうか?
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