輸出! と言っても現代ではない。
韓国南部の古墳(5世紀末~6世紀初頭)から出土した木棺が、クスノキ製であることがわかったのだそうだ。
木棺は舟形で、長さ3,3m、幅0,8m、高さ40㎝ほどだという。これを作ろうとすると、かなりの大木の板もしくは丸太がいる。
それがどうした、と言われると困るのだが、クスノキは朝鮮半島には自生していないのだ。(かろうじて済州島にはある。ただし、大きく育たない。)ほかは台湾や中国南部である。ということは、この木棺の素材は、日本から輸出されたものと考えるべきだろう。
以前からコウヤマキという日本特産の木による木棺も発見されているから、日本から朝鮮半島に木材が輸出されていたという考えはあった。
朝鮮半島は、昔から木材が不足気味らしく、仏像もアカマツ材などで作っているらしい。クスノキは芳香があり、虫がつきにくいし、木目も細かい。黒檀の代わりに日本では仏像の素材としてよく使われている。輸出商品には向いていただろう。代わりに朝鮮からは、鉄を日本に輸出していたと考えられるそうだ。
もっとも、当時の新羅や百済という国は、日本を別の国と思っていたのかどうか、知らないけどね。
樟脳が化学合成されるようになって、役立たず扱いになってしまいました。
鉄は、5世紀の日本では、まだ生産されていなかったから、貴重品だったでしょうね。