人生いろは坂

人生は山あり谷あり、そんなしんどい人生だから面白い。あの坂を登りきったら新しい景色が見えてくる。

地球シュミレータ

2006-02-19 06:50:40 | Weblog
 フィリピンのレイテ島と言えば太平洋戦争当時、戦地に赴いた人ならず
とも多少は記憶に残っている島の名前ではないだろうか。この島で大規模
な地滑りが発生したと報じられている。既に千人近くの人が生き埋めに
なっていると言われているが、村一つが丸ごと飲み込まれたようであり
犠牲者は更に増えるかも知れないと報じられている。この一帯は比較的
年間降雨量が少ないところのようだが、今年はフィリピン周辺海域の水温
が高く例年になく大量の雨が降っているようだ。そんなわけで、地盤が
ゆるんで大規模な地滑りになったようだ。日本でも梅雨の終わり頃や台風
シーズンには良く起きる災害だ。しかし、千人もの人が一度に飲み込まれ
るような地滑りは聞いたことがない。想像を絶するような大規模なもの
だったようである。それと同時に周辺の開発が進み土砂崩れが生じやすい
状態になっていたのかも知れない。

 さて、昨晩はNHKが放映した地球シュミレータという超大型コンピュ
ータによる今後の温暖化によって生ずるであろう世界の気候変動の予測を
描いたものを紹介したい。見られた方も多いと思うがどのような感想を
抱かれたであろうか。
 今回のシュミレーションは大気中の炭酸ガスの増加が700PPMという
一番控えめに見た時の予測であった。960PPMまで上昇するという予測
もあり、700PPMでさえこのような大災害が発生すると予測されている
のだから、想像するのさえ恐ろしい事ではないだろうか。
 地球シュミレータの予測は、はからずもある現実に生じた異常気象に
よって立証された。それは赤道から大きく離れた南米での出来事だった。
ここで台風のような熱帯性低気圧が発生し、周辺に大きな被害をもたら
したのだ。通常、この当たりでは台風のような熱帯性低気圧を経験した
ことがなかった。しかし、地球シュミレータは熱帯性低気圧が発生する
前に同じ場所で同じものが発生することを予測していたのだ。あり得ない
ことが、とんでもないところで予測されていたために地球シュミレータに
携わっていたスタッフを戸惑わせた。データの入力ミスかコンピュータ
の予測精度の悪さではないかと思われていたようだ。しかし、そうでは
なかった。スーパーコンピュータは正しく予測していたのだ。
 はからずも、コンピュータがはじき出すすべての予測は正しいことが
立証されたのである。そのコンピュータのあるシナリオによると日本には
相次ぐ超大型の台風が何度も襲ってくるようになり、100年後には温暖
化のためにお正月頃が紅葉の最盛期であり、夏の期間が5月から始まって
10月まで続くと言うのである。四季を感じるような事はなくなってしまい
季節は大きく二分されてしまうようだ。亜熱帯性の気候になると言うこと
だろうか。
 最早、疑いようもない大きな気候変動であり、覚悟を決めて対策を練ら
なければならないようだ。しかし、少子高齢化、財源不足、どのように
して対策を立てれば良いのであろうか。描かれた超大型台風のシナリオの
中で七、八メートルにも及ぶような高波が押し寄せるようになるかも知れ
ないというから、その状態を思い描くだけでも恐ろしい事である。今や
「デイアフターツモロー」という映画が現実のものとなりつつある。

 この続きは翌日の日曜日にも放送された。その中では乾燥化の問題が
描かれていた。衝撃だったのはあの緑豊かなアマゾンの大半が次第に乾燥
し、サハラ砂漠のようになってしまうと言うのである。アマゾンが砂漠化
すればここに吸収されていた炭酸ガスは大気中に放出され、温暖化を更に
加速化させるという予測もある。日本を始め多くの地域が気温上昇により
蚊が媒介するデング熱やマラリア等という恐ろしい伝染病が蔓延するよう
になるとも言われている。
 いずれにせよ、温暖化の兆候は既に現れている。今回のフィリピンの
大きな地滑りもそうである。数年前、東ヨーロッパ一帯を襲った集中豪雨、
スペインの小雨と乾燥による農作物の大きな被害、中国の長江流域で発生
した大洪水、アメリカのハリケーンの被害、アマゾンの小雨による乾燥化
など数え上げれば切りがないほどの大災害が発生している。
 一方、温暖化を止めるための会議では各国の思惑でなかなか意見がまと
まらないような状態だ。人間のエゴが更に事態を悪化させようとしている。
コメント
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