ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

まったく情報のない沢へ、白沢川奈良倉沢

2013年07月03日 | 沢登り/多摩川小菅川水系

2013/6/30  梅雨時の寒気がときおり混ざり込む不安定な状況が続いています。土曜日も日曜日もどこか不安定。日曜日の方がまだましだろうと、日曜日にS子と二人で沢登りに出かけました。向かった沢は多摩川上流の支流で小菅川水系の沢。白沢川の奈良倉沢です。昨年遡行した大白沢のひとつ奥の沢です。ちなみに、その大白沢の記録は
http://blog.goo.ne.jp/1940sachiko/d/20120626  です。
地形図を見る限り、大白沢よりも佳い沢であるとは思えません。大白沢の方が流水域が広いですし、支沢もたくさんあります。保水力のある広葉樹の森も広がっているようです。
ですから、大きな期待はせずに出かけたのでした。

001
▲小菅行きバスが早いので、奥多摩駅から7:25のに乗りました。余沢バス停には8時過ぎに着き、そこから延々と車道を歩きます。
大白沢出合の少し先で林道が右に出て来ます。「甲扇アサノ」という看板のあるところ。9:13ころ。

003
▲左下を奈良倉沢が流れていますが、林道の終点まで歩いて、そこで遡行準備しました。もうすぐ出発の時間です。10:04ころ。

006
▲スタート地点からこの小滝です。なかなか良さそう・・・・ 10:05ころ。

008
▲落ち着いた雰囲気の佳い沢です。いい沢歩きが出来そう! 10:10ころ。

010
▲でも、完璧な沢なんてありません。ワサビ田もありますし、植林も広がっています。10:17ころ。

014
▲小さなゴルジュもときおり出現します。10:34ころ。

015
▲こんな狭い流れでは両岸からのボサがうるさくなりがちですが、ここはそんなことはありません。快適です! 10:36ころ。

016
▲庭園として観賞したくなるようなミニゴルジュが続きました。苔の付き具合もなかなかです。10:37ころ。
太ももや腰まで濡らしたくなければ、微妙なへつりを楽しむことも出来ます。

023
▲ミニゴルジュを堪能した後には、再びワサビ田です。10:56ころ。

026
▲ワサビ田が終わると、また渓流美が蘇えるのは嬉しいですね。11:05ころ。

028
▲沢の中にも陽射しが入り込むようになって来ました。11:06ころ。

031
▲支沢沿いにワサビ田が続いていました。11:10ころ。

032
▲すぐそばを通る山道も時々歩きます。この山道は遡行をスタートした地点からずう~っと沢沿いに続いています。11:11ころ。
このあと11:20ころから、標高930mあたりで20分間の休憩を取りました。

035
▲ワサビ田跡の石積み上を歩くS子。11:42ころ。

038
どっか~~ん! 大滝だあ~~っ!
まったくもって、全然、こんな滝の出現は予想だにしていませんでした。こんな裏切られ方は、本当に嬉しく、痛快ですね! 
やった~あ~っ!
高さは少なくとも15mはありそうです。20mはないでしょうが、「奈良倉沢の大滝」と呼んでも名前負けしない滝としての風格も十分備えています。11:45ころ。

036a
▲高巻くのなら左斜面です。容易に高巻けそうです。実際には、山道がちょうど通っていることが後で確認されましたから、山道を使って簡単に高巻けるのです。
でも、それではつまりません。滝を直登しましょう! でも、今日はシャワークライミングはちょっと勘弁です。濡れるような準備をして来ていませんし、何よりもS子は濡れるのが大嫌い。
と言う訳で、水流際でないルートを探しますが、左から簡単に登れそうです。3本の黄色い矢印で表したのが登攀ルート。見た感じでは3級程度と思われます。
実際登ってみて、下から1本目と3本目の黄色線部分は2級程度。2本目辺りが3級でした。ただ、プロテクションが2と3本目の黄色線の間に立つ灌木でしか取れませんから、3級と言っても緊張感はあります。脆い岩、草、枯れ葉など、対処法を誤ると手痛いしっぺ返しを喰うモノもありますし。

040
▲プロテクションを取る灌木が生えているテラスから横を眺めました。水流に近いあたりを、ハーケンを打ち込んでプロテクションを取りながら、登攀するのも楽しそうですね。僕にでも、登れそうに見えます。11:57ころ。

041
▲滝の下で僕を確保してくれているS子。後方にはワサビ田跡も見えています。11:57ころ。

043
▲途中のテラスの灌木からプロテクションを外しているS子。12:08ころ。
ザイルは8ミリ×30mですが、上の確保支点(灌木)までギリギリ30mでした。下で確保していたS子には2、3歩前に出てもらいました。

044a
▲大滝を登りきったS子です。いい表情をしています。顔はつぶしちゃってますけれど。12:10ころ。

047
▲大滝の上はまたまたワサビ田跡が続きます。12:19ころ。

049
▲現役のワサビ田もあります。12:22ころ。

050
▲二俣です。12:24ころ。
どちらへ行ってもさほどの違いはないと思います。ただ、左俣の方が少し傾斜が緩やかですし、下山コースに近いので、左俣を選択しました。そして、2回目の休憩を12:25~12:45まで取ります。
山道は右俣の方へ入って行っています。地形図によると、少し先で西の主稜線へ上がっていっているようです。

051
▲休憩した僕たちのすぐ横にヒキガエルがいました。ちょっとつつくと、奥の穴に身を隠してしまいました。12:26ころ。

058
▲二俣から先にはあまり水流はありません。水の代りに多くなったのは枯れ葉です。写真に撮ったこの枯れ葉は指の指紋のような模様を作っていました。12:58ころ。

060
▲素晴らしい森です。12:59ころ。

065_2
▲巨樹が現われました。幹回り5mはあるでしょう。ただし、残念なことにこの樹はもう死んでいます。菌類や昆虫などによって何年もかけて分解され、姿を消していくのでしょう。13:07ころ。

078a
▲根をクネクネと四方に張った巨樹が立っていました。「ここにお坐りなさい」と誘ってくれているようです。長く生き続けている樹とは静かに語らい合える心持ちがするのは僕だけでしょうか? 13:20ころ。

082
▲枯れ葉で隠れていた水の流れが最後の姿を見せてくれました。13:25ころ。085
▲枯れ葉にうずもれるようになりながら、S子が急傾斜な詰めを喘ぎながら登って来ます。13:30ころ。
このころまでは、眩しい光が谷間にまだ侵入して来ていました。

088
▲眼前の稜線に登山道があるに違いありません。もうすぐです。13:40ころ。

091
▲ところが、その稜線は支尾根に過ぎませんでした。登山道のある稜線はまだまだずうっと上方です。13:56ころ。

093
▲登山道に飛び出したS子です。稜線の山腹をずいぶん下で巻いている登山道だったので助かりました。14:02ころ。
装備解除すると、いつもホッとします。

096
▲装備解除も含めて30分間の休憩をとりました。歩き始めてすぐ、雨が降り出します。予報ではにわか雨が降るということでしたが、遡行終了後で実にラッキーです。僕は傘を差し、S子は雨具を着ます。14:47ころ。

097
▲いろいろな下山コースを考えていましたが、雨も降って来たので、いちばん安全確実な登山道から鶴峠のコースを選択しました。雨も小一時間で止みました。
ここが鶴峠。これからバス停までは嫌な車道歩きです。15:38ころ。

100
▲大白沢出合付近でマタタビの花が咲いていました。実も甘くて美味しいですけれど、花もとっても綺麗です。葉が白くなるのは昆虫を引き寄せるためなんでしょうかね? 16:18ころ。
白い葉になる理由をネットで調べてみましたが、分かっていないようです。園芸界で珍重される斑入りの葉の場合は葉緑素がそこだけ欠落する突然変異の場合が多いようですが、マタタビのケースでは白い葉にも葉緑素は存在しているようです。葉に空気の層などがあって、光を乱反射して白く見えるのではという説も。葉が白くなる時季と花の時季が比較的重なり合うので、葉の下に隠れるように咲いている花に昆虫が来てもらうための作戦とも考えられるようです。

102a
▲15:55のバスには間に合いそうにないので、のんびりと歩いて来ました。17:18ころ。
ここは余沢バス停です。次のバスは17:40なのです。一日に4本しかバスはありませんから、仕方がありません。
定刻通りバスが来ました。臨時バスも含めて2台も来ました。その理由は次のバス停ですぐに判明。東部森林公園キャンプ場でたくさんの若者がバスに乗ったのです。バス会社に連絡をしておいたのでしょうね。

今日も予定通り『天益』へ。お座敷では何か宴会が催されているようです。途中からコンパニオンも登場。コンパニオンって青梅あたりから来るのでしょうかね? 奥多摩には居そうにありませんからね。カウンター席は見慣れた顔触れの地元の方々ばかり。僕たちもしょっちゅう来ますから、顔だけは知られているようでした。

今日の奈良倉沢にはまったくの期待なしに来たのです。手前の大白沢よりもいい沢だという感触はありませんでしたから。でも、来てみたら実に佳い沢でした。今日は稜線まで駆け上がりましたけれど、時間がなかったり、初心者を連れて来ていたりの際には、大滝の上から沢沿いの山道を利用して林道まで戻れるのですから、比較的気楽に来れる沢でもあります。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 牛乳パックで小さな椅子を作... | トップ | 第8回山行μは雷雨と濃霧で途... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

沢登り/多摩川小菅川水系」カテゴリの最新記事