ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

二日続けて焚火が出来ませんでした

2012年10月13日 | ハイキング/谷川連峰

10月の3連休、S子とどこかを歩いて来ようと考えていました。ところが、土曜日に野暮用が朝と晩に2件も入ってしまい、2日間だけの山歩きをあれやこれや考えていたのですが、なかなか妙案が浮かびません。何故かと言えば、どうしても焚火の出来る幕営地を計画に繰り入れたかったからです。
テントが張れる平坦地と水があり、焚火も出来る流木が豊富な場所は沢沿い。しかも、山麓付近です。そこで1泊すると、翌日には山に登って家へ帰らなければなりません。紅葉とも出逢いたいですから、上越や東北がターゲットです。
いろいろ決めあぐねていたのですが、ふっとあることに気付きました。二人とも火曜日に仕事が入っていなかった。もうこれで決まり。火曜日も加えての2泊3日山行、これなら大丈夫です。

2012/10/7  上越線の後閑駅で9時25分発猿ヶ京行きのバスに乗り込みました。数人の乗客が途中から乗り込んでは降りることを繰り返します。終点ひとつ前の関所跡のバス停まで乗っていたのは我々二人だけでした。それが10:08ごろ。そこから赤谷川沿いに続く車道を延々と歩く二人。まあ、毎度のことです。

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▲道端のアザミの花にハナムグリがとまっていました。11:09ころ。

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▲広大な敷地を擁する高原千葉村を過ぎると、富士新田大橋が出て来ます。本当は橋を渡ると、左へと進まなければならなかったのですが、間違えて右へ行ってしまいました。11:53ころ。

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▲日本の里山の田園風景が広がっています。12:01ころ。

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▲お腹も空いて来ていたので(あ、そうです、さっき道端に落ちていた小振りの柿の実を食べたのですが、甘く柔らかくて2個も食べてしまいました)、こんな旗ヒラヒラのお店が出現すると、入らない訳にはいきません。12:03ころ。

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▲S子の頼んだおすすめランチです。手前の3つの鉢は二人で自由に食べていいピクルスやラッキョウです。12:19ころ。

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▲僕の頼んだギリシャランチ「ムサカ」です。12:20ころ。
店の御主人といろいろ話し、道を間違えたこともすぐに分かりました。こんなお店に入れたのですから、間違えて幸運でした。

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▲川古温泉を通り過ぎると、車止めのゲートがあります。このゲートを通過するのは今回で3回目。これまでは2回とも笹穴沢遡行でした。13:24ころ。

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▲赤谷川を渡る橋が現われます。赤谷川橋です。赤谷林道とは別れ、もうここは渋沢林道です。14:41ころ。

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▲大源太山登山口に立つ標識。15:18ころ。
周辺を探し回りましたが、さほど良い天場はありません。それでも何とかそれなりの場所に決め、テントを張りました。平坦な地面であることはもちろんですが、すぐ近くで焚火が出来ることも大切な条件です。

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▲テントを張り、荷物を整理し、沢の流れそばに焚火の場所を設定し、焚き木を集めます。それだけのことをやってから、やっと火を熾し始めました。写真の焚火のレベルまでにはすぐに達したのです。17:12ころ。
でも、それ以上になかなかなりません。この場所は沢の流れの横だとは言え、森の中ですから、川古温泉辺りからポツポツと降り続いていた雨を溜めている木の葉から風が吹くたびにパラパラと水滴が落ちて来ます。しかも悪いことに、止んでいた雨も小雨ではありますが、再び落ちて来ます。
潔く諦めて、テントの中に入りました。残念!

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▲初日の料理はポトフです。大きなウインナーやジャガイモ、ニンジンなどをたっぷりと入れて、S子が作ってくれました。ママカリのつまみも美味しかったです。19:23ころ。

S子はシュラフにシュラフカバーですが、僕はシュラフカバーだけ。それだけでは寒いので、20年以上前に購入したお気に入りのゼロポイント製とノースケープ製のクロロファイバー冬用アンダーウェアを上下とも着ました。どちらも、特にズボン下は強烈に穴だらけです。お気に入りだったので、手放し難く、今はこういう使い方をしているのです。脚の方が少し寒く感じましたが、標高は900mくらいですし、よく寝ることが出来ました。

2012/10/8  日の出は5時40分くらいですから、起床は5時。でも、S子と二人の時は、どうしてもテキパキと出来ません。のんびり、まったりとしたペースになってしまいます。

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▲朝食はラーメン。しかも、一人分だけ。昨晩残しておいたポトフの具などをたっぷりと使います。6:02ころ。

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▲食事中のS子です。左後方に渋沢が流れ、左手前にその支流が流れています。昨日は濡れていた草も今朝はすでに乾いていました。なかなか快適な天場でした。6:04ころ。

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▲S子と二人だとどうしてこんなに時間がかかるのでしょう? もう、7:48です。ここが登山口。

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▲最初の10数分は植林の中の急登でした。森は広葉樹林に変わっています。それでも、ジグザグの急登であることは変わりません。8:04ころ。

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▲ハナイグチだと思います。本当は採集して、今晩のおかずにしたかったのですが、今日は先が長いので我慢しました。9:25ころ。

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▲水場を示す標識です。9:28ころ。
ここまで途中で一回休憩を取って1時間40分かかっています。一般的なコースタイムは1時間20分ですが、歩き初めですし、荷も重いですから、これくらいかかるのは普通でしょうか。

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▲水場への踏み跡の途中にはイグチ(多分ハナイグチ)がた~くさん生えていました。写真のところには10数本も。9:30ころ。

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▲水場です。水量はわずかですが、涸れた笹の葉を樋にして汲めます。ペットボトル1本に汲んで、平標山ノ家まで飲みました。9:32ころ。

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▲一見、南国のフルーツを彷彿とさせるような実ですよね! 家に帰って調べると、どうやらホオノキの実のようです。9:42ころ。

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▲何の実? ついでにこれも家で調べました。おそらくガマズミでしょう。食べても甘酸っぱくて美味しいらしい。果実酒やジャムにも出来るとか。10:01ころ。

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▲白樺でしょうか? 10:11ころ。

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▲ツキヨタケの実に旨そうに見える群落がありました。これがもし猛毒でなければ、最高のキノコかもしれません。噂ではすごく美味だとか。
割ってみると、元の方が黒いのでツキヨタケだと分かります。10:12ころ。

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▲これはダケカンバなのでしょうか? 快晴のスカイブルーをバックにすると、樹々も輝いて見えます。10:19ころ。

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▲今年は残暑が長く続きましたから、山の紅葉はずいぶん遅れているようです。それでも、これくらいの紅葉は現われ始めました。綺麗です。10:23ころ。

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▲青と白が光り輝いています。10:40ころ。

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▲これもガマズミだと思います。10:47ころ。

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▲黄葉も輝いています。10:52ころ。

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▲黒金山山頂(1684m)です。向こうに見えるのが、平標山。10:53ころ。

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▲ここまでは背後の景色くらいしか見えませんでしたけれど、黒金山からは360度の展望です。写真は左から平標山、仙ノ倉岳、エビス大黒ノ頭。10:54ころ。

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▲紅葉や黄葉も少しは多く見られるようになりました。尾根筋に出ましたから、景色の上半分は常に快晴の空です。11:25ころ。

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▲背後のピークが黒金山です。11:39ころ。

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▲大源太山(1764.1m)山頂へ到着したS子です。11:43ころ。

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▲大源太山から下って来ると、三国峠~平標山の尾根に出ます。その尾根の西には苗場山~佐武流山~白砂山の稜線がよく見えるようになります。写真は苗場山。12:22ころ。
苗場山の広い湿原へ飛び出す沢を遡行する夢もあるのです。

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▲笹穴沢の上流部が見えています。12:31ころ。
120mとも言われている美しい大ナメは見えていないようです。2回遡行した経験がありますが、また行ってみたい沢ですね。

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▲イワカガミが咲いていました。夏に咲く花ですが、今年はそれほどに残暑が続いていたということでしょう。10月なのに見事に咲いていました。12:35ころ。

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▲後方の山はさっきの大源太山です。12:42ころ。

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▲平標山ノ家です。13:06ころ。昔の記憶と比べて、とても立派になっている気がします。この山小屋で川古温泉で別れて以来の人に会いました。それも、たくさん、たくさん、た~くさん!

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▲途中の水場で汲んだ水も無くなっていました。ここの湧水は実に美味しい! またペットボトルに汲みました。13:07ころ。

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▲雪の重みでしょうか? ダケカンバの枝があらぬ方向にのたうっているようです。13:29ころ。

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▲確か9年前の10月にH原君、Y根君と笹穴沢に来た時、平標山周辺のこの木の階段や木道に驚かされました。その時は下るだけでしたが、今回は登りです。山では階段の上りほど嫌なものはありません。リズムが一定なので、かかる負荷の部位も同じになるからなのでしょうか、やたら疲れます。平らな場所ばかりを踏み続けると、足の裏も疲れやすいのです。
まあ、植生保護の上では致し方ないのでしょうが、こんな階段は処刑台への13段階段のようなもの。13:33ころ。

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▲平標山(1983.7m)山頂に到着するS子です。14:08ころ。
今日の歩き初めからここまで休憩込みで6時間20分。コースタイムが4時間30分ですから、少し遅めですね。S子にとっては重荷を背負っていますし、のんびりと焦らずに歩いて来ましたから、仕方のないペースでしょう。
ここから急登の平標新道登り口になる渡渉点まではコースタイム2時間25分です。のんびりペースから普通ペースに変更すれば、3時間あれば十分に下れるはずです。日没が5時15分ころですから、それまでには下れると計算していました。

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▲平標新道の尾根が右にカーブしながら急降下しています。すぐ眼下には湿原の池塘が点在しています。14:22ころ。
平標新道のすぐ向こう隣りの山は積雪期に通っていた山々です。中央が日白山、左に延びる稜線の先に東谷山、右遠方へ延びている尾根の手前からが1581mピーク、タカマタギ、棒立山です。

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▲さきほど上から見えていた湿原の池塘群です。下の写真の向こうに見えている山は仙ノ倉山。池塘にはそれぞれの表情があって、とても個性的です。14:33~14:43ころ。
ところで、あんなにびっしりと敷き詰められていた木道や木の階段はこの平標新道にはほとんどありません。この湿原にもわずかあるだけで、大部分は湿原を踏み荒らしながら歩かなければなりません。この湿原にこそ、木道は必要でしょう。

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▲西ゼンの大ナメです。15:20ころ。
この沢へは一度来たことがあるのです。下流でビバークし、翌日遡行のつもりでした。しかし、朝起きると雨。退却した辛い思い出があります。まだ、行ったことがないので行ってみたいですね。

平標山手前からカメラの電池が残り少なくなっていました。予備を持って来ていないので、これ以降あまり写していません。まあ、そんな余裕もなくなっていたのかもしれませんけど。
平標新道は登ったことは何度もあるのですが、下ったのは初めて。下るには嫌な尾根だと、今回つくづく感じました。急降下ですし、滑り易い箇所も多く、とりわけ右方向に万が一滑り落ちると、絶対に止まりようはありません。すごく神経を遣いました。

矢場ノ頭に到着するころまでは何とか日没までの下山は可能だと計算していました。でも、その先からS子の歩みがどんどん遅くなります。急下降で神経を遣うのは確かなのですが、それ以上に今日ここまでの長丁場の疲労が出て来てしまったようです。それでも、急がせることが一番危険ですから、「ゆっくり、ゆっくり、慎重に」と言い聞かせます。
何とか薄暮の頃までに到着すればと思いましたが、それも叶わず、S子はヘッドランプを出します。とはいえ、僕にとってはまだ灯りがなくても見えます。見えるなら、灯りがない方が全体像はよくつかめるので、ないままで歩く方がいい場合もあるのです。

18時ころ、渡渉点の河原へ降り立ちました。河原の石が多くなると、逆に山道の場所が分かりにくくなります。少し迷いましたが、無事に渡渉。道標横にちょうどテント1張り分の砂地を見つけて、テントを張りました。
とうとう、この日も焚火が出来ませんでした。残念。とはいえ、S子も頑張ってよく歩いてくれました。
夕食は僕が作ります。キャベツをたっぷり入れた焼きビーフン。
空にはたくさんの星が出ています。久し振りにはっきりと天の川も見えました。今晩、そして明日の朝は冷えそうです。放射冷却が激しいでしょう。
僕は着こめる服の全部を着て、シュラフカバーに入りました。

2012/10/9  陽が昇ってからゆっくり起きた朝、吐く息は真っ白。こんな夜が幾晩も続けば、紅葉も進むことでしょう。

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▲S子後方の砂地がテントを張ったスペース。この日は土樽駅12:16発の電車に間に合えばいいだけなので、ゆっくりです。8:11ころ。
この写真を撮った直後、カメラは完全に動かなくなりました。最後の一枚、よく撮れたものです。

林道に出るまでの仙ノ倉谷沿いの登山道も緊張しながら歩きました。昨日、日没直前の頃、西ゼン遡行後のパーティーに追い抜かれましたけれど、真っ暗な中、渡渉したり、この山道を歩いたりは結構大変だったと思います。

林道に出たところで、ビックリ! 吊り橋があった所に、立派な橋が架かっていて、その先へも林道が続いています。去年の12月に完成した橋でした。

林道を何か食べられるものがないかと目を光らせながら歩いていると、ありました! ありました! アケビです。まだ青いのはそのままにしておきますけれど、少し紫がかったのは家で食べようと採りました。

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▲それがこのアケビ。栗は初日にとって、焚火で焼いて食べようと思っていたのです。

林道では続いて本当に見事なアケビが見つかりました。大きな3つの実が付いていて、たった今口をぱっくり開けたような初々しい姿。開けた口の奥には黒い粒々の種をくるんだ白くて柔らかそうな塊があります。ほんのりと上品な甘み。如何にも美味しそうで、実際美味しかったので、携帯電話で写真に撮ることも忘れてすぐに食べてしまいました。お見せできなくて残念です。

水上では温泉に入り、駅前の「きむら」でパイクツ麺を食べました。毎度の習慣なんです。
高崎駅では八高線の連絡が悪く、改札を出て、喫茶店に入って待ちました。
S子との二人山旅はいつもこんな調子です。
最後までのんびり………


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