575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

木の葉舞う日運転免許返納す  等

2020年12月28日 | Weblog

「高齢運転者」と呼ばれる年齢に達すると「免許返納」という言葉が
ちらつき始めます。家族の心配そうな瞳は無言の圧力になるし、
警察庁の調べで75歳以上の死亡事故は二倍以上になる!
などという数字をつきつけられるとなおさらです。
そこで作者は英断しました。
その日は、はらはらと木の葉の舞う日。
季節は冬の到来の近いことを告げています。

作者は「木枯らしの日」としたかったそうですが
木枯らしは吹きませんでしたとおっしゃっています。
私は「木の葉舞う」が断然良いと思います。木枯らしでは
悲壮感がただよってしまいます。(笑)

車とともに過ごした時間は、まさに木の葉のごとく、
ドキドキの初心者若葉に始まり、颯爽とハンドルをきる青葉へ。
真夏の太陽の光を十分に浴びた後色づき、やがて満足げに枝を離れていきます。
高齢者運転マークとして「もみじステッカー」を貼るのもうなずけます。
あれを枯れ葉と呼ばないでください。(よつばのクローバータイプのものもあります)

はらはらと舞う木の葉には、人生のいろんなシーンが投影されたかもしれません。
自分だけでなく、家族の成長や行事の思い出など数えきれないほどでしょう。
ただ、それもひとつの区切りに過ぎません。この一日もひとつの思い出として
刻まれて、新しい時間を作っていくのですね。
この句からは、多少の寂しさはあるものの
作者の満ち足りた静かな思いとともに、小春日の
穏やかな日射しが感じられますがいかがでしょうか。

私も、高齢ドライバーの仲間入りをする日が遠からずやってきますが、
免許返納時までに自動運転の車が手の届くところに来ますようにと
切望しております。
明るい未来を願って、皆さま良い年をお迎えください。郁子

コメント (1)
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