575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

「シャワー浴ぶ くちびる汚れたる 昼は」

2020年12月27日 | Weblog



櫂未知子<かいみちこ>1960年 北海道余市の生まれ。小
樽潮陵高校在学中より詩作を始めます。1987年青山学院
大学文学研究課程で日本文学を専攻し博士号を取得。武川
忠一が主宰する短歌会「音」に入会。塚本邦雄「玲瓏」に
も在籍します。しかし「音」の編集委員の代表を務める玉
井清弘の勧めにより俳句に転向。

「春は曙 そろそろ帰つて くれないか」<未知子>

1992年 俳誌「港」の新人賞、同人賞、評論賞などを受賞。
1993年より英国に滞在し、1996年に初めての句集「貴族」
を出版します。1997年には日本芸術院会員の国文学者、佐
々木幸綱が主宰する歌誌「心の花」に入会するなど、幅広
い知識を活かし多岐にわたり活躍します。

「雪まみれ にもなる笑つて くれるなら」<未知子>

第一句集「蒙古斑」は角川書店より2000年に出版。第三
集の句集となる「カムイ」はふらんす堂より2017年に発
刊。さらに、2017年にNHK俳句の選者を務めたことから
「言葉の歳時記」「俳句力上達までの最短コースなど」な
どハウツー本の著者としても知られています。

「経験の 多そうな 白靴だこと」<未知子>

ところで、2002年「俳句研究」の奥坂まやが、未知子の
蒙古斑に収録されていた句に近似した句を発表。未知子は
「俳句のオリジナリティとは」とやんわり反論しています。
結果としては奥坂まやが謝罪文を掲載することに至ります。
季語を使い17文字で表現する俳句。古今の類似した句を調
べ避けることの難しさを痛感します。 

「いきいきと 死んでゐるなり 水中花」<未知子>  

「いきいきと 死んでをるなり 兜虫」<奥坂まや>

未知子は、何気ない生活を口語で表現しています。そのた
め、花鳥風月を主題とするオーソドックスな俳句とはかけ
離れた印象があります。しかし、若年層に人気があるのは
事実。若い感性の琴線に触れる未知子の俳句。その是非は
別にして俳句の未来のカタチなのかもしれません。                

櫂未知子。現在60歳。「群青」「銀化」の同人。俳人協会
理事。国際俳句研究協会と日本芸術家協会の会員と華々しい
経歴を持つ女流俳人。

「少女まづ 瞳の老いて 雪まつり」<未知子>

今年、最後の拙文となりました。この場をお借りして句会の
みなさまに年末のご挨拶を申し上げます。良い年をお迎えく
ださい。


写真と文<殿>
コメント
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