575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

余白ありて埋められぬまま12月    郁子

2012年12月31日 | Weblog
余白とは、字や絵などが書いてある紙面で、
何も記されないで白く残っている部分。
余白を意識するということは、
余白が大きすぎてバランスがよくないと感じていることでしょうか。

この句の余白とは、どんな余白でしょうね。
ココロに生まれた余白でしょうか。
十二月となって、ふっと振り返る時に感じたムナシサかしら?

余白がまったくなくては、窮屈です。
かといって、余白ばかりでも困ります。
適当な余白が良いですね。

今日は大晦日。2012年も最後のどん詰まりです。
もう余白もなくなって・・・

    日めくりの大晦日だけめくられず   伊藤五六歩

                

この一年、ブログを読んで頂き、ありがとうございます。
みなさん、良いお年を。
                    遅足

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鉄塔に志あり十二月    童子

2012年12月31日 | Weblog
鉄塔の志。まさに鉄の志ですね。
なかなか遂げられない志。時は過ぎて、あっという間に12月。
鉄塔をみあげて・・・忘れてはいないと、自分に言い聞かせる。
前向きの句。この勢いで新年を乗り切っていきたいものです。

                        遅足
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鍋底の汁に手あぶり十二月    結宇

2012年12月30日 | Weblog
さほどに貧困を意識した訳でなく、全て鍋を揚げた後、
火を落として、何となく寒くなった手をあぶってる姿と、作者。

鍋を食べ終わった後、お腹は一杯です。
しかし部屋の空気になんとなくサミシイが漂って・・・
そんなサミシサを温めようと手をあぶるのでしょうか。

                      遅足

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美しき誤算の灯り十二月      狗子

2012年12月30日 | Weblog
何の誤算か、少々気がかりなところがおもしろい。
中味のある誤算を期待したのですが・・・と、結宇さん。

美しき誤算とは?と読み進むと、灯り十二月と続く。
十二月の夕暮れか、夜。一つの灯りが見えてきます。
この灯りが誤算の結果なのか?

うれしい誤算という表現があります。
この美しい誤算は喜ぶべきコトか?
あるいは悲しむコト?ちょっとほろ苦い誤算?
それについては作者はなにも言及していません。

作者がこの句をつくったの動機は、飲み屋のママからの催促。
しかし自由な読みを可能にしている俳句の形式。
それぞれの物語を楽しむことが出来ます。

                        遅足


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湯船にて手足伸ばして12月     すみ

2012年12月29日 | Weblog
熱めの湯にゆっくり。してやったりの反骨。
羨ましい、と鳥野さん。

私も、庭でとれた柚子を入れたお風呂で手足をのばしました。
といっても小さな湯船なので足は伸ばせませんが・・・
気ぜわしいからこそ、こんな時間が大切ですね。

                     遅足
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せかされてせかしてすぎる十二月     晴代

2012年12月29日 | Weblog
人間の可笑しさ、哀しさを詠むのが得意な作者。
さかされて・・せかして・・・一日一日が過ぎていく。
なにかと片付けておかねばならぬことが多い年末。
せかされて、せかす二人の姿が浮かんできます。
ともに健康に一年を過ごせたことに感謝しつつ。
かくて今年も暮れてゆく・・・

来年もよろしくお願いします。   遅足

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紐解けば故郷の匂う十二月     立雄

2012年12月28日 | Weblog
古里からの季節の到来ものでしょうか。
自然さを買いましたと、結宇さん。

ふるさと、何を思い出されますか?
私は、山や小川があり、田んぼに稲が実っているという山村。
「ふるさと」という歌の影響していると思いますが、
母の古里そのままです。
この句から柿とか栗、山芋など山里の幸を連想します。

私自身は名古屋生れの名古屋育ち。
東京にいる子供に送るとしたら、きしめんやういろう。
ちょっと句になりませんね。

お正月を古里でいう方もいらしゃるでしょうね。
我が家でも東京から子供が帰ってきます。
我が子にとっては都会がふるさとです。

誰もが、この句のような古里を持つ時代ではなくなっているのかも。

                         遅足


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足早に犬曳き帰る十二月     亜子

2012年12月27日 | Weblog
師走の被害は犬にまで。
愛犬家の思いやりがひしひしと、鳥野さん。

犬を飼っていましたから、この景はよく分かります。
日課としての犬の散歩。犬は大喜びです。あっちへ、こっちへ。
あちらこちらにオシッコをして・・・電柱をぐるっと廻って。
もっと遠くへと行きたがっています。
でも師走ともなると、ついつい気ぜわしくて。
急ぎ足になってしまいますね。

あとさきの犬とゆくなる青田かな  高野富士子

散歩はかくありたいもの。    遅足

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あきらめてあきらめきれぬ十二月     麗子

2012年12月26日 | Weblog
諦める、を辞書で引いて見ました。
例文として出てくるのは、進学を諦めるです。
作者は、なにをあきらめたのでしょうか?
恋を諦める。夢を諦める・・・
あきらめきれぬ、という強い中七。
十二月という季語からは、恋とかは連想しにくいのですが。

起承転結の人生。いよいよ「結」となってみると・・・
次の機会まで待ってみようと、先延ばしして来たことも、
もう手持ちの残り時間が少なくなって、諦めざるを得ない状態。

諦めらめきれないのが人間の証かも。 遅足


コメント (2)
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でで虫の祈り   鳥野

2012年12月25日 | Weblog
 ・クリスマス世界の子ども何ねがう

NHk俳壇に投稿された高校生の句です。
クリスマスと言えばプレゼントを貰う日。
着ぐるみ姿のサンタさんやトナカイが走り
回る日、イルミネーションが輝く夜という
光景がならいです。

しかし、世界には真の平和を神に祈る子どもの
多いことを、改めて思い知らされました。

 ・ 降誕の恩寵あまねく受ける夜か でで虫
   一対石垣を去らず
             鳥野

☆ ここで、朗報。松田宗匠が、中日歌壇の「年間
  最優秀賞」を受賞されました。

  ・ 生まれ落ちこの世にひらく掌に雪の香はあり
    前の世の雪

小島ゆかり評 「前の世」は「さきの世」と読みたい。
「この世に」でなく「この世へ」であることにより、
 時空の連続が暗示されている。命の謎を表現した独
 自の世界。
                

          
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旅立ちはひとりと悟る十二月    能登

2012年12月24日 | Weblog
特別のことがあったわけではないのですが、
12月は何故か旅立ちのことを考えてしまいます。
私の生命力の衰える月なのでしょうか?と作者。

冬至に向かって一日一日と日が短くなっていきます。
大昔から人類は、太陽の死を感じ取っていたのでしょうね。
奥三河の花祭のように、死から生への甦りを祈る祭は世界の各地に。
作者も、大きな宇宙の循環を体に感じているのでしょう。

今朝、名古屋は風花が・・・
北国だけではなくあちこちで雪でしょうね。
車の運転も充分気をつけて下さい。

                     遅足
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ゆるゆると街が濃くなる十二月     えみ

2012年12月23日 | Weblog
師走の忙しさでしょう。それを色彩に濃くなると言ったのでしょうか。
それに対して、ゆるゆると対比させている面白さ、と結宇さん。
独特の感性。気忙しく動き回るエネルギーで、空気が濃密に?と、鳥野さん。

ゆるゆると、という上五。
街が濃くなるという中七ともにユニークな表現ですね。

時間の流れは歳によって速度が違うようです。
若い頃ですと、なんとなく気ぜわしくて・・・
ゆるゆると、とは感じないのではないでしょうか?
人生経験を積んだ人の感性ではないでしょうか?

ゆるゆると、しかし確実に街は濃くなって・・・
極限が来て、新しい年を迎える。
一つの時代の終りの始まりを感じ取ったのかも。
とても面白い句です。
                  遅足

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飛脚ネコ馴鹿(となかい)続く師の走り 智恵

2012年12月22日 | Weblog
師走の街を宅配の車が走ります。
その後を追うようにクリスマスの馴鹿も続きます。
ユーモラスな俳句ですね。

昨日も夜9時を過ぎても黒ネコの車が走っていました。
ネットの普及でますます宅配業者は忙しくなっているのではないでしょうか?
今では本もネットで買うようになりなんだか申し訳ないのでがついつい便利さに頼ってしまいます。

今日は家にこもって年賀状を書きます。麗
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十二月句会の最終結果です。      遅足

2012年12月21日 | Weblog
12月句会の結果です。

題詠「十二月」

①飛脚ネコ馴鹿(となかい)続く師の走り(智恵)
②ゆるゆると街が濃くなる十二月(えみ)結宇・鳥野・晴代・すみ・智恵・童子・静荷
③旅立ちはひとりと悟る十二月(能登)狗子・智恵・郁子・亜子・童子
④あきらめてあきらめきれぬ十二月(麗子)えみ・狗子・すみ・智恵・童子
⑤足早に犬曳き帰る十二月(亜子)能登・遅足・鳥野・郁子
⑥紐解けば故郷の匂う十二月(立雄)結宇・朱露・晴代・郁子
⑦ストローのどこか詰まって十二月(遅足)能登・朱露・えみ・亜子・立雄
⑧せかされてせかしてすぎる十二月(晴代)麗子・すみ・立雄
⑨美しき誤算の灯り十二月(狗子)結宇・遅足
⑩湯船にて手足伸ばして12月(すみ)鳥野・麗子
⑪鍋底の汁に手あぶり十二月(結宇)
⑫余白ありて埋められぬまま12月(郁子)能登・えみ・狗子・静荷・立雄
⑬鉄塔に志あり十二月(童子)遅足・朱露・麗子・晴代・亜子・静荷

自由題
 
①夜の雪見上ぐる我が身空に落つ(能登)晴代・えみ・狗子・智恵・童子・静荷
②言の葉の切れ端集め年暮るる(麗子)結宇・遅足・えみ・郁子・童子・立雄
③雪の日の襖の目張り第九聴く(立雄)遅足・童子
④冬うらら千体仏の千の顔(亜子)麗子・晴代
⑤大根を買ってイエスの妻いそぐ(遅足)結宇・鳥野・狗子・亜子・郁子・静荷
⑥涸川や吹き積もりをる葉の厚さ(晴代)すみ・智恵
⑦マスクして素っぴん隠しひとっ走り(すみ)能登・亜子
⑧背を丸めまだらに陽受く紅葉坂(結宇)えみ・立雄
⑨切り離れこたつの宇宙周回中(郁子)狗子・すみ
⑩短日や量子力学微積分(狗子)能登・朱露・鳥野・麗子
⑪やさしさを混ぜてみました玉子酒(えみ)能登・遅足・朱露・鳥野・晴代・すみ・智恵・郁子・亜子・麗子・静荷・立雄
⑫年賀の画グルグル巡り早幾日(智恵)結宇

次回は1月16日(水)午後1時 東鮨
題詠は「水仙」です。

     水仙や織田信長に愛さるる   遅足



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十二月句会   麗

2012年12月20日 | Weblog
今年最後の忘年句会。
遅足さんがお風邪のためご欠席。「どこか詰まった?」感じで鋭い講評が聞けないのは残念でしたが、8名の方が参加され今年をしめくくる楽しい句会でした。

慌ただしい十二月、色んな俳句が集まりました。

宅配業界に送りたい俳句あり。街の彩り、最期を見送る十二月。やり残したことがいっぱいの主婦、足早に犬を曳く忙しさ、ふるさとからの小包も届き、でもどこかすっきりしない十二月。自分で忙しくしている十二月、美しき誤算はなんと飲み屋のママからの催促でした。忙しい一日を終えてやっとお風呂でヤレヤレ。鍋物で冷えた手を温めて、どこか埋められない切なさも、凛とした鉄塔に力強さを感じるそれぞれの十二月でした。

トップ賞はえみさんの

ゆるゆると街が濃くなる十二月

ゆるゆるがいいですよね。確かに街の彩りはイルミネーションを含めて濃くなってきています。

自由題でも圧勝だったえみさん。

やさしさを混ぜてみました玉子酒

「混ぜてみました」がいつもと違う風邪ひきさんへのいたわりが見えます。
ところが風邪のご主人はお酒が飲めないとのことで爆笑。でもこの気持ちは共感を呼びました。玉子酒協会?へ送りたい一句でした。
今年思い切って575の会に参加してくださったえみさんの快挙。おめでとうございました!!

盛り上がったのは

ちえさんの

飛脚ネコ馴鹿続く師の走り

師走の街を色んなものが走ります。

これは「十二月」という季語が入っていなかったので
宅配業者を並べて

飛脚ネコペリカン走る十二月

はいかがでしょうか?


また郁子さんの

切り離れこたつの宇宙周回中

はなんとまず「こたつの宇宙」と言ったお嬢さんの一言から始まって、その日、まさに北朝鮮のミサイルが発射されたのだそうです。
切り離れたのはなんと北のミサイルでした。家族がこたつの周りをぐるぐる回っている様子が浮かんだのですが。。。。俳句は本当に面白いですね。

ことしも色んな俳句に出会え幸せな一時でした。
新年は「水仙」で幕を開ける575句会。俳句で花を咲かせましょう。
いい香りを放てますように。
来年もどうぞよろしくお願いします。麗
コメント (3)
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