575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

どんぐり落ちる砲弾の形して    静荷

2012年10月31日 | Weblog
一本仕立ての平和賛歌。ちから漲るお作、と鳥野さん。

砲弾というコトバにちょっとドキリ。
マテバシイの実など、まさに砲弾のカタチです。
尖閣列島、竹島と、日本の国境周辺から、きな臭い匂いがする昨今。
そんな時代の空気を捉えた句です。

  10月の乾いた空に万国旗   麗子

自由題のこの句。
やはり昨今の空気を感じ取った句だそうです。

平和とは忍耐、というのが先人の遺した言葉です。
威勢の良い言葉を聞くと、この言葉を思い出すようにしています。

                           遅足


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柿マヨを作って食べて句も作る     朱露

2012年10月31日 | Weblog
    柿をむき適当に切りマヨネーズで食べる。
    昔私が開発した秋の味覚の新感覚だけど、
    と自慢しているが「知らぬは・・・」か。
    「知らぬは」の川柳を知らぬ人は居ない。



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お作、耀く   鳥野

2012年10月30日 | Weblog
松田宗匠の句集「そして」をいただいて、一ヶ月余。
空と海との相聞、という壮大な境地に浸っています。

巻末に短歌も加えられて、それはまた繊細な視線の作品、と
読ませていただきました。

句集の出版というお仕事の後、しばらくは、中日歌壇にお作が載らず寂しい
思いをしていました。

ところが二刀流は健在。10月28日付けの小島ゆかり選に堂々の入選。
独特の視点を歌い上げておられます。

 ・ 青空に飛び出す刹那満身の力を抜いて滝となる水

小島ゆかり評 ・水を擬人化して表現したことにより、「飛び出す」
「力を抜く」の動きが体感できる。「刹那」から「満身の」へ、リズム
もふいにゆるむ。うまい。

この結語は最高の賛辞。耀いています。

                  鳥野  
 
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メモ古ぶ「御茶ノ水檸檬画廊4:00(よじ)」     中江智子

2012年10月29日 | Weblog
今井聖さんの「部活で俳句」のなかの一句です。
御茶ノ水の檸檬画廊で4時。誰かと待ち合わせのメモです。
そのメモを、ふと読み返している作者。
どんな人との待ち合わせだったのか?
画廊に行ったのか、行けなかったのか?
その後、どんな展開があったのか?
様々なことを想像させてくれる句です。

今井さんは、この句について、こう言っています。
本来の写生、つまり子規が言った方法とはこういう句のことです。
写生はいわゆる俳句らしい情緒を持った風景を演出したり
見出したりして写すことではありません。
見えたものを見えたまま提示することです。
そこに作者の驚きや感動がいかなる情緒であれ、見えればいい。
この句、このメモの内容に作者の思いがこめられています。
演出ではこんなリアルは出ません。

説明を省いて対象を描写することにより、作者の思いが想像できる。
季語はありませんが、御茶ノ水、檸檬画廊、午後4時、
というコトバが生き生きとしています。

                       遅足

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晩秋の低山黒し人眠る     朱露

2012年10月28日 | Weblog
      「山眠る」だと冬になる。
      九時なのに人の気配なし。
      新聞を見たら日曜だった。
      これがヒトカドの定年者。



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通草もぐGI側を通りけり     朱露

2012年10月28日 | Weblog
GIはガヴァメント・イッシュウで、米兵のこと。占領軍の兵士。
通草をもいでいたら、側をアメリカ兵たちが通った、という回想の句。
戦争に負けて食べるモノも事欠く時代。
まして甘いモノは貴重品でした。
「ギブミー・チョコレート」と米兵に群がった子供たち。

山のなかで見つけた通草の実は宝物でした。
通草をもいでいると、GIが通って行った、という句。
占領下の一齣があざやかに切り取られています。

通草、スーパーで買って食べてみましたが、
あの頃の通草の味とは似て非なるものでした。 
通草が変ったのではありません。
変ったのは日本人のほうでした。     遅足

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木の実落つ幸せの道踏みしめる     麗子

2012年10月27日 | Weblog
家の近くの公園でしょうか。
木の実の落ちるなかを散歩。
日常の一つの風景です。
「幸せの道」と名づけることによって
散歩がちょっと特別なこととなり、
その一日がかけがえのない日に。
コトバの魔力でしょうか。
                遅足
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眠る子の掌(て)よりこぼるる木の実かな    亜子

2012年10月26日 | Weblog
まず手より眠くなるという幼な子。確かな観察、と鳥野さん。
そのままの状景ですね。当たり前過ぎるかな?
でも、優しくていいですね、と結宇さん。

幼子は遊びつかれてウツラウツラ・・・
しっかり握り締めていた木の実がぽろりと。
傍にいるのは母か、祖母か。あるいはオジイチャン?

どんなに大切にしているモノでも、
いつかは零れ落ちるように手を離れていく。
子供も木の実のように一人立ちする時がやってくる・・・
木の実も子供も未来だけを持っている存在ですね。

                     遅足


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秋天や恩師小さくなり給ふ      遅足

2012年10月24日 | Weblog
先日、小学校の同窓会に顔を出しました。
幹事の添え書きに、最後の会になるでしょう、と。
先生のお顔を見ようと出かけました。
十数年ぶりの恩師には、私がすぐに誰とは分からなかったようです。
名前を名乗ると「おお、こーちゃん!」と。
「こーちゃん」と呼ばれていた頃が甦りました。

昭和29年。6年2組。53名のクラス。出席は12人。
男性は25人中、7名がすでに亡くなっていました。
女性は亡くなった人はいないようです。
親しくしていた友はすでに亡く、病気で欠席の友も。

先生は半身が不自由とのことが、お元気でした。
お別れの時、手がとても温かでした。

     秋の空先生の掌の大きかり

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花の色は赤なのです   鳥野

2012年10月23日 | Weblog
間もなく秋の終りです。
まだまだ冬には馴染みにくい日々。名残りの野の花もそこここに。

その中に「吾亦紅」を見つけました。秋の七草にもはずれ、痩せた
姿態にまばらな花。

自ら「われの花もまた赤い」と名乗らねば、色も定かではない。それでいて
存在感のある不思議な花です。

ひょろっと長い草丈は風も素通り、目立たない花は鳥にも愛されず、
命の継承は如何にと、気がかりです。

 ・ 吾亦紅風に遅れてそよぎけり  鳥野
 
                
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山法師日毎に赤し今朝の秋      朱露

2012年10月22日 | Weblog
   山法師(ヤマボウシ)は落葉高木。
   私と共に居るから三十数年の友人。
   隣のコブシとモチノキは緑のまま。
   憎くはないが可愛くない変な関係。



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岩風呂は風の抜け道木の実降る    立雄

2012年10月21日 | Weblog
静寂の一刻、身も心も一新です、と鳥野さん。

体をお湯のなかに。眼をつむると風の音。
頬に冷たい風が心地よい。
木の実の落ちる音。
ここは風の抜け道だったのか・・・

岩、風、道、木の実。
17文字のなかに句の世界を形作るコトバがぎっしり。
しかし窮屈な感じがしません。
抜け道というコトバがとても効果的です。

                      遅足

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命ある木の実を拾いポケットに     えみ

2012年10月20日 | Weblog
木の実を拾いました。ふと、木の実にも命があると気づきました。
大切にポケットに。

木の実に命があること。
その通りなのですが、意外と忘れています。
この句を読んで、そのことを再確認しました。
手の中に置いた小さな命。
そっと大地に返してあげるのも良いかも・・・

                      遅足


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10月句会の結果です。     遅足

2012年10月19日 | Weblog
10月句会の最終結果です。

題詠「木の実」
①命ある木の実を拾いポケットに(えみ)遅足
②岩風呂は風の抜け道木の実降る(立雄)鳥野・遅足・狗子・えみ・晴代・亜子・麗子
③眠る子の掌(て)よりこぼるる木の実かな(亜子)能登・鳥野・結宇・晴代・郁子・麗子・すみ・立雄
④木の実ふる恋の再発かもしれぬ(遅足)えみ・郁子・麗子
⑤木の実落つ幸せの道踏みしめる(麗子)郁子・すみ
⑥通草もぐGI側を通りけり(朱露)狗子
⑦どんぐり落ちる砲弾の形して(静荷)鳥野・亜子
⑧団栗が背伸びし転がるリクルート(智恵)結宇・静荷・立雄
⑨手ひらけばちちんぷいぷい木の実かな(郁子)
⑩木の実落つ終の支度のはじめ時(晴代)結宇・狗子・えみ・亜子・すみ
⑪ふらふらと木の実踏ん張るやじろべい(すみ)能登・朱露・静荷
⑫シャラシャラとポケット鳴らす木の実かな(能登)
⑬古墳(ふるつか)や木の実落ち来るつづら折り(結宇)童子・晴代
⑭足元の木の実気になる仁王かな(狗子)能登・童子・遅足・晴代・立雄

自由題  
①どんぐり落ちるまた落ちる以下同文(静荷)えみ・晴代・すみ
②木犀や誰かと夢で会えそうな(立雄)能登・鳥野・童子・えみ
③秋燈や昭和の薫る写真集(亜子)結宇
④乗換えの駅コスモスの風を待つ(遅足)能登・鳥野・童子・狗子・晴代・亜子・静荷・郁子・麗子・すみ・立雄
⑤昼飯を一人で食べて独り言(朱露)
⑥10月の乾いた空に万国旗(麗子)遅足・晴代
⑦空も樹も秋の真ん中散歩する(えみ)結宇・狗子・亜子・麗子・立雄
⑧水澄みて花穂(かすい)のゆれも映しけり(晴代)能登・遅足・狗子・静荷・郁子
⑨秋晴れにブーツなま足スニーカー(すみ)
⑩ハジメテノヒミツオシロイバナトキミ(郁子)
⑪朝ドラの酷評飲み込む手抜き飯(智恵)
⑫木犀の香りも乗せるエレベーター(能登)結宇・亜子・郁子・麗子・すみ・立雄
⑬潜り戸の冷気見下ろす伎芸天(結宇)鳥野・静荷
⑭ノーベル賞晴れのち曇り秋の空(狗子)えみ

次回は11月21日(水)午後1時 東鮨
題詠は「冬帽子」です。

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木の実降る句会    麗

2012年10月18日 | Weblog
昨日は木の実降る、そして久しぶりに雨も降る句会となりました。

雨音の中、さまざまな木の実が東鮨の庭に降り落ちました。かわいい猫も雨宿り。

次の命をはぐくむ木の実、露天風呂で風が抜ける道に降る木の実、幼子の握りしめた手の中からこぼれ落ちた木の実、ロマンチックな恋の予感漂う木の実、散歩道の木の実、戦後のGIのそばのアケビ、はっとする木の実の形、世相を反映した就活の様子、おまじないも飛び出して、健気にふんばるやじろべい、音の鳴る木の実、奈良の古墳に降る木の実、仁王像の足下に転がる木の実とさまざまな木の実が降りそそぎました。そんな中、高得点とたたき出した亜子さんの

    眠る子の掌よりこぼるる木の実かな

は、なんと、3人のお嬢さんを育てあげた郁子さんへ捧げる句でした。
まだお嬢さんが小さかったころの思い出。眠りについたお嬢さんの握りしめた掌から脱力とともにこぼれ落ちた木の実。十数年前、そんなほほえましい様子を育児真っ最中の郁子さんは亜子さんにお話したそうです。
そのことをずっと心にとめていた亜子さんは時を経て昨日の木の実句会で披露されました。
郁子さんの嬉しそうな笑顔と一生懸命お子さんに向き合った姿が重なりぐっときた瞬間でした。
数十年という時間を発酵させ熟した年代ものの一句。
俳句の奥行きを感じた一瞬でした。

自由題では遅足さんの


   乗り換えの駅でコスモスの風を待つ

が絶賛。「乗り換えの駅がいい」ともっぱらの評でしたがさて、どこからどこへ行く乗り換えの駅でしょうか?人生の乗り換えの駅?
去年のクリスマス句会での遅足さんの

   イブの夜星の乗り場で待っている

という句を思い出しました。イブに乗った銀河鉄道は季節をへてコスモスの咲く秋の乗り換えの駅に到着したようです。終着駅はどこでしょうか?

来月は冬帽子。皆さんいろとりどりの帽子をかぶって句会に参加しましょうね。
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