575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

白妙の香りゆたかに今年米   遅足

2013年08月31日 | Weblog
新米の香に色あらばやはり白、という意味の句でした。

春過ぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天の香久山

百人一首にもあるように、白妙は布にかかる言葉。
雪とか雲を形容するのが普通。
形のない香りに付けるのは無理がありました。力不足。

  新米を研ぐや清水を白妙に

  新米を研ぐや真水を白妙に

どちらが良いかな?      
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新米や土鍋噴(ふ)くたび香の零る    亜子

2013年08月30日 | Weblog
土鍋で炊いたご飯を目玉にしているお店が京都にあります。
お昼前に行っても長い行列が・・・
3回目に挑戦で、やっと食べることが出来ました。
確かに土鍋で炊いたご飯は美味しかったです。

自動炊飯器が登場したのは画期的な出来事でした。
冷蔵庫や洗濯機などとともに嫁入り道具に欠かせないモノとなりました。
いまでもそれは変わっていません。
だから土鍋に注目が集まるのでしょうか。

はじめチョロチョロ、中ぱっぱ、赤子泣いても蓋とるな。
薪でお米を炊くときの極意のオマジナイ。
現在の炊飯器は、この通りにご飯を炊き上げるそうです。
もちろんオコゲも作れるとか。

でも、土鍋に人気が高いのは不思議ですね・・・   遅足


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みのうちの闇うらがえす大花火   

2013年08月29日 | Weblog
みのうちの闇うらがえす大花火  

遅足さんの句です。
「みのうちの闇うらがえす」がいいですよね。

ここ数年BSプレミアムで放送される秋田大曲の花火大会。
今年もテレビで鑑賞し東北の夏を惜しみました。
音楽との共演の創造花火はとてもにぎやかですが、最後の方に30連発の大花火がひとつずつ上がり、これが妙にせつないのです。

まさにみのうちの闇をうらがえした感じ。いつの日か生で見てみたいな~。
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柿、灯しのごとく   鳥野

2013年08月27日 | Weblog
秋が立つのを待ちかねたように、「柿」が話題に
なり始めます。
味は言うまでもなく、あの色。赤に黄を加えた輝
くような「朱赤」に惹かれるのでしょうか。

ワタシには忘れられない柿の色があります。
かなり前のこと。揖斐川最上流の徳山ダムを訪ね
ました。

高度成長期に計画された最大級の多目的ダム。全
村466戸が水没し、1500人が移住。学校も
神社も引越しました。

福井県境に近い村跡までは、川沿いを幾曲り。突
如現れたダムサイトはコンクリートずくめの異郷
でした。
満々と水を溜めたダム湖は静寂。人影はどこにも
見あたりません。

湖面を見下ろす山の斜面のあちこちに、今はもぐ
人もない柿が、たわわでした。

 ・ 村は湖底に灯しのごとく柿の照る  鳥野





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今日からは新米ですと箸をとる   佐保子

2013年08月26日 | Weblog
題詠は、日常の意識の流れに、言葉という「小石」を置いて見るようなこと。
流れが遮られて、普段は意識しない、こと、ものに気付き、それが一句に。
今回の句会でも「新米」という季語によって、様々な生活の断面が浮き彫りにされました。

この句からは、お米が日本人の意識に大きな影響を与えてきたことがうかがえます。
今日のご飯は新米よ、という声に箸をとる時、今日は普段と少し違った日として意識されます。
日本人でよかったと、ちょっぴり感じたりもします。

その意識の底には、新米を神に捧げて収穫を感謝、来年の豊作を祈る新嘗祭があります。
古代から続いてきたこの祭りは、現在では米つくりとは直接関係のない勤労感謝の日となっています。
ライフスタイルは大きく変化しているのですが、それでも日本人は「新米」には敏感です。

しかし、私たちの孫の世代はどうでしょうかね?
TTPなどで日本の農業・漁業はさらに変貌すると予想されています。
母親が食卓で、今日は新米よ、というような風景はみられなくなってしまうのでしょうか・・・

                                    遅足




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旅人の心を流す虹の島  遅足

2013年08月25日 | Weblog
日本丸(2万2000トン)に乗って二泊三日の旅。
神島を右手に見ながら伊勢湾から外洋へ。
濃い群青色の黒潮に乗って熱海沖へ。
夜、船から花火を見物。
寝ている間に八丈島へ。
半日の島めぐり。夕方、出港、翌日のお昼前に名古屋港へ帰港。
目まぐるしい旅でした。

八丈島は流人の島と呼ばれたところ。
海岸には宇喜多秀家の像が遠く本土を見つめるように座っています。
秀家は豊臣秀吉に愛されて五大老の一人に。
関ヶ原で負け、八丈島に流されたもの。その時28歳。
それからおよそ50年の流人暮らしだったとか。
いまは、すっかり観光の島になっています。

客船の旅は初めて。お金で待遇が違う完全な階級(?)社会。
乗組員は200人以上、多くが東南アジア(フィリピン?)の人達。
日本人の船長さんを頂点とする小さな社会のようです。

入港、出航の時、ともに島には虹が立っていました。
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新涼の肌に葉擦れのありにけり    遅足

2013年08月24日 | Weblog
夕方、大学の図書館へ。欅の梢が風に揺れていました。
肌に心地よい風・・・

借りてきた本は「皮膚感覚と人間のこころ」。
著者によれば、人間は120万年前に毛を失ったそうです。
衣服を身に着けるようになるまでの100万年の間、裸で暮らしていたとか。
言葉も十分に発達していなかったために、
皮膚はコミュニケーションに重要な役割を果たしたという。
刺青の起源はとても古くまで遡ることになると・・・。

そう言えば、昔の社会では、化粧は男性がしていました。
どうして男性は衣服に頼って、化粧を放棄してしまったのでしょうか。

また、皮膚は光にも音にも反応、心にも影響を与えているそうです。
新涼の風が肌に新鮮に感じられました。
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8月句会の最終結果です。     遅足

2013年08月23日 | Weblog
句会に出席できずに申し訳ありませんでした。
句会の結果です。


題詠「新米」

①今日からは新米ですと箸をとる(佐保子)すみ
②新米や土鍋噴(ふ)くたび香の零る(亜子)結宇、静荷、晴代、郁子、麗子、佐保子、えみ、智恵、立雄
③白妙の香りゆたかに今年米(遅足)
④新米や一品(ひとしな)でよし采のもの(晴代)狗子、遅足、えみ、立雄
⑤新米の握り飯母の梅入れむ(結宇)亜子、郁子、佐保子、鳥野
⑥新米のおむすび艶々皿の上(すみ)晴代、智恵
⑦新米のおかゆを食べて祖父が逝く(麗子)亜子、狗子、佐保子、遅足、鳥野、能登、立雄
⑧大会の賞に新米大拍手(立雄)麗子、静荷、遅足、鳥野、能登
⑨新米の出来は如何にと大旱(静荷)結宇
⑩新米や安堵の粒がこぼれける(郁子)結宇、亜子、すみ、狗子、えみ
⑪新米で盛り上がりたる夕餉かな(能登)静荷、晴代
⑫不発弾黙し新米頬張る朝餉(智恵)郁子
⑬新米の垂れる首(こうべ)に赤とんぼ(狗子)麗子、すみ、智恵、能登

 
自由題
 
①みのうちの闇うらがえす大花火(遅足)結宇、郁子、狗子、佐保子、鳥野
②絹の路図書館の夏紙魚出でむ(結宇)
③悲しくも当たる物なし残暑かな(すみ)えみ
④猛暑なり思考回路に乱れあり(晴代)麗子、すみ、えみ、智恵
⑤八月の祈りの水や爆心地(亜子)佐保子、遅足、えみ、智恵、能登
⑥流星群地球の闇を切り開く(静荷)麗子、晴代、能登
⑦玉音のあの日忘れじ蝉時雨(立雄)亜子、郁子、智恵
⑧晩夏光今の地震は震度3(佐保子)
⑨一瞬の新涼をとらえて窓開ける(麗子)亜子、すみ、晴代、郁子、狗子、佐保子、鳥野、立雄
⑩帰省子の車列疲れの川となる(郁子)静荷、亜子、晴代、能登
⑪太陽がゆっくり動く残暑かな(能登)麗子、結宇、静荷、すみ、狗子、遅足、鳥野、立雄
⑫平和ボケ戦禍写真に箸止まり(智恵)静荷、遅足
⑬黙祷のサイレン凍る甲子園(狗子)結宇、たつお

次回は9月18日(水)午後1時 東鮓
題詠は「蟷螂」です。

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新米句会   麗

2013年08月22日 | Weblog
猛暑の中で行われた新米句会。
遅足主宰ご欠席で安藤さんがスムーズに進行。時折、「俳句 四合目からの出発」の著者阿部しょう人さんが草場の陰から登場。一言講評です。


1,新米宣言。会話調がいい。
2,土鍋で毎日1合のお米を炊く亜子さん。新米の香りは格別。まさに零れます。
3,「白妙」が短歌っぽい。白妙は今年米の白さにかかるのですよね。亜子さんが遅足さんの新聞に載った「赤く泡立つ」の花火の短歌を暗唱披露してくださいました。「香りゆたか」が言い尽くされた表現と阿部さんの批評。
4,まさにそのとおり
5,「握り飯」を「おむすび」としたら?母ものに阿部さんは手厳しいです。
6,「艶々」がいい。7,8個並んでいるよう。
7,祖父の句も「親族俳句」で阿部さんにはダメだしされますが、祖父が入院前に最後に食べた新米のおかゆ。「祖父の逝く」にしたらいいという意見あり。
8,賞品が新米で大喜び。大拍手がいいという意見もあり。
9,生産者の気持ちを思いやる一句。野菜作りされている静荷さんならではの句。
10,「安堵の粒」がいい。
11,にぎやかな夕餉の食卓。
12,不発弾は夫婦の様子?黙って朝餉を頂きます。11番と対象的。
13,収穫米の新米かと思いきや、新人社員の首でした。赤とんぼの季重なりはよいとの声。

では新米作家の小説「新米」でお楽しみ下さい。

賞品にされると誰もが喜ぶ新米。
旱続きで心配された今年の秋も無事新米が収穫でき、安堵の粒がこぼれました。
とれたての白妙の新米を土鍋で炊き、その香りに満足し、おかずは一品か母の梅を入れたおむすびで十分。
お皿の上はつややかです。
夕餉では新米というだけでおかずは一品でもなぜか盛り上がり、倦怠期の夫婦も黙ってほおばり人生の機微を味わう。亡き祖父をしのび、自分の新米時代を思い出し首をたれるとそこには赤とんぼが飛んでいました。今はもう秋です。

来月は「蟷螂」。どんなストーリーが生まれるでしょうか?ちなみに自由題の9番は「一瞬の新涼とらえ窓開ける」に変わりました。猛暑で字余りにも気づかず思考回路が乱れました。失礼しました。麗
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8月句会の投句が集まりました。    遅足

2013年08月21日 | Weblog
題詠「新米」

①今日からは新米ですと箸をとる
②新米や土鍋噴(ふ)くたび香の零る
③白妙の香りゆたかに今年米
④新米や一品(ひとしな)でよし采のもの
⑤新米の握り飯母の梅入れむ
⑥新米のおむすび艶々皿の上
⑦新米のおかゆを食べて祖父が逝く
⑧大会の賞に新米大拍手
⑨新米の出来は如何にと大旱
⑩新米や安堵の粒がこぼれける
⑪新米で盛り上がりたる夕餉かな
⑫不発弾黙し新米頬張る朝餉
⑬新米の垂れる首(こうべ)に赤とんぼ

 
自由題
 
①みのうちの闇うらがえす大花火
②絹の路図書館の夏紙魚出でむ
③悲しくも当たる物なし残暑かな
④猛暑なり思考回路に乱れあり
⑤八月の祈りの水や爆心地
⑥流星群地球の闇を切り開く
⑦玉音のあの日忘れじ蝉時雨
⑧晩夏光今の地震は震度3
⑨一瞬の新涼をとらえて窓開ける
⑩帰省子の車列疲れの川となる
⑪太陽がゆっくり動く残暑かな
⑫平和ボケ戦禍写真に箸止まり
⑬黙祷のサイレン凍る甲子園
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のよさ優しや   鳥野

2013年08月20日 | Weblog
二度目の秋山郷行きでした。
前回は、マイカーで。前泊の野沢温泉から、栄村、
津南町のルート。今回は、友人の頼もしい4Wで
奥志賀スーパー林道から。
どちらから入っても、渓谷沿いを幾曲りの奥の奥。
数少ない秘境の一つです。

先祖は平家の残党とも、新田義貞の子孫とも伝え
られています。

この山奥を世に知らせたのは、江戸時代の文人、
鈴木牧之。最奥の切明まで歩いて、民俗を詳細に
調べ「秋山記行」を著しました。
急斜面ばかりで、耕地が極めて少なく、飢饉の年
には全滅した集落もありました。

今では秘境を尋ねる人も増え、施設も充実してい
ます。「のよさの里」という珍しい名の宿。聞け
ば、のよさとは、地元に伝わる古謡の囃し言葉と
か。仕事の合い間の唄声が聞こえてきそうな、静
かな山間の郷でした。

 ・ 合いの手ののよさ優しや秋山郷  鳥野



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新米   麗

2013年08月19日 | Weblog
皆さん新米の句、もう提出されましたよね。締め切りが近づいてもあまり浮かばなかったのですが
今朝、夫に新米のおにぎりを持たせました。仕事がうまく行きますようにという願いを込めて。。。
我が家の勝負弁当です。
にぎってやっと一句できました。

         新米のおにぎり固く強く握る    麗
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ひらがなで鳴きはじめたる虫の声   遅足

2013年08月18日 | Weblog
お日様が姿を隠してから散歩に。
空には月が・・・
すっかり秋の顔をして地球を見下ろしています。
ちょっと暗いところに差し掛かると、虫の声がします。

声を出してみました、というように、控え目。

残暑が厳しいですが、一日一日と秋は深まっていくようです。

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鈍色の残暑の扉開けて出る    遅足

2013年08月17日 | Weblog
もう10日以上、雨なし。熱帯夜も一週間ほど続く。

ドアを開けて外へ。太陽の火が肌にチリチリと痛い。
慌てて日傘をさす。目指すは図書館。

自動ドアを入ると天国が涼しい。
なんと一時間も滞在して帰宅しました。

新涼という季語が欲しい気分でした。



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大文字消えてこの世の人のこる      遅足

2013年08月16日 | Weblog
我が家は浄土真宗だったので、門火をたくということは経験がありません。
そんなこともあって大文字にはずっと憧れています。
実はまだ一度もホンモノは見ていません。
テレビで見ただけです。

穗村弘さんの歌。

   呼吸する色の不思議を見いていたら「火よ」と貴方は教えてくれる

火には不思議な力があります。まるで命のようです。
その火が消えて闇に残された私たち。

また日常が待っています。
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