575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

蝉丸の うたひ偲びて 春の京 <殿>

2022年02月27日 | Weblog

「これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関」後撰集に編まれた「蝉丸」の歌。「これが京から旅立つ人や帰ってくる人たちが通る逢坂の関なのか」という略意。能<うたひ>にもなっていますが「行くも帰るも」「知るも知らぬも」を言葉遊びと捉え「戯唄」<ざれうた>と評されました。しかし、蝉丸の真意は、会えば別れるという「会者定離」<えしゃじょうり>を伝えている気がします。大学は京都。多くの出会いがあり別れがありました。いまでも京都を訪れるたびに蝉丸の歌を想い出します。ちなみに、東から京の街に入る手前「蝉丸トンネル」を抜けていきます。

 

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梢なほ 降るより落つる 春の雪 <殿>

2022年02月26日 | Weblog

代々木公園に降る春の雪。あたたかいのでしょう。積もることなく落ちていきます。

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けごろもに差し込むひかり春浅し  遅足

2022年02月25日 | Weblog

「けごろも」というひらがな表記に何故?と思いつつ魅かれて一票投じた句です。

防寒用の衣服であるなら毛の衣と書いてもよさそうな。

私の知らない本歌取り?もしくは、他に何か含む意があるのか・・・

ひょっとして透ける衣「はごろも」の間違い?(まさか!)

作者のミステリアスな笑顔が浮かんできました。

同じように感じて調べた方も多かったのではないでしょうか。

 

結宇さん:毛衣だと思います。

一本、一本の毛に光が経てるという姿でしょうか。ひかっているのが想像されます。

麗子:木蓮のふわふわの毛でしょうか?

早春にいち早く膨らみ始める木蓮の蕾。そこに光が当たり、近づく春を予感させます。

長かった冬ともお別れです。どこか希望が感じられます。

泉さん:けごろもについて、・・・・毛衣、褻衣、け衣(広辞苑)

 どのけごろもかなと思い、褻衣だと解釈しました。 褻衣=ふだん着

 

今月の自由題を見て気づきました。

木蓮や毛衣しろくひかりをり  佐保子

 

お二人はご夫婦ですので、同じ風景をご覧になっていると想像すると

木蓮の冬越しの芽ととるのがよさそうです。だんだん膨らむ形状は、確かにひらがなが合うように思います。

そこに差し込む光はまだ充分でないけれど、やわらかい春の光の赤ちゃんが宿っているような景色が見えました。

 

    

万葉集の一首を見つけました。

けころもをときかたまけて出でましし宇陀の大野は思ほえむかも

 

ここでの<けころもを>は<とき>にかかる枕詞

「ときかたまけて(時期が近づくと)」を原文で<春冬片設而>と表記することから、

ときは〈春冬〉であり、まさに春浅し。狩りの季節のようです。

この季節にもかけているのかも・・うーん。

謎解きのように思いはめぐります。「どうとってくれてもいいよ」という声も聞こえそう。

さすが宗匠です。 郁子

 

 

 

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春浅き印つけゆく測量士  晴代

2022年02月24日 | Weblog

まず測量士という専門職が登場したことに魅かれました。

ちなみに測量士とは、建設・土木工事を行う土地について位置、距離、面積などを測量する仕事で国家資格が必要です。工事が安全に行われるように測量法に基づいて測量計画を立て実際に測量を行う仕事です。道路上でヘルメット姿で測量機器を覗いている姿を見たことがあるような気がします。

風はまだまだ冷たい春浅い日、屋外でこの測量士はどんな印をつけていくのでしょうか?折り目だたしい測量法にしたがって高度や道幅などを計るのでしょう。個人的に三角点探索に興味があるのでとても心惹かれる一句でした。

千香子さんも「これから何か始まる、ワクワク感があります」とのコメントを下さいました。

確かに春に向かって何かが造成されたり建築されたりしていくのでしょう。基本となる測量に、寒い中でも背筋が伸びるような気がしました。専門的な職業ですが想像力が膨らむ一句だと思いました。麗子

 

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春浅く 掠れし聲の 別離かな <殿>

2022年02月23日 | Weblog

契約が切れるモデル。スタッフに掠れた聲で別れを告げています。春まだ浅い幕張でのロケ。

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人去りて 春の夕空 玻璃残る <殿>

2022年02月21日 | Weblog

撮影スタッフは撤収。しかし、春の夕空は玻璃に残っています。ところで、冬季オリンピックも終了。ノンバイナリーを公表したフィギュア選手も入賞しました。「女々しい」がネットで炎上する時代。こうしたネットでの俳句にもグローバルスタンダードな語句に留意すべき時が訪れたようです。

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憂き猫は 戀の底より こゑを出す <殿>

2022年02月20日 | Weblog

「憂き猫は 戀の底より こゑを出す」<殿>  猫の悩ましげな聲。戀の底から啼いているようです。下記は別句会での返句。

「廃ビルの 螺旋階段 猫の恋」<あき>   戀の底…戀にもいろんな感情がありますよね。その底にあるのはなんなのか。ちょっと怖いような気がします。

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蝋梅や 透ける蒼天 匂いたつ <殿>

2022年02月19日 | Weblog

蝋梅はハッカのような清涼感のある香りが特徴。立春の青空によく似合う気がします。ところで、蝋梅を梅の「老梅」と勘違いされる方がいます。しかし梅はバラ科で蝋梅はロウバイ科。有毒なので梅ジャム作りなど厳禁のようです。

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底見せて流るる田川春浅し  千香子

2022年02月18日 | Weblog

今回難しかったのは「春浅し」という季節感覚。

まだ春が整っていない微妙な時期は、早春、初春とも違う特殊な感情のこもる言葉です。

強烈な寒波襲来や、コロナ感染者数の激増など様々な情報の中、家にこもったままでは感情のセンサーも働かず苦戦をいたしました。

そんな中、「田川」という言葉を使いたかったという千香子さんの句はシンプルな描写で、巧みにこの季節を浮かび上がらせましたね。

 

皆さんのコメントです。

竹葉さん:「底が見える」でなく、「底見せて」る川の表現がいいと思います。

能登さん:「春浅し」を分かりやすく表すと、こうなるという佳句 

麗子さん:上五の「底見せて」に魅かれました。水温む前のまだ冷たい小川。真冬とは違った春の訪れを目で感じられたのでしょう。

等さん:春めいた川の川底に、植物の芽や生き物の子など、何かあれば句になるでしようが・・・。季節が少し後なら”春”ですし、早いなら“冬”になるのですがこの季語の難しいところでしょうね。

晴代さん:素直に情景が浮かびます

泉さん:ほのぼのとした風景が春を待っている様子

亜子さん:◎の句。田んぼの中の小川。もっと春が深まれば雪解けの水で水量も増えて来ることでしょう。今はまだ川も浅く底を見せている状態。「春浅し」という季語がこれしかない、動かない感じがしました。

    

“ これしかない、動かない感じ ”で 季語を生かすこと。

非体験でも句意を共有できる俳句の基本でしたね。

この視点で自分の句を見返すと・・・(笑)

おのずと悪いところが見えてきました、感謝です!郁子

 

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春浅き空にま白き昼の月  亜子

2022年02月17日 | Weblog

千香子さんとともにトップ賞に輝いた亜子さんの秀句。お買い物帰り、横断歩道で信号待ちの時、ふと見上げた空。春めいて来て空が潤んで見え、そこに白い月が浮かんでいました。その白い色が何とも形容しがたく心細い感じがしたそうです。信号待ちの一瞬にとらえた春浅い風景でした。この句を頂いた後、先週の土曜日にまさにこのような白い月が浮かんでいるのを私も目にしました。実景をこのように幻想的にとらえられたことに脱帽しました。

皆様からのコメントです。

殿様:幻想的で懐かしい。「空に真白き」旧仮名で記された古い童話のような世界に惹か   れます。

紅さん:綺麗な句だと思います。

郁子さん:昼の月はふとした瞬間見つけられるものですが、空を見上げなければ見つけられません。ま白という始まりの色が、春の明るみに向かっている予感とかすかな気持ちの切り替えを表している。

須美さん:まさしくこの状況の月を最近見たことがあります。表現が上手だと思う。

千香子さん:澄み切った冬に見えることがあるという。昼の月、見てみたいものです。

泉さん:空を見上げている情景が浮かぶ。

              ★★★

 

亜子さんは選句のポイントとして「春浅し」という季語に、これしかないというものを選ばれました。

例えば私の「探し物みつからぬまま春浅し」という句は「春浅し」でなくても「年暮るる」という季語でもあてはまります。反省。「動かない季語」というものを見つけるのも上達のポイントのようです。麗子

 

 

 

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二月句会「春浅し」結果発表!

2022年02月16日 | Weblog

「春浅し」

  1. 探し物見つからぬまま春浅し  (麗子)須美
  2. 介護する肩腕痛む春浅し   (佐保子)竹葉 遅足 晴代 亜子
  3. 春浅き空にま白き昼の月  (亜子)殿 紅 佐保子 郁子 須美 千香子 泉
  4. 瀬音聞き赤福にお茶浅き春 (等)
  5. 春浅く 溪<たに>の祠に 神眠る (殿)竹葉 紅 能登 遅足 等
  6. 春浅し芝駆け回る犬と子と (須美)
  7. 春浅しやたらに響く着信音 (郁子)
  8. 春浅きこずえの周り乳化せり (能登)殿 結宇
  9. 酒すする二十歳の孫や春浅し (竹葉)紅 結宇
  10. 春浅き印つけゆく測量士 (晴代)佐保子 麗子 千香子
  11. 底見せて流るる田川春浅し (千香子)竹葉 能登 麗子 等 晴代 泉 亜子
  12. 春浅し凝脂(ギョウシ)洗はる今は誰そ(タソ) (結宇)遅足
  13. 光さす床のぬくもり春浅し (泉)能登 等 晴代 千香子 亜子
  14. けごろもに差し込むひかり春浅し (遅足)結宇 麗子 郁子 泉
  15. 憂き想い 濃茶練りこみ 春浅し (紅)殿 佐保子 郁子 須美

自由題

  1. 何よりも鬼より嫌ひ「コロナ外(そと)」 (等)
  2. 入院の留守宅守る雛飾り (麗子)佐保子 結宇 郁子 須美 亜子
  3. 木蓮や毛衣しろくひかりをり  (佐保子)能登 遅足 泉
  4. 街路樹の影縮こまる余寒かな  (亜子)殿 竹葉 晴代 泉
  5. 読みおえぬページに残る寒さかな (晴代)竹葉 紅 遅足 結宇 麗子 等 須美 千香子 亜子
  6. 万両の実もみなついばまれ寒の明け (結宇)晴代 千香子
  7. 三つ葉芹 野の香放ちて 空白む (殿)紅 等
  8. 草の芽や遺伝子つなぐ笑顔かな (能登)千香子 泉
  9. 楤の芽を好みし母は末娘 (須美)能登 遅足 結宇 郁子
  10. 針もたぬ 0型女子の 針供養 (紅)殿 須美
  11. 自粛中響く声あり梅咲きぬ (竹葉)等 晴代
  12. 内股となり骸骨模型冬星座 (千香子)能登 佐保子 麗子 郁子
  13. 静けさや若人集う冬五輪 (泉)
  14. 淡雪のうっすら哀し生きるとは (郁子)殿 竹葉 紅 佐保子 麗子 亜子

 

皆さまの予想はいかがでしたか?

トップ賞:兼題は亜子さんと千香子さん、自由題は晴代さんでした。おめでとうございます。

来月のお題決めのお手伝いをお願いします。

春まだ浅し・・冷え込みは続きそうです。お身体ご自愛ください

 

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「春浅し」句会の投句が集まりました。

2022年02月15日 | Weblog

まさに「春浅し」の今日この頃。投句が集まりました。どの句に春の光が当たるでしょうか?結果は明日発表いたします。

題詠「春浅し」 

①  探し物見つからぬまま春浅し  

②        介護する肩腕痛む春浅し  

③        春浅き空にま白き昼の月 

④        瀬音聞き赤福にお茶浅き春 

⑤        春浅く 溪<たに>の祠に 神眠る 

⑥        春浅し芝駆け回る犬と子と 

⑦        春浅しやたらに響く着信音 

⑧        春浅きこずえの周り乳化せり 

⑨        酒すする二十歳の孫や春浅し 

⑩        春浅き印つけゆく測量士 

⑪        底見せて流るる田川春浅し 

⑫        春浅し凝脂(ギョウシ)洗はる今は誰そ(タソ) 

⑬        光さす床のぬくもり春浅し 

⑭        けごろもに差し込むひかり春浅し 

⑮        憂き想い 濃茶練りこみ 春浅し 

 

 

自由題

①        何よりも鬼より嫌ひ「コロナ外(そと)」 

②        入院の留守宅守る雛飾り  

③        木蓮や毛衣しろくひかりをり  

④        街路樹の影縮こまる余寒かな  

⑤        読みおえぬページに残る寒さかな 

⑥        万両の実もみなついばまれ寒の明け 

⑦        三つ葉芹 野の香放ちて 空白む 

⑧        草の芽や遺伝子つなぐ笑顔かな 

⑨        楤の芽を好みし母は末娘 

⑩        針もたぬ  0型女子の 針供養 

⑪        自粛中響く声あり梅咲きぬ 

⑫        内股となり骸骨模型冬星座 

⑬        静けさや若人集う冬五輪 

⑭        淡雪のうっすら哀し生きるとは 

 

 

 

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悩ましき うつし世ながく 春眺む <殿>

2022年02月13日 | Weblog

コロナ禍の続く世界。さらに感染力の強いステルス・オミクロン。新規感染者数は18%を超えたとの由。春を眺めます。

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雪の香や 酔うほど積もり 春の暮れ <殿>

2022年02月12日 | Weblog

箱根湯本の宿。雪の香りに酔います。春が暮れていきます。

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道しるべ うち震わして 春の雪 <殿>

2022年02月12日 | Weblog

箱根峠の道しるべ。外気温はマイナス5度。春の雪が荒々しく降ります。

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