575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

古酒酌んで古女房の気炎かな   亜子

2013年10月31日 | Weblog
一読して微苦笑。豪快な酔いっぷりが目に浮かびます。

美味しいお酒を造るためには、鉄分が少なくミネラルに富んだ水が必要。
そんな水が豊富で、よいお米のとれる地方で酒造りが発展。
名酒の産地が次々に登場して今日に。

もっとも有名な産地の一つが神戸の灘。
樽廻船という船に積み込み江戸へ。江戸っ子の舌を魅了。
酒といえば灘と全国にその名を知られるように。

  ひとの世にたのしみ多し然れども酒なしにしてなにの楽しみ  牧水

名酒あれば、世に酒飲みの種は尽きまじ。
今夜もどこかで怪気炎が・・・  

                          遅足
 

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行く末の覚悟を杯に加賀の古酒   晴代

2013年10月30日 | Weblog
人生に対峙する真剣な酒。やはり古酒が似合います。
覚悟を固めたのは作者ではなく加賀の知人とのこと。
カクゴ。カガ。コシュ。KとG音が効果的な一句。

酒つくりが盛んになったのは江戸時代。
平和が続き、酒つくりの技術も進歩。
保存するための火入れ法(低温殺菌法)などが開発されました。

火入れされたお酒が「古酒」と呼ばれるように。
そして季語にもなったわけです。

その当時、全国には3万近い酒造場があったという記録も。
各地で地酒がつくられていたわけですね。
加賀ではどんな酒が造られていたのでしょうか?

よい水とお米に恵まれた加賀。美味しい酒も多い。
この古酒は何だったのでしょうね?

                     遅足



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宗匠、首位です   鳥野

2013年10月29日 | Weblog
松田宗匠の中日歌壇への登場が忙しくなりました。
今回は首位です。

 ・ 大空を一つ一つと乗り換えて鷹は南へ
   渡りゆくなり

小島ゆかりの選評 内容もリズムもスケールが大きい。
大空を一つ一つ「乗り換えて」ゆくという独創的な表
現が、長距離を渡るさまを見事に捉えた。迫力のある
秀歌。

 大空を乗り換えるという表現の壮大さ。雲でも風
 でもなく、空なんです。
 今年は気象が気ままで、生き物たちも大いに困惑。
 バードウオッチングの計画も空振りが多いと聞い
 ています。

 そんな中で作者の確かな眼が捕捉した景。長途を
 旅する渡り鳥へのエールが聞こえて来ます。
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古酒似合ふ牧水放哉山頭火    佐保子

2013年10月28日 | Weblog
若山牧水。尾崎放哉。種田山頭火。お酒大好き人間。でも酔い方はさまざま。

酒癖が悪かったのが放哉。
「金の無心はする、酒癖は悪い、東大出を鼻にかける。
彼が生きていたら、絶対に付き合わない」と、伝記を書いた吉村さん。
こんな句を残しています。

  酔のさめかけの星が出てゐる   放哉

山頭火は陽気なお酒だったようで、酒の句も沢山詠んでいます。

  酔うてこほろぎと寝ていたよ   山頭火

牧水は歌人。酒といえばこの歌。

  白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけり

その名をとった「牧水」という名のお酒もあるそうです。

三人とも飲みすぎで寿命を縮めています。
秋の夜長、飲みすぎにはご用心。
                       遅足



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呑み干してなほいとほしむ古酒の瓶   静荷

2013年10月27日 | Weblog
逆さにして、もう一滴。それがまた美味、と鳥野さん。

お酒ほど人を楽しませるものはないでしょうね。
(私は飲めないので想像ですが・・・)

まず目で銘柄を読み、頭で味わう。
栓を開けて鼻で匂いを。
舌に乗せ、さらに口一杯にひろげて。
喉ごしを。
五臓六腑に染み渡る。
血液で全身に運ばれ・・・良い心持に。

気の合った人とのおしゃべり。
一人酒の感傷も。

呑み干して瓶までいとおしむ。酒のみの鑑ですね。
こんなにされたらお酒冥利に尽きます。

                    遅足

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古酒の杯銀河の雫友と干す    立雄

2013年10月26日 | Weblog
友人と酒を酌み交わす銀河の夜。
銀河の雫とは?
さまざまに読めます。

仲のよかった三人組。
しかし早くに亡くなった一人の友。
その友を偲んで二人で酌み交わす杯。
そんな風に読んでみました。

「銀河の雫」はお酒の名前とも読めますね。

  古酒の名は銀河の雫友と酌む

こんな銘柄があるそうです。

雫の浪漫(しずくのろまん)
月のしずく香月華(つきのしずくこうげっか)
七ツ星(ななつぼし)
星の舟(ほしのふね)
天のしずく(てんのしずく)

「銀河の雫」牛乳の名前にありました。

                遅足



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秋日和古酒のような人と会い   麗子

2013年10月25日 | Weblog
どのようなお方、お会いしてみたいもの、と鳥野さん。

古酒のような人とは益川さん。
ノーベル受賞の科学者も作者から見ると「カワイイ」そうです。

「失敗があるから成功が待っている」
楽天的というか前向きの方だとか。
きっとお話をしていて楽しい方なのでしょう。
お話に心地よく酔える。至福の時間ですね。

半分、残ったお酒を前に。
「もう半分になってしまった」と考えるのか?
「まだ半分もある」と考えるのか?
あなたはどちらですか?

                  遅足
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早すぎ   麗

2013年10月24日 | Weblog
近くのショッピングセンターではハローウィンのコーナーを押しのけてもうクリスマスツリーが売られ始めました。昨日はデパートからお歳暮のカタログが送られて来ました。
年賀状の印刷案内は10月入ってすぐに来ましたし、本当に何もかも早い商戦でびっくり!
来年のカレンダーに手帳。早く買わなければと思ってしまいます。

当地ではやっとキンモクセイが満開になったというのに。
自然の営みとビジネスの営みがかけ離れてしまい自然災害はひどくなるばかり。
もう少しゆっくり過ごしたいものですね。
新しい仕事でストレスがたまりつつある私。「ストレスをリセットして人生を変える」なんて本を買ってしまいました。
ストレスがたまっているときは「いつもよりゆっくり動く」といいそうです。ゆっくり話す。ゆっくり手を動かす。ゆっくり水を飲む。すると乱れた自律神経が回復するそうです。
今からゆっくり呼吸するためヨガ教室に行ってきます。
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ちろちろと胸に沁みいる古酒の酔い    えみ

2013年10月23日 | Weblog
この句のキーワードは「ちろちろと」にあるようです。
私には火が燃えているように感じられました。
まだ燃え残っている火・・・

酔うことで意識下にあったものが表に出てくることも。
飲むほどに思い出される古い恋。その味が今も胸に沁みます。

古酒という季語がうまく使われている句です。
この古酒きっと少し辛口ですね。
                   遅足

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鉄道の日に  鳥野

2013年10月22日 | Weblog
10月14日は「鉄道の日」とか。ラジオ深夜便の特集に、「南阿蘇
鉄道」が登場していました。懐かしい。

この鉄道は豊肥本線の立野から、高森まで、阿蘇外輪山に挟まれた谷
を、白川に沿って走ります。

中ほどの「南阿蘇水の生まれる里白川高原」は駅名の長さ日本一。
途中には、橋の長さも水面からの高さも今や日本一の名所もあります。

駅舎も車両も、小振りで牧歌的。旅人のために、絶景では徐行のサー
ビスもあり、写真マニアには発車を待つたり、と沿線自治体出資の第
三セクターならではの、のどかさでした。
乗り合わせた地元の人の言葉も暖かく、瞬く間の30分で終着。
高森では郷土料理の「だご汁」が楽しみでした。

 ・ 身に入むやだご汁の湯気に里訛り 鳥野

 
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金色のうねりとなって木犀香   狗子

2013年10月21日 | Weblog
今年は金木犀の花が咲かないのでは?と心配していました。
天候不順で花が遅れていたのでしょう。
今朝、我が家の金木犀の香りが・・・

数日前からヒヨドリが来てうるさく鳴いていました。
花の芽をついばんでいたのでしょうか?

長い間咲き継いできた芙蓉に代わって、しばらくは花を楽しめそうです。
台風が来なければ・・・
                       遅足



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到来の古酒の名辿る小史かな   結宇

2013年10月20日 | Weblog
あの人から贈られた酒。
名のある銘柄?
あるいは名は知られていないが、通の間で評判の地酒?
いずれにせよ、作者は、贈られたお酒にまつわる歴史の味を味わっています。
また同時に贈り主との交流も思い出しているのでしょうね。

封を切る前に、こんな味わい方もあるんですね。
(お酒の飲めない私には想像もできないことですが)

一体、日本には何種類の銘柄があるのでしょう?

正確にはわかりませんが、日本酒のメーカーは500以上。
銘柄はおよそ5000から10000万とか。

そういえば、名古屋市にも酒造メーカーが6社あるそうです。
このうち3社は、あの桶狭間に近い緑区に。
去年、その一つの蔵跡で行われた朗読の会へ行きました。
なかなか面白い試み。
もちろんお酒を買っていく人たちの姿も。

                         遅足


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読み手に伝わるためには・・・      遅足

2013年10月19日 | Weblog
  抽斗の団栗そなたどちらさま   白茄子

NHK俳句で紹介されていた美術作家の勝本みつるさんの句。

句会で、何句か作ったあと、ふっと力を抜いて詠んだもの。
多くの人に選ばれたそうです。

  呑み干してなほいとほしむ古酒の瓶   静荷

この句も力むことなく、すっと生まれたもの。
作者は最高点を取ることは想定外だったそうです。

力を入れると言葉に無理をさせてしまう。
読み手が消化不良をおこしてします。
消化のよい句は、力を抜いてつくることも必要なんでしょうね。
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10月句会の最終結果です。    遅足

2013年10月18日 | Weblog
お酒抜きの句会の結果です。

題詠「古酒」

①到来の古酒の名辿る小史かな(結宇)静荷・佐保子
②ちろちろと胸に沁みいる古酒の酔い(えみ)智恵・すみ・晴代
③秋日和古酒のような人と会い(麗子)鳥野・えみ
④古酒の杯銀河の雫友と干す(立雄)能登・狗子・えみ・郁子
⑤呑み干してなほいとほしむ古酒の瓶(静荷)佐保子・能登・鳥野・えみ・智恵・麗子・亜子・晴代・立雄
⑥一対一古人と古酒を酌み交わす(遅足)狗子・麗子
⑦古酒似合ふ牧水放哉山頭火(佐保子)静荷・郁子・亜子・立雄
⑧行く末の覚悟を杯に加賀の古酒(晴代)遅足・郁子
⑨古酒酌んで古女房の気炎かな(亜子)能登・狗子・智恵・すみ・遅足・晴代・立雄
⑩来し方を映し溶かして古酒の味(郁子)静荷・佐保子・すみ・遅足・麗子
⑪ポツリ立つ酒屋の棚に古酒の瓶(すみ)鳥野
⑫フクシマをよそ眼で見つつ古酒を酌む(能登)亜子
⑬対酌の杯を重ねる古酒の宴(狗子)


自由題

①道の駅手塩の秋を並べをり(晴代)鳥野・狗子・えみ・智恵・すみ・郁子
②秋晴れや心のひだをたぐり寄せ(麗子)能登・えみ・すみ
③紅葉かつ散る池へハンモックにも(静荷)麗子・亜子
④十六夜をホームの窓に見しといふ(佐保子)えみ
⑤殺生や秋の蚊をわが腕に討つ(亜子)能登・狗子
⑥葛の花風の言葉を風が消す(遅足)静荷・佐保子・郁子・晴代・立雄
⑦言い訳を聞いたふりしてカンナ散る(えみ)静荷・すみ・麗子・郁子・晴代・立雄
⑧独り身に終ひ(しまい)秋刀魚のぎょろ目かな(結宇)智恵
⑨腕白やお菓子につられ神輿引く(立雄)鳥野・狗子・亜子
⑩片道の言葉の先に秋簾(郁子)静荷・佐保子・能登・遅足
⑪香を求め柚子摘む手先棘の邪魔(すみ)
⑫牛の眼に穂高をうつし牧を閉づ(能登)佐保子・鳥野・智恵・麗子・遅足
⑬金色のうねりとなって木犀香(狗子)遅足・亜子・晴代・立雄

次回は11月20日(水)午後1時  東鮓
題詠は「銀杏」です。

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台風直後の古酒句会   麗

2013年10月17日 | Weblog
台風26号の影響で風が強く豊橋の安藤さんはお休み。
ちょっと少ない5人での「古酒句会」となりました。
お酒を飲みながらではないのが残念。


秋に新酒が出たとたんこれまでのお酒は古酒になるとのこと。お酒を飲まない人も多く、なかなか難しいお題でした。では、お休みの方が多かったので恒例の一言講評を書きますね。

1,古酒を送ってくれた方とのおつきあいの様子まで浮かびます。なんという名前の古酒だったのでしょう?
2,昔の恋を思い出しているのでは?という大人の読みもでました。「ちろちろ」から話は「ちろり」というお酒を温める金属製の容器まで話が発展しました。
3,古酒の人とはなんとノーベル物理学賞の益川さんのことでした。お話する機会がありました。
4,「銀河の雫」というお酒が本当にあるような素敵な表現。
5,トップ賞です。お酒好きな方が作ったのでは?古酒の瓶を女性と呼んだ人も。
6,故人として読んでもいいすが「古人と古酒」で古つながり?
7,俳句の三巨匠が出てきて古酒が本当に似合います。
8,男性の作った句かと思いきや晴代さんの句。加賀に行く覚悟を決めた方を見送ったようです。
9,川柳っぽくておかしみのある句。「古女房」に頭が上がりません。
10,7番は「行く末」。こちらは「来し方」。人生のいいことも悪いことも古酒に深みを与えます。たまにはお酒で憂さを溶かして。。。
11,「ポツリ立つ」のは酒屋さんか?古酒の瓶か?はたまたその人か?
12,フクシマをよそ見でみるしかないいらだち。論議沸騰。
13,「対酌の杯」を「花魁の杯」とすれば色っぽいとの声。「宴」も「縁」にすると「花魁の杯を重ねる古酒の縁」と亜子さんが添削されました。

来月は「ぎんなん」です。茶碗蒸しに土瓶蒸し。入っているとなぜか嬉しいぎんなんです。
ちなみに私は句会場の東ずしで靴を履き間違えられ、他人の靴で帰るという初めての体験。なぜか色とサイズが同じでした。古酒に酔った人のせいか。。。
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