害鳥と 指さす雛に 夏しぐれ 殿
この句の季語・夏しぐれ。私はこう書きました。
時雨は冬の季語。夏の時雨という季語。
緑雨、青時雨は聞いたことがあります。
夏しぐれは初めてです。
やさしく降る夏の雨といった感じでしょうか。
青しぐれ。これも良いと思いますが。
みなさんはどうお考えですか。(遅足)
殿さまからメールをいただきました。
句は雨に濡れ死にゆく雛の生命を詠んでいます。
そのため体温を奪う冬の「時雨」がふさわしいのですが、
季に合わせ「夏しぐれ」としました。
青時雨は、青葉の木立から落ちる水滴を時雨としたもの。
生命力を感じる「青葉」とは真逆の情景と思われます。
さらに。写真とともに。
害鳥は駆除。死を意味します。さらに「指さす」は名指しでの非難。
「雛」は卵から孵ったばかりの幼鳥。
雨に濡れ体温を失うことは死を意味します。
しぐれは「しとしと」とした雨。
時の経過がゆっくり。
つまり、ゆっくりと死の訪れを待つ雛の情景を詠んでいます。
季語にこれだけの意味を持たせることが出来るのですね。
読み手の力量も問われます。ハイクってコワイですね。遅足