先回の宿題は「父の日」と「枇杷」
父の日のコントラバスな父の声 遅足
先生のコメント
「コントラバスな」が、読者に想像力を働かせる。
読者の想像力が、羽を伸ばすためには、離れすぎてもダメ。
近すぎてもダメ。
コントラバスな、なら、読者は、
それぞれに自分の答えを見つけることが出来るのではないか。
文芸の鑑賞の答えはひとつではない。
いくつも正解がある。
また形容詞がカタカナで、音のもっている感じも良い。
父の日や徒然草をひらきける 遅足
先生のコメント
父の日、と、徒然草が、取り合わせとしては面白いが、
ぼんやりとして、ひとつの像を結ばない。
離れすぎているというより、近すぎるのかも。
また、徒然草をひらくのが、「父」なのか「子」なのか?
読み手が揺れるのも、意味をよみとりにくくしている。
「枇杷」
煩悩を覗いてみれば枇杷の種 狗子
先生のコメント
面白い句。中七の表現も良い。
抽象的なことを言っているのだが、
下五の枇杷の種、で、イメージがくっきりと立ち上がる。
焦点が枇杷の種にピッタリとあっている。
読者に、そうかも知れないと思わせてしまう句。
桃の種ではダメ。
たましいがぽっとはきだすびわの種 遅足
たましいもぽっとはきだすびわの種
先生のコメント
後者が良い。
ぽっと、という音の感じも効果的。
たましいもぽっとはきだす枇杷のたね
と、枇杷を漢字にしたほうが良いのでは。