575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

故郷は今 (1)  

2022年07月31日 | Weblog

最近、私がつくった拙い短歌です。

 

 安曇川の流るる先の山並みを越えれば若狭想いは募る

 

 原発の怖さ訴え続けて幾年ぞ中嶌和尚信念貫く

 

京都府の花背峠あたりに発して、

滋賀県の高島市朽木(くつき)から琵琶湖西岸に流れ込む安曇川(あどがわ)。

朽木の北、若狭街道 (鯖街道) の先が私の故郷、小浜です。

若狭湾のほぼ中央に立地しています。国宝や重要文化財が多く”海のある奈良”と呼ばれています。

しかし、若狭湾には15基もの原子力発電所があり、原発銀座とも言われています。

ここで、何かあれば甚大な被害が出てしまいます。

 

福井県小浜市の名刹、明通寺の中嶌哲演和尚は 早くから反原発運動に関わり、

昭和46年には「市民の会」を立ち上げ、今も活動を続けておられます。

ロシアのウクライナ侵攻でにわかに核の脅威が昂まってきました。

中嶌和尚はロシアによるザポリージャ原発がいち早く制圧されたことに衝撃を受け、次のように述べています。

 

 「…戦争も、原発も、いかに理不尽で不当に強行されるものか。

ロシア国内で反戦平和の声をあげ、行動することがいかに困難であるかは、

それを批判する欧米諸国や日本のかっての戦時下の情報統制や過酷な弾圧を省みる必要があるのでは。

戦争にも原発にも同意、服従しない潜在的な世論は多数派を占めているはずである。

それをどのように具現化し、顕在化するかが問われている。」

(原発設置反対小浜市民の会発行「若狭の原発を考えるーはとぽっぽ通信ー2022年6月号」より )

 

確かに、いつの時代でも多くの人たちは平和を望んでいます。それにもかかわらず、

なぜ、戦争は起きてしまうのでしょうか。

独裁者や政治家にコントロールされることなく、日頃から自分の考えをしっかり

持って行動するしかないように思います。 

                   竹中 敬一

 

 

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かき氷花嫁のごとベールかけ  健太

2022年07月29日 | Weblog

最近のかき氷はなかなかの贅沢品となりました。

頭がキーンとならない きめ細かい氷に自家製の無添加シロップ。高級フルーツやクリームが飛び出さんばかりにトッピングされ、

今風に言うなら「映える」スイーツになっています。値段もちょっとしたランチが食べられそう。。

この句のかき氷は、豪華な中にも清楚な白が際立ちます。

 

等さん: かき氷にかけたシロップを、“ベールをかける”と表現したことが面白いですね。

麗子さん: かき氷の練乳をベールと表現したのが新鮮でした。

亜子さん: うず高く盛られたかき氷。そこにシロップを上からそっとかける。花嫁の薄いベールを思わせる繊細さ。

女性の句かと思いきや男性でしたね。ひょっとして最近花嫁を目の当たりにしている方ではないでしょうか。やさしさと愛情を感じます。

 

やさしさといえばもうひとつ。

 かき氷幼な子の頬ひんやりと  泉

 

子どもは水遊びに夢中になって、気づくと唇が青くなっていることがあります。

ゆでだこのように汗だくでもかき氷で一気に身体が冷え、両のほっぺも冷たくなります。

作者は手のひらでそっとその子の顔を包み込んだのかな。

つめたいデザート「かき氷」ですが、温かい交流を感じる句です。  郁子

 

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カップアイス掬う巨漢の小さき匙  郁子

2022年07月28日 | Weblog

外回りの営業マンがベンチでカップアイスを食べているのでしょうか?あるいは、句会は名古屋場所の最中でした。お相撲さんの姿でしょうか?初優勝した逸ノ城だったりして。。。

大汗をかきながら小さい木の匙でアイスを掬う姿はなんだかほほえましいですね。匙の小ささが強調され映像がよくみえるユーモラスな句だと思いました。

能登さん:俳句の原点?諧謔。

須美さん:巨漢の小さき匙がユーモラス

晴代さん:巨漢と匙の光景 思わずくすっとしてしまいます。折しも名古屋場所中ですね。

遅足さんも採られています。

 

そして同じ匙でもこちらは銀の匙。

    銀の匙はかなき瓦解かき氷  麗子

瓦解がやや大げさな気がしましたが、一気に崩れ落ちる様子を詠みたいと思いました。

能登さん:意味深!奥が深そう。

等さん:かき氷が解けるのを、“瓦解”と大袈裟に表現したところが面白いですね。

須美さん:かき氷の崩れる様をはかなき瓦解とは面白い。

ありがとうございました。「匙」という題でも面白かったかも知れませんね。麗子

 

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国破れて山河在(あ)り

2022年07月25日 | Weblog

ロシアによるウクライナ侵攻の悲惨な状況を連日、テレビでみながら

時々の教科書にも出てくる盛唐の詩人 杜甫の「国破れて山河在(あ)リ」を思い出しました。

安禄山の反乱で賊軍に囚われの身となった時の作だそうです。

吉川幸次郎著「新唐詩選」(岩波新書)によると、「国破れて」は「敗戦ではなく…狂人がでたらめにハサミを入れた紙切れのように

ぼろぼろになってしまったこと」とあります。まさに、今のウクライナの状況です。

 

 「山河在(あ)り」の「在」に深い意味があります。

「依然として、確固として、存在する」ということです。

ウクライナのように建物は破壊され、ボロボロになっても、昔からの自然は何事もなかったかのように存在しているということでしょう。

この心境は戦争を体験した者でないと、なかなか理解できないのではないかと思います。

私には少年時代の不思議な体験があります。終戦の日の8月15日、

国民学校5年生だった私は玉音放送をラジオで聞いたものの意味がわからず、父に聞いたら、「日本は負けたらしい」と言う。

それを知った途端、私は「これから私たちはどうなるのだろうか」と思いながら、わけもなく外へ出ていました。

気がついと、いつもよく行く小川沿いの細道を歩いていました。

「あゝ、これでアメリカ兵がこの村にも来て、皆殺しにあうのだ」と思いました。しかし、その時は不思議と怖いとも悲しいとも思いませんでした。

いつも変わらぬ風景がそこには在(あ)り、小川の水面が残照を受けてキラキラと光っていました。この光景が妙に頭に焼きついて今も離れません。

 

杜甫の「国破れて山河在り」に続く「城は春にして草木深し」について吉川幸次郎は

「… 春はことしも、めぐり来た。人間はその秩序を失っても、自然はあくまでもその秩序を失わない。

人影もない城壁のほとり、草木は青々と、めぐみ、しげる。

芭蕉が、「城春にして草青みたり」とこの句を引用するのは、記憶のあやまりであろうか、わざと改めたのであろうか。」と書いています。

「青みたり」がひっかかるようですが、私には俳句のことはよくわかりません。

多分、芭蕉は、「在」の認識がなかったと言いたかったのではないかと思います。

「国破れ」の体験のない芭蕉にそれを求めるのは無理だと思います。   竹中 敬一

 

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しぐるるや駅に西口東口  安住敦

2022年07月23日 | Weblog


7月17日 新聞のコラムに引用されていた句です。(天声人語)
時雨は初冬の季語だが 雨で落ち着かなくなる時、思い出す句で季節はずれの句を記したのは、
このところ感覚が狂わされっぱなしだからだ、と前置きして雨の降り方について書かれていました 。


俳句を 文中に利用している と気が付いたのは
湯豆腐やいのちのはてのうすあかり
の句を見つけた時からです。20 年 5 月 24 日 「日曜に想う」 の欄(朝日新聞)に、 本腰を入
れたものより余技だと言っていた俳句によって久保田万太郎はよく知られている。
経済政策のアベノミクス よりも、思いつきとされる安倍マスク の方が後世の人の記録記憶に残るように思う、と前置して言葉の大切さが書いてあった。


その 20 年 5 月から 21 年 3 月まで、俳句が引用されている部分を探し 始めました(天声人語のみ)

俳句は 24 句、短歌は 10 首、詩・絵本の一部を引用したものそれぞれ一つとなっていました。


5 月 2 日 …暖かさが暑さに変わり 季節の動きを感じる…として 細見綾子
… 初夏の空を美しく感じるのは輪郭を縁取る緑が鮮やかになってくる …として篠原梵


5月 24 日 …色の変化といえば「七変化」の異名を持つ紫陽花の季節も近づいている…として渡辺水巴


6 月 13 日 … 夏の湿潤な季節に咲く花のうち、どくだみはひそやかで、… 川端茅舎


6 月 24 日 … 夏至の前後の蛍を待つ気持ちを表すのに… 稲畑汀子、 池田澄子
などなど、それぞれ どんな句が引用されたか想像してみるのも面白いかもしれません。


上から順に


うすものを着て 雲の行く楽しさよ
葉桜の中の無数の空騒ぐ
紫陽花や白よりいでし浅みどり
どくだみや真昼の闇に白十字
蛍に暮れねばならぬ空のあり
じゃんけんで負けて蛍に生まれたの

                                                                 千香子

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青春にいささかの悔いシャーベット  亜子

2022年07月22日 | Weblog

作者の亜子さんの自画像だそうです。コロナや一人暮らしでどうしても内向きの精神状態になり、昔のことを色々思い出すそうです。古いアルバムをめくるように。。。

「いささかの悔い」はどのようなものでしょうか?

もしかしたら、もう一度会いたい人がおられるのかもしれません。青春に悔いはつきものですね。そこにアイスクリームではなくちょっとシャリっとした果汁いっぱいのシャーベットはよく合うと思います。淡い思い出ですね。

晴代さん:レモンのシャーベットでしょうか?

竹葉さん: シャーベットが効いてますね。ひとりシャーベットを食べるともなく匙でしゃかしゃか切りながら自分の想いにふけってる光景が浮かんできます。

遅足さん、佐保子さんも採られています。

 

皆さんそれぞれいささかの悔いがあると思います。昨日ご紹介した晴代さんの心太の句も同じような心象風景かも知れません。この二つがトップ賞でした。それでも今があるのは過去があるからですね。全肯定で行きましょう。麗子

 

 

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一押しの足らず今あり心太  晴代

2022年07月21日 | Weblog

氷菓 蜜豆 甘酒 ゼリー、白玉 水羊羹・・

夏のおやつは、季語にたくさん並んでいます。スイーツという今風の言葉にしてみた今月の兼題はいかがでしたか?

甘いのが苦手な方は、つるっとのど越しの良い心太は最高のおやつですね。

 

 コメントをご紹介します。

 竹葉さん: あと一押しがあったら。。を「心太」を使うとはぴったりですね。この句を詠んで、あと一押しが無くて今があり、それで良かったんだー、と思わせてくれました。

千香子さん: ところてんを押し出すときのように、なぜ最後まで押し出さなかったか という気持ちがよく表れていて、季語が生きている感じです。

⑩と迷いました  【⑩とは 青春にいささかの悔いシャーベット 亜子 】

亜子さん: ◎の句。懐かしい押して出てくる心太の道具。しみじみと人生を振り返って「あの時、もう一押ししていたらよかったのに。。。」と思う反面、案外これでよかったのだと今の人生を肯定しているように感じられる。

佐保子さんもとっておられます。

 

  

私もいただきましたが、少しちがった読みをしました。

一押しというのは過去でなく、今現在のこと。

ついても少しだけ残る感じのところてん突き器・・そんな道具はNGでしょうが、(笑)

何かわだかまる、微妙な違和を「一押し足らず」としたのかな?と

それが「今」である と解釈しました。それは自分だけでなく世の中全般を指しているかもしれません。

どのように読んでくれても良いよ~と晴代さんの笑顔が浮かびました。 郁子

 

 

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7月「夏のスイーツ」結果発表!

2022年07月20日 | Weblog

2022,7月「夏のスイーツ」

  1. 白玉やいびつな丸の訳を問う (須美) 能登 千香子 遅足 泉
  2. 取り寄せて囲む人居て葛桜 (千香子)
  3. 一押しのたらず今あり心太 (晴代) 竹葉 千香子 郁子 佐保子 亜子
  4. 初デート甘味屋で選ぶところてん (能登) 竹葉 等 泉
  5. グラス揺れ氷からりや梅ジュース(竹葉) 須美 郁子 泉
  6. カップアイス掬う巨漢の小さき匙 (郁子) 能登 須美 晴代 遅足
  7. 銀の匙はかなき瓦解かき氷 (麗子) 能登 等 須美
  8. かき氷幼な子の頬ひんやりと (泉) 佐保子
  9. かき氷花嫁のごとベールかけ  (健太) 等 麗子 郁子 亜子
  10. 青春にいささかの悔いシャーベット (亜子) 竹葉 麗子 晴代 遅足 佐保子
  11. アイスバー出刃で小さくし口の中 (等) 晴代
  12. 古風なる硝子器の蜜豆来  (佐保子) 麗子 千香子 亜子

 

自由題

  1. 凶弾に人は驚愕古都炎暑 (等) 千香子
  2. わが影のよろめく段差街猛暑 (亜子) 等 須美 晴代 遅足 佐保子
  3. 室外機響く炎昼皆死して (竹葉) 麗子 亜子
  4. 湯上がりの子らはしゃぎおり玉の汗 (須美) 竹葉 能登 郁子 泉
  5. 返信無用に「了解!」と打つ蝉の声 (郁子)
  6. 梅雨空やスーパームーン光射す (泉) 竹葉
  7. 海峡を渡る大橋梅雨明ける (麗子) 能登 郁子 晴代
  8. 冷房服のファンまわるミキサー車 (千香子) 佐保子
  9. 夕風にゆれ半夏生白立てり (晴代) 竹葉 等 麗子 須美 泉
  10. 匂いたつ二の腕のしろ藍ゆかた (能登) 等 千香子 遅足 佐保子 亜子
  11. 夏の雲車椅子押し投票所  (佐保子) 能登 麗子 須美 千香子 郁子 晴代 遅足 亜子 泉

 

トップ賞は

兼題 晴代さん 亜子さん

自由題は ダントツで 佐保子さんでした。 

 

 

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夏のスイーツ句会の投句が揃いました

2022年07月19日 | Weblog

ひんやりスイーツが勢ぞろいしました。明日の結果をお楽しみに。

兼題「夏のスイーツ」

①     白玉やいびつな丸の訳を問う 

②     取り寄せて囲む人居て葛桜 

③     一押しのたらず今あり心太 

④     初デート甘味屋で選ぶところてん 

⑤     グラス揺れ氷からりや梅ジュース

⑥     カップアイス掬う巨漢の小さき匙 

⑦     銀の匙はかなき瓦解かき氷 

⑧     かき氷幼な子の頬ひんやりと 

⑨     かき氷花嫁のごとベールかけ  

⑩     青春にいささかの悔いシャーベット 

⑪     アイスバー出刃で小さくし口の中 

⑫     古風なる硝子器の蜜豆来 

 

自由題

①     凶弾に人は驚愕古都炎暑 

②     わが影のよろめく段差街猛暑 

③     室外機響く炎昼皆死して 

④     湯上がりの子らはしゃぎおり玉の汗 

⑤     返信無用に「了解!」と打つ蝉の声 

⑥     梅雨空やスーパームーン光射す 

⑦     海峡を渡る大橋梅雨明ける 

⑧     冷房服のファンまわるミキサー車 

⑨     夕風にゆれ半夏生白立てり 

⑩     匂いたつ二の腕のしろ藍ゆかた 

⑪     夏の雲車椅子押し投票所  

 

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私のみた『方丈記』(6)最終回

2022年07月17日 | Weblog

 

私は今回、初めて『方丈記』の全文を読んでみました。そこでわかったことは、鴨長明の考えが凝縮されているのは、

第1項目「ゆく川の流れは絶えずして」と最後の「そもそも、一期の月影傾きて」にあると思います。

そのほかは前半が火災や飢餓について、後半が衣食住についての考えが述べられています。

教科書に載っているのは第1項目。無常観や宗教観が凝縮された一番、難しい話をいきなり若者に教えています。

古文を訳すことはできても、長明の考えを理解できるのは、ある程度、歳を重ねてからではないでしょうか。

流れに逆らって上る鮎のように、未来に向かって進もうとする若者に「ゆく川の流れは…」と言っもピンとこないのでは。

『方丈記』の第1、18項目以外を教科書に載せれば随分、親しみやすくなると思います。

最後の18項目「そもそも、一期の月影傾きて」では、出家して何事にも執着してはいけないと悟ったつもりが、

煩悩を断ち切れずにいる自分をそのままに述べていて、ここが『方丈記』の魅力でもあります。

 

      竹中 敬一 

 

              

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梅雨入りや全ての重み抱え込み  麗子

2022年07月15日 | Weblog

梅雨明けしたといいながら、後半戦が始まりましたか?というこのところのお天気です。

この句は、短歌のアタマの部分のようにも思え、あとに余韻のようにして読み手の憂鬱な思いを想起させます。

 

等さん: 家のタンスや外の路など、あらゆるものが重みをもってしまう、梅雨のイヤ なもの全てを表現しています。

結宇さん: 前句と似たような雰囲気があるけど、こっちも包まれてるんでしょうね。(前の句とは竹葉さんの 「青と黒空半分の走り梅雨」 )

須美さん: 全ての重みを抱かえ込むに納得。

佐保子さん 健太さんもとられています。

      

何とは言わずとも なんとなくもやもやとメランコリーになるのが梅雨なのですね。同感。

対してこちらは具体的です。

 

 夏至近し夕餉の用意気が乗らず  須美

(夏至が近くなり日が長いとどうも夕食の準備が後回しになり気が乗りません 須美)

 

晴代さん: 本当に毎日大変よ~くわかります。

亜子さん:「夏至近く」の日が長い頃。朝から名もなき家事に追われなんだかくたびれた夕方、食事を作る気がしない実感の句。とても面白いと思いました。

    

これはまさに実感!いつまでも明るいと胎内時計が狂います。夕飯を作ろうという気分にならないという主婦の「あるある」を句にされています。

夏休みがやってきます。家の中に常に子どもがいると ご飯をつくる気分にならない、もしくは またご飯を作れってか? という毎日が・・

後から思えば、いつまでも続くわけではない貴重な「家族の夏」なんですけどね。  郁子

 

 

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青と黒空半分の走り梅雨  竹葉

2022年07月14日 | Weblog

今年の梅雨明けは異常に早く、でもまた戻り梅雨のようなお天気です。

「走り梅雨」は本格的な梅雨に入る前の悪天。数日間お天気がぐずつきます。そんな走り梅雨の頃の微妙な空模様を詠んだ一句です。明るい空の青と雨雲の黒。「空半分」という表現が新鮮でした。簡単な言葉で大きな自然現象を切り取られて気持ちのいい句だと思いました。

皆さんのコメントです。

等さん:青と黒の空から俄雨が・・、時には降り時には止む、気まぐれな梅雨の到来ですね。

能登さん:なかなか表現しにくい現象を、明確に表現されました。

結宇さん:どんよりとした梅雨の雰囲気ですね。 こんな空をみた記憶があります。

泉さん:梅雨の空を見ていると黒い空になる時がある。半分という表現がおもしろい。

         ★★★

千香子さんも採られています。

走り梅雨に対して、「送り梅雨」という言葉もあるそうです。こちらは、梅雨が明ける頃の大雨。強くたくさん降り、雷も伴います。集中豪雨も起こりやすいので今はまさに「送り梅雨」の季節かも知れませんね。麗子

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私のみた『方丈記』(5)

2022年07月10日 | Weblog

鴨長明は50歳の時、30代に経験した天災、飢餓などを思い出しながら『方丈記』を書いています。

その間、福原遷都、平家滅亡も目の当たりにしていますが、無常という言葉は私がみる限り冒頭の「ゆく川の流れは

絶えずして」の中でただ一ヶ所、出てくるだけです。

確かに全文を貫いているものは「一切のものは無常である」という無常観、宗教観でしょうが、

そのことを殊更に取り上げたのは、昭和時代の文芸評論家からではないでしょうか。

鴨長明は『方丈記』の冒頭部分で凡そ次のように述べています。

 「いく川の流れのように、人も家もいつまで同じであり続けることはない。

都で競って立派な家を建てても、昔あったままの家はめったにない。住んでいる人も同じで、昔からの顔見知りは、2、30人のうち、僅か一人か二人である。」

として「その栖(すみか)と、無常を争うさま、いはば、朝顔の露に異ならず」と、ここで初めて無常という言葉が出てきます。

 

 鴨長明の家についての考えに共鳴します。

私の話になりますが、昭和40年代初め、民放テレビ局で情報番組を担当していた時、

市営住宅で一人暮らしをしていた老婆がコツコツと貯めた多額のお金を福祉に役立てて欲しいと市役所にホンと寄付を申し入れた話題を取り上げたことがあります。

金額は忘れてしまいましたが、寄付した理由について、その老婆は「私は夜露が凌げれば、それで十分」と語った言葉が今でも忘れられません。

当時、私はこの言葉に大変、感動しました。丁度、高度経済成長期、賃金は右肩上がりで伸び、皆んな競って一戸建ての住宅を郊外に建てていました。

銀行も不動産屋もローンを組んで住宅購入を勧めました。しかし、私は情報番組に出てもらった当時、知られた経済学者から

「右肩上がりの神話は長続きするはずがない」という言葉にハッとさせられました。

でも、そんなはずはないという人ばかり。(まもなく、その言葉通り賃金は下がって、なんと今日まで横ばい状態。政治が悪い)

 

私は当時、同じ郊外でも公社が売り出した安い土地付き住宅を抽選で当て、購入しました。その代わり、僅かな土地に平家建てでマッチ箱住宅と揶揄されていました。

まもなく、周囲の同じ住宅は競って2階建てに建て替えられ、当時のままの家は我が家と数軒になってしまいました。

今、この団地で若い世代に家が受け継がれているお宅は稀で高齢者ばかりの状態です。

鴨長明の教えはいつの時代でも通じているようです。  竹中 敬一

 

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あじさいや性別欄に「その他」あり  千香子

2022年07月08日 | Weblog

面白い切り口というか発想ですね。

紫陽花の写生、心象の描写ということではなく、

少し距離のあるものと合わせながら季語がきいているという一句です。

 晴代さん: 少しづつ世の習いが変化?していくようです。

 須美さん: 紫陽花は種類がとても多い。人間の性別にだって男女だけでなくても良いと思わされた。

 亜子さん: 現代の多様性を敏感に詠んだ句。紫陽花は色が変化するのでジェンダーの多様性にうまく合う季語だと思う。

紫陽花の品種の多さ、移ろう色を世の動きや多様性と重ねる新鮮な視点はお見事です。

遅足さん 健太さんもとっておられます。紫陽花のイメージがさらに膨らんだ気がしました。

 

紫陽花の水滴の内萬(よろず)棲む  能登

 結宇さん: よろず包むあじさいの水滴というのは、いろいろ想像させます。こしかた行く末かな。

題詠をいただき、たくさんの紫陽花と向き合いとりくんできましたが、そろそろ花も終わり。

私も我流で剪定を終えました。来年また美しい姿を見せてもらいたいものです。  郁子

 

 

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紫陽花や群青の水丸くだき  晴代

2022年07月07日 | Weblog

 今日は七夕です。突然の豪雨で雲行きが怪しそうです。織姫と彦星は会えるでしょうか?

さて、今日の一句は晴代さんのまるでカメラで接写したかのような句です。

特に、中七の「群青の水」に魅かれました。紫陽花の群青色が雨つぶに写っているのですね。ただ、下五は「丸く抱き」と漢字にした方が意味がわかりやすいかも?と思いました。

  須美さん:「群青の水丸くだき」に心が奪われた。

  能登さん:「群青の水丸くだき」が秀逸。

           ★★★

紫陽花にはやはり雨が似合います。雨上がりの一句かもしれません。

同じ紫陽花と雨を詠まれた俳句。

    紫陽花や雨滴に弾む青と青   竹葉

こちらはやや勢いのある雨に打たれた様子。青が弾んでいます。

  郁子さん:「紫陽花が雨に濡れている。このシンプルな景を感性いっぱいに描写するとこうなるのでしょうね。小花の集合体である紫陽花。雨に打たれて青と青が弾んでいるという表現が楽しい。」

 

同じ紫陽花でもその時の雨の様子で違った色や形に見える。丸くなったり弾んだり。。。小さな発見がありますね。そこを17文字にまとめるのが俳句の可能性ですね。麗子

 

 

 

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