575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

二月尽   麗

2013年02月28日 | Weblog
今日で二月も終わり。二月尽という言葉を教えてくださったのは亡き志考さんです。
今年は暖かい春の日差しに包まれた二月尽です。
久しぶりに身体が楽な感じ。洗濯機もぐるぐる回します。窓も開けて掃除もはかどります。

今朝の新聞に、3日に亡くなった団十郎さんの辞世の句が載っていました。

        色は空 空は色との 時なき世へ

般若心経の教えのようです。「時なき世」はどんな感じでしょうか?志孝さんも長良さんも時なき世に行ってしまわれました。あちらで会っていらっしゃるでしょうか?

        時なき世どんなところか二月尽   麗
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春の雪単身赴任の知らせあり   麗子

2013年02月27日 | Weblog
「雪は天からの手紙」。
雪の学者、中谷宇吉郎の言葉です。
春の雪とともに伝わってきたのは、単身赴任の知らせでした。
「知らせ」とありますから、直接本人に関わることではないようです。
といって、そんなに疎遠な関係の人でもなさそう。

単身赴任の知らせに、こころに小さな波が立つ。
春の雪は、ちょっと唐突に降りだし、驚かされますが・・・

                     遅足


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一茶の雀こそ   鳥野

2013年02月26日 | Weblog
春の愛らしい景物、スズメ。
その姿が最近、めっきり減りました。
住宅建築の様変わりで、営巣が困難。農業の
機械化で、餌不足。原因は種々あるものの、
このままだと、やがては絶滅の心配もあるそ
うです。

マンション住まいになった時、ベランダに餌
を撒けば、親子連れの雀が訪れて、可愛い仕
草を見せてくれたものでした。

この楽しみは、ある日、階下の家のベランダの
手摺りにずらりと並んで、餌撒きを待つ群れを
発見。これは迷惑と即刻中止となりましたが。

黄色の口もとを精一杯に開けて、親に餌をね
だる子。体の大きさは親と変わらないのに、
何時までも甘え子でした。

 ・ 雀の子そこのけそこのけ御馬が通る 一茶

           





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記憶にあるあなたのような春の雪    えみ

2013年02月25日 | Weblog
とても面白い句ですね。
目の前に降っている春の雪。それは、記憶のなかにあるあなたのようです。
春の雪は、どこか不確実なものを感じて、と作者。

そう言われてみると、記憶というものも確実なようで、どこかアイマイ。
こうあって欲しいという気持ちにそって、微妙に修正されているかも。
春の雪に似ていますね。
こんな句を思い出しました。

春雪三日祭の如く過ぎにけり   石田波郷

ところで、この「あなた」は男性?女性?
句会では、女性と読む人、男性と読む人に分かれました。
文藝の読み方には、唯一の正解というものはないようです。
読み手の数だけの読み方があって、それが面白いと思います。
私は男性と思いました。

                       遅足



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紅梅のまず一輪をこの世へと    遅足

2013年02月24日 | Weblog
空は晴れていますが、北風の強い朝です。
庭の紅梅がやっと一輪花を咲かせてくれました。

今日の中日俳壇の栗田やすし選の句。

  山茶花の散り次ぎてなほ花盛り   加藤ゆうや

この句の通り、赤い山茶花もなお花盛りです。

        

突然ですが、ここで詩の題名当てクイズです。

詩人・北川冬彦の一行詩。

軍港を内臓してゐる

この題名は?

「馬」です。

では、この詩の題名は?

食塩の消費量で不潔な人口を算定することを
神々は説(よろこ)ばれぬ。

作者は安西冬衛です。

答えはコメント欄に。


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「体臭」喜劇      遅足

2013年02月23日 | Weblog
NHKーBSの「山田洋次監督の選んだ喜劇映画100」。
録画して観ています。
先日、観たのは、上原謙主演の「ありがとうさん」。
戦前の伊豆。天城街道を走るバスの運転手(上原謙)と、
身売りされていく娘との恋を軸に、
乗客や街道をゆく人々の姿を描いた作品。
道をよけてくれる人びとに、「ありがとう」と声をかける。
そこで「ありがとうさん」と呼ばれているハンサムな運転手。
不景気の時代にほのぼのとした後味の良い映画でした。

体臭喜劇というのは、そのなかの一本「女は度胸」。
昭和40年代初頭の東京。羽田空港近く。
主人公は、町工場で働く河原崎健三。
父の花沢徳衛と兄の渥美清は、飲んだくれて掴み合いの喧嘩の毎日。
母の清川虹子は、黙々と内職を続けるばかり。
鉄工場で働いている健三は、近くの電気工場で働く倍賞美津子と恋仲に。
文学青年の健三は恋人にゲーテの詩集を贈ります。
ところがこの詩集、美津子の友達(アルバイトでコールガールをしている)から
渥美清に渡ったことから、恋のドタバタが始まります・・・
最後は清川虹子の度胸で一件落着。

映画が終って、小野アナウンサーの一言。
「大衆喜劇という言い方があるとすればこの映画は体臭喜劇ですね」。

たしかに画面から汗と涙、体臭が伝わってくる映画でした。
とくにダンプカーの運転手を演ずる、兄の渥美清は「体臭」役者。
人間臭さそのままの役柄でした。

そういえば、何時の頃からか、消臭剤が普及。
臭いが日本から消えていきました。
臭いのあった昔を懐かしんだひと時でした。


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春の雪句会の最終結果です。      遅足

2013年02月22日 | Weblog
今朝、名古屋は雪がちょっと舞いました。
春の雪句会の結果です。
当日、句会を体験したいと、童子さんのお知り合いのNさんが出席。
Nさんをふくめて2句選としました。  

題詠「春の雪」

①記憶にあるあなたのような春の雪(えみ)すみ・静荷・童子・遅足
②春の雪単身赴任の知らせあり(麗子)能登・童子・N・晴代・結宇・立雄
③去りがたし制服の肩春の雪(郁子)
④まあだだよ枝に蕾に春の雪(晴代)鳥野・立雄
⑤春の雪瓦礫の山を匿(かく)せずに(静荷)えみ・亜子
⑥静かに静かにカンブリア紀の春の雪(遅足)鳥野・麗子・郁子
⑦御園座に惜しむ名残や春の雪(亜子)麗子・N
⑧肩越しに探す合否や春の雪(立雄)能登・すみ・静荷・狗子・えみ・亜子・結宇
⑨バス停に帰り待つ子や春の雪(結宇)
⑩緊張の試験の朝に春の雪(すみ)
⑪春のゆきはしゃぐ手手手手通学路(智恵)鳥野・能登・郁子・遅足
⑫重くなりふるえる相傘春の雪(能登)狗子
⑬午前二時侵略のごと牡丹雪(狗子)晴代

席題「春浅し」

①好きな本読みたくなって春浅し(えみ)
②春浅し少しやせたる影法師(狗子)晴代・亜子・結宇・静荷・立雄
③春浅し水面に泡の消えやすく(遅足)立雄
④旅行記にふくらむ夢や春浅し(静荷)狗子・晴代・すみ
⑤春浅し学び舎の別れ幾星霜(結宇)郁子
⑥春浅し重き荷物を出せぬまま(麗子)えみ・すみ
⑦つくばいの淡いひかりや春浅し(晴代)えみ・亜子・郁子・静荷
⑧老いた親庭に片すみ春浅し(すみ)結宇・麗子・遅足
⑨小さき靴脱いで浜行く春浅し(亜子)遅足
⑩春浅し土手のつくしもエリをたて(郁子)結宇・麗子

Nさんは、5月に名古屋の宗次ホールで奥の細道をテーマに朗読会を企画。
句会を体験したいとのことでした。
「感想は?」とお聞きしたら、
「一つの言葉もさまざまな読み方があり、新鮮でした」とのこと。


次回は3月20日(水)午後1時 東鮨
題詠は「彼岸」です。
また、自由題はなく、当日の席題ということになりました。

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春の雪句会   麗

2013年02月21日 | Weblog
昨日は実際には雪は降りませんでしたが、東鮨にはどこかはかなげで不安定、緊張感を含む春の雪が降り続きました。

記憶の中の人を思い出し、単身赴任の知らせもあり。去りがたい駅のホームの高校生の方に降る雪。春はまあだだよ。東北のがれきに降る雪。5億年くらい前のカンブリア紀に降る静かな春の雪(決してビブリア古書堂ではありません!)思い出いっぱいの御園座にも、合格発表の日にも、親を待つ子のバス停にも、試験の朝にも春の雪が降りました。はしゃぐのは子供たち、ふるえるのは相合い傘。インベーダーゲームのように深夜に侵略するかのごとく降るのが春の雪でした。

立雄さんの  

           肩越しに探す合否や春の雪

がトップ賞です。

実感。共感。なぜかこの人は合格したとの確信が生まれ安堵しました。

ところで昨日は初めて席題もあり。お題は「春浅し」と決まり
ハラハラドキドキのあっという間の5分間。

瞬発力が鍛えられそうで来月も句会筋トレは続きます。

宗次ホールの方も見学に来られいつもと違った春の句会。刺激的な一時でした。来月は春分の日開催です。麗
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2月句会の投句が集まりました。   遅足

2013年02月20日 | Weblog
今回は自由題はなし。題詠は「春の雪」です。

①記憶にあるあなたのような春の雪
②春の雪単身赴任の知らせあり
③去りがたし制服の肩春の雪
④まあだだよ枝に蕾に春の雪
⑤春の雪瓦礫の山を匿(かく)せずに
⑥静かに静かにカンブリア紀の春の雪
⑦御園座に惜しむ名残や春の雪
⑧肩越しに探す合否や春の雪
⑨バス停に帰り待つ子や春の雪
⑩緊張の試験の朝に春の雪
⑪春のゆきはしゃぐ手手手手通学路
⑫重くなりふるえる相傘春の雪
⑬午前二時侵略のごと牡丹雪

いろいろな春の雪が集まりました。
どの句に早春の風が集まるのでしょうか?
句会は午後1時からです。


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深井の町は要注意   鳥野

2013年02月19日 | Weblog
朝刊の文化欄に名古屋城の「御深井焼(おふけやき)」の名
称に関する新し説が詳細に述べられていました。

その名を戴いているのが、わが町内。城西として統合される
される前の「深井町」です。

文字通りの湿地帯。かっては一面の泥田だったと言います。

お城までは指呼の間、重要な地の利を占めながら、住まい
していたのは、足軽などの軽輩ばかり。
武家屋敷も城下町も南へ、東へと発展していきました。

今、災害に備えて「古い地名や町名を見直そう」と言われ
始めています。

そればかりではなく、由来には先人方の知恵や戒めも詰め
られています。

わが愛用の市バスは「数寄屋町」「樋ノ口町」と停車して
次は「名古屋城正門前」。

学区内には嘗て泥町、塩町、紙漉町、俵町もありました。

  ・ 春灯し鷹匠町はこのあたり  鳥野

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来世より雪降る夜の曲がり角   遅足

2013年02月18日 | Weblog
立雄さんが、この句の感想を送って下さいました。

街燈の明かりのもと、降り注ぐ雪を見ていると、
雪があの世から落ちて来るようです。
来世とこの世が街燈のある曲がり角で、
つながっているように思えます。

ありがとうございます。
立雄さん、少しは目が見えるようになると良いのですが・・・



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たましいが人を着てゐる寒さかな   山田露結

2013年02月17日 | Weblog
句集「ホームスウィートホーム」の中の一句。
霊魂と肉体の関係、ズレとか葛藤を詠んだ句と読めます。

地球が出来て6億年後に生命が誕生。
それから40億年の時が流れています。
この「たましい」を生命と読めば、誕生した魂は、
ある時はアメーバ、ある時は恐竜に・・・と
様々な意匠を着てきたことになります。

そして今は人間という衣を着ています。
それを寒さかな、という作者。
生命の未来に危機感を持っているかも。

山田露結さんの句集については、荻原先生も、
朝日新聞で、すでに紹介されています。

   花大根石は仏をつとめたる

石仏そのものを凝視し、仏だと言いながら、
素材が石であることに気づいて、
掴んだ物の感触を描いたのに加え、
素朴にひっそりと咲く大根の花をとりあわせたことで、
春の情趣をより一層深めている、と評価されています。

                     遅足


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謡曲「井筒」のフレーズを拝借して②      遅足

2013年02月16日 | Weblog
   色のうて匂ひのこれる春の雪

この57も井筒のなかのフレーズです。

亡夫魄霊の姿は、萎める花の色のうて匂ひ残れて、在原の寺の鐘も
ほのぼのと明くれば、古寺の松風や芭蕉葉の夢も破れて覚めにけり
夢は破れて明けにけり。

(業平の面影は、匂いだけが残っている風情で、
しばらくは見えていると思ったが、やがて消えて・・・夢は覚めてしまった。)

この謡いにのってシテは退場。
ワキの見ていた夢は覚めて、能は終ります。

古今集の序では、業平の歌を次のように評しています。
在原業平はその心あまりて詞足らず、しぼめる花の色なくて匂ひ残れるが如し、と。
このフレーズは、その一部をそのまま転用したものです。

「色のうて匂ひのこれる」
色即是色・空即是色に通ずるような気がして、気に入ったフレーズです。
一度、つかってみたいと思ってきました。

ここでは「春の雪」という季語と取り合わせてみました。
春の雪は、降ったと思えば、もう融けていく儚い存在。
夢の面影とよく合うと思いますが、季語の説明になっているようです。
もっと良い季語がありそうですが・・・(笑)

テンプレートを変えてみました。ちょっと乙女チックに過ぎるかな?








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謡曲「井筒」のフレーズを拝借して①     遅足

2013年02月15日 | Weblog
今朝の名古屋は雪ではなく雨。春の雨でした。  

  春の雪見見えし人の懐かしき

一昨日、このブログに掲載した句です。
中七は、謡曲「井筒」のなかのフレーズを拝借したものです。

井筒は、伊勢物語に題材をとった謡曲です。
業平を慕ってこの世に現れたシテの女が、恋しさのあまり
恋人の着ていた冠・衣装を身に着けて舞う場面で終ります。
そのクライマックス。
女が井戸の水に映った自分の姿を、恋しい男だと思う箇所。

さながら見見えし昔男の冠直衣(かむりなおし)は
女とも見えず男なりけり

(親しく相逢った昔男(業平)の冠・直衣を身に着けた
我が姿は、全く女には見えず、男の姿。
井筒に映る我が姿に業平の面影が偲ばれるよ。)

古典の言葉「見見えし」を使ってみたかったのでつくった句です。
あまり成功しているとは思えませんが・・・


                 
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春の雪   麗

2013年02月14日 | Weblog
今日は暖かい日。でも明日は待望?の「春の雪」が降りそうです。
遅足さんから昨日説明がありましたが締めっぽく解けやすい。降るそばから消えるので淡雪というそうです。牡丹の花のように大降りに重いのが牡丹雪だそうです。その他、春雪、綿雪も同じ季語のようです。
歳時記から

    春雪の夜に熱の子まかせおき  中村汀女

    あれなるが安房の岬か春の雪  白雄

当地では昨日もうっすらと雪景色でした。

      うっすらとフロントガラス春の雪  麗

明日また降ったら句会用に作ります。
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