575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

小夏日和    遅足

2007年10月31日 | Weblog

11月の暖かい日を本州では小春日和。
南の沖縄では小夏日和というそうです。
これは立冬前後に、移動性高気圧に覆われ、南からの暖かい風が吹きますと、
日中の気温が30度にまで上がります。
夏がもどったようなことから小夏日和と呼ぶそうです。

このようなポカポカ陽気をアメリカではインデアン・サマー、
ヨーロッパでは老婦人の夏と、いうそうです。

 小夏日(こなつび)の潮吹き上ぐる一枚岩  本部弘子

こうした美しい言葉は季語には入っていません。
これは勿体無いと、「地貌季語」と名付けて
俳句に積極的に取り入れていこうと主張しているのが、
宮坂静生さん。(現在、NHK俳句の選者でもあります)

地貌とは地理学の用語です、土地の有様を意味しています。
地貌季語は、方言季語といったところでしょうか。

   (語りかける季語 ゆるやかな日本 宮坂静生より)

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あなたは何派?  鳥野  

2007年10月30日 | Weblog
俳句と短歌で、それぞれご指導を受けている荻原先生は、数多くの歌集を出されています。

そのうちの第2歌集のタイトルは「甘藍派宣言」。意味深長で正確に理解するのは難しいですね。

それはさておき、自分はなに派? この答えはさらに難しい。
さしあたり当方は、ゴーヤーかな。ごつごつと憎らし気で味は苦い。老ければ実は赤く色づき、甘くなるのだが、それまで持つだろうか。

先生の同歌集の中から

  ・ 桃よりも梨の歯ざわり愛するを時代は桃に近き歯ざわり

  ・ わが指と恋人の指ゆきかへるかたつむり見るだけの夕暮

  ・ アルゴンの含有率こそ寂しけれ二月の大気われをつつめり

  ・ 遠景に翳る青葉の窓辺にて待つべきものもあらずただ待つ
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冬のつく植物         愚足

2007年10月29日 | Weblog
 次回の575の会のお題は「冬」。
 冬のつく植物の句を探して見た。

  あるときは雨粛々と冬いちご      飯田蛇笏
  冬ざくらしづかに今は兵ならず     安住 敦
  わが齢わが愛しくて冬菫        富安風生
  夢見るか夢見しあとか冬わらび     青柳志解樹
  侘びつつも酒の粕焼く冬紅葉      才麿
  冬薔薇石の天使に石の羽根       中村草田男
  つくばひに沈みてひとつ冬珊瑚     長谷川櫂
  咲きかねて紅充ちし冬牡丹       渡辺水巴
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柳葉魚         愚足

2007年10月28日 | Weblog
 いわしは駄目だがシシャモは好きだ。
 子持シシャモでさえスーパーにあって食べられる。
 しかしそれらは、北大西洋産でノールウエイなどからの輸入物で現地ではほとんど食べないという。しかも日本に出回るシシャモの90%以上が之だと聞いた。
 日本産のシシャモは「本シシャモ」と呼ばれうろこが大きくはっきりしているそうだ。産地の北海道などでは今頃塩焼きや刺身でも食べられるし言う。

 ところでシシャモを柳葉魚というのはアイヌの言葉でこの魚の事を柳の葉のような魚と言ったからだという。またアイヌの伝説に女神が下界のアイヌたちが飢えているのを心配して柳の葉を川に流しシシャモに変えてやったというのがあるそうだ。いずれにしてもシシャモが食べたくなった。

  柳葉魚漁るアイヌ舟歌雪が降る     野見山朱鳥
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蟷螂の礫死体避け雨の駐車   朱露

2007年10月27日 | Weblog

  ウイークデー早朝のゴルフ練習場。  
  右打ちには左上がりの山裾にある。
  カマキリはきのうの車に轢かれた。
  私が今朝一番の客だからそうなる。



   


 明日(28日) 朱露さんテレビ出演
 NHKーBS2
 列島縦断俳句スペシャル 午前11時~午後4時
 場所 名城公園

   明日は



 
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10月句会の最終結果です。    遅足

2007年10月26日 | Weblog
題詠「秋の暮」

①母さんが迎えにきてくれる秋の暮(童子)
②見ぬ人にメールを送る秋の暮(朱露)遅
③口癖の「気をつけてね」と秋の暮(静荷)鳥・亜・郁・晴・狗・立
④買い物の足早くなり秋の暮(麗子)立
⑤自転車でのぞみ見に行く秋の暮(狗)童・静・晴
⑥妻と飲むマルゴー求む秋の暮(能登)鳥
⑦この道を行くほかなしや秋の暮(亜子)麗・能・愚・晴・狗
⑧一兵のまた来て坐る秋の暮(遅足)童・朱・愚・亜・静
⑨お勝手の湯気あかりもれ秋の暮(郁子)朱・遅・立
⑩妻立ちて灯ともしけり秋の暮(愚足)鳥・童・遅・郁・静
⑪磨ぎ汁にひたす手元も秋の暮(晴代)麗・朱・能・愚・亜・郁
⑫また一人野辺に送りし秋の暮(立雄)麗・能・狗


自由題

①秋の風離れて弁当開く子や(静荷)鳥・童・能・遅・愚・亜・郁・晴・立
②行く秋の居心地悪き代車かな(朱露)狗
③夜長かなまた起きて読む歎異抄(狗)鳥・童・能・遅・愚・亜・静・立
④桐一葉隣のパソコン閉じたまま(能登)童・麗
⑤こぼれ落つ木犀の夢風さらふ(郁子)亜
⑥木犀の香に染む肌着たたみおり(愚足)麗・能・立
⑦人間の味知っている茸かな(遅足)朱・晴・狗
⑧醜さを斯程に見ては無月かな(立雄)
⑨金色に染め上げられて秋の暮(麗子)遅・郁・静
⑩鰯雲車窓全開カンツォーネ(晴代)鳥・朱・愚・郁・静・狗
⑪さまよえる空き缶ひとつ秋の暮(亜子)麗・朱・晴


  

次回は11月21日(水)午後6時 安田屋 
題詠は「冬」です。


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墨流し                 草女

2007年10月26日 | Weblog
 大分古い話になるが、八月下旬の面の木峠で感激の対面をした。この峠ではレンゲショウマという植物だけでなくスミナガシという蝶に出会えたのだ。
 タテハチョウ科の蝶で大きさは3~4cm。モンシロチョウより大きく、アゲハチョウより小さい。 私は虫はあまり好きではないが、山野を歩いていると色々な生き物に出会う。仲間には虫めずる姫君がいたり、筋金入りの虫博士が回りにいたりして、少しずつ虫にも目が向くようになってきて・・・憧れのスミナガシ。
 翅色は青緑色を帯びた灰黒色が地色で細長い白斑や「く」の字の白斑、青い斑点が幾何学模様に並ぶ。地味だけど派手。私には見えなかったが口吻は赤だという。
 いかなる進化があってこのような模様と色合いを手に入れたのだろう。
 インターネットの記事によれば、スギ、ヒノキなどの植林やその管理放棄によって雑木林が減少し、それに伴ってスミナガシも個体数を減らしているとのこと。
 絶滅危惧種に指定している自治体も多いそうだ。
 ならば今回は大変ラッキーな出会いであった。
 出会ったスミナガシ君も長い時間コンクリートに翅を広げていてくれて写真に撮ることも出来ました。 感謝あるのみ。
 スミナガシという和名は、黒っぽい中に複雑な模様がある翅を「墨流し」で作った模様に喩ええたものである。
 こんなにピッタリの名前をつけた人に脱帽。
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うざい  麗

2007年10月25日 | Weblog
広辞苑が10年ぶりに改訂されて今時の若者言葉もたくさん収録されることになったとのこと。

「うざい」がどんな風に説明されるのか、「うっとうしい」でしょうか?
「イケメン」「らしくない」「自己中」。よく聞かれる若者言葉を年長者が意味がわからず広辞苑でひくというのは辞書の本来あるべき姿。理にかなったことなのかも知れません。でもやっぱり「うざい」は日本語として抵抗があります。
ところで「予報円」も自然・科学の分野で新しく収録されたとのこと。
これはどんな意味なのでしょう?1月に刊行されれば早速ひいてみましょう。
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10月句会の投句があつまりました。  

2007年10月24日 | Weblog
今回の題詠は「秋の暮」です。

①母さんが迎えにきてくれる秋の暮
②見ぬ人にメールを送る秋の暮
③口癖の「気をつけてね」と秋の暮
④買い物の足早くなり秋の暮
⑤自転車でのぞみ見に行く秋の暮
⑥妻と飲むマルゴー求む秋の暮
⑦この道を行くほかなしや秋の暮
⑧一兵のまた来て坐る秋の暮
⑨お勝手の湯気あかりもれ秋の暮
⑩妻立ちて灯ともしけり秋の暮
⑪ 磨ぎ汁にひたす手元も秋の暮
⑫また一人野辺に送りし秋の暮

  


自由題

①秋の風離れて弁当開く子や
②行く秋の居心地悪き代車かな
③夜長かなまた起きて読む歎異抄
④桐一葉隣のパソコン閉じたまま
⑤こぼれ落つ木犀の夢風さらふ
⑥木犀の香に染む肌着たたみおり
⑦人間の味知っている茸かな
⑧醜さを斯く程に見ては無月かな
⑨金色に染め上げられて秋の暮
⑩鰯雲車窓全開カンツォーネ
⑪さまよえる空き缶ひとつ秋の暮

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木犀の香を出でてよりまた一途   楽石

2007年10月24日 | Weblog
俳句教室での宿題「木犀」
私の答案は

 木犀の香を出でてよりまた一途

ちょっと木犀の香りに立ち止まって・・・
再び、目的地に、という句です。

この句に対する先生の診断です。

  何々してよりまた何々、という言い方は、
  俳句の表現スタイルの一つですが、
  この場合、どこか間延びした説明のように感じられます。

  木犀の香りが一つの「領域」のようなものであり、
  その中にいるときはその他を忘れている、
  といったあたりが句意だと思いますが、
  すべてを盛ってしまうのが問題です。

確かに、焦点がふたつあるようなボンヤリした
句になっているようです。

  木犀の香のなかを過ぎ一人なる  遅足

「ひとり」は安易かな?

  さらにぞ!

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可憐な自己主張   鳥野

2007年10月23日 | Weblog
駐車場脇の狭い空き地に、吾亦紅が風に揺れています。

花弁のない小さな花がお団子状に固まって、これ以上に暗い色はないだろうにと思うほどの赤褐色。
痩せた風情で、本当に目立たない秋草です。

歳時記のどれを開いても索引は最末尾に付け足しのよう。どこまでもひかえ目な、というのになぜか心惹かれます。「わたしだって赤のうち」と呼びかけているみたいで。

若山牧水は詠んでいます。

  吾木香すすきかるかや秋くさのさびしききはみ君におくらむ

俳句にも秀句は多く

  霧の中おのが身細き吾亦紅    橋本多佳子

  またしても日和くづれて吾亦紅  星野立子

  吾もまた紅なりとひそやかに   高浜虚子

  吾亦紅ぽつんぽつんと気ままなる 細見綾子


 
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蜜柑のお仲間句         愚足

2007年10月22日 | Weblog
 包丁のまえに玉置く酢橘かな        百合山羽公
 柚子ひとつ父を亡くせし掌         猪俣千代子
乳児泣きつつ金柑握り匂はしむ       加藤楸邨
 仏壇の柑子を落す鼠かな          正岡子規
 れもん熟れ鳩の輪海に偏れり        中戸川朝人

 蜜柑の香染みたる指を洗はずに       山口誓子
 仏手柑置きて手のあく机かな        手塚美佐
 ぽんかんを剥く香及びてきたりけり     八木林之助
 橙は実を垂れ時計カチカチと        中村草田男
 われが来し南の国のザボンかな       高浜虚子

※写真を大きくして見てね。 タイトルをクリック。

※おまけ・・・上の句は、秋か冬の句ですが、分けてください?
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遅足流パクリ術

2007年10月21日 | Weblog
先日の俳句教室の宿題は「木犀」
さっそく歳時記を開きます。

木犀の香にあけたての障子かな 高浜虚子

 障子をあけて木犀の香を部屋に入れる。閉じて遮断する。
 目に見えない香がイメージとして捉えられている
 表現のパターン。
 木犀の香、を、いろいろな場所に移動させてみます。

   木犀の香をテーブルに移しけり
   木犀の香を唇に移しけり

夜霧とも木犀の香の行方とも  中村汀女

   木犀の香の落ちてくる雨の中

妻あらずとおもふ木犀にほひけり 森澄雄

  ああ、今日は妻が家にいないと気づく。
  空気のような存在である妻の不在。
  すると気づいていなかった木犀の香に気づいた。
  時間の流れのなかに香を置く
  表現のパターン

  前の部分を変えてみます。

   子のたよりありて木犀にほひけり

  このほかに、

   木犀や遠くから来る雨の音
   木犀やまっすぐに立つ銀の杖
   遠くから来る性慾金木犀

  などなどを作りました。

    

でも先生に提出した句と診断は・・・
それはまた次回。










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葬式の四方山話冬に入る  朱露

2007年10月20日 | Weblog


   飲み仲間の親たちが続けて亡くなる。
   葬儀の経験談を聞かされて酒を飲む。
   死ぬ者より生きている者が無限地獄。
   そんなこたあ戦争中から知ってらあ。




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鷹 渡る             草女

2007年10月19日 | Weblog
 10月4・5日と伊良湖岬のバードウォツチングに参加。伊良湖ビューホテルの駐車場がウォツチングのポイント。
 20年くらい前に家族でサシバの渡りを見に行ったが、恋路が浜からのサシバは遠くて小さいし、強風でなかなか飛ばず見る事が出来なくて止めてしまった。
 今回は、指導者や探鳥のベテラン達がいて心強い。
 4日のお昼には到着していたが、ほとんど渡ってくれない。空を舞うトビの群れにノリスやハチクマが少しいたのみ。ベテランが言う「風が悪い。」 翌5日は、朝食もそこそこにウオッチング。待望の西風。
 サシバが大半であるがハチクマ、ミサゴ、ノスリ、チゴハヤブサも混じっている。向こうの山の上空から湧いてくる。一羽で来るもの。十数羽で来て鷹柱を作り上昇気流に乗って流れて行くもの。
 駐車場は暑かった。せめてもと観光バスの陰に入ると、エンジンがかかっていて排気ガスを吸い込むはめになる。ベテランはイスを持参している。素人はじっと立ちっ放しで見ている。歩くよりずっと疲れるが、この渡りを見逃す訳にはいかない。「東三河の野鳥たち」というHPによるとこの日渡った鷹類は1500羽以上だったそうだ。
 サシバ、クマタカは夏鳥として春にやってきて繁殖し、東南アジアに帰って越冬する。ミサゴやノスリは留鳥であるが渡りをする個体もある。
 本によると、秋の渡りの平均日数は35日。春は22日。渡るルートも
 伊良湖⇒紀伊半島⇒四国⇒九州⇒琉球列島⇒東南アジアというコースなど幾つかあるようだが、一つの団体は行きも帰りも同じルートだという。サシバくらいの大きさなら付けることが可能な機械が開発されたが、研究はまだ序の口で判っていないことが多い。
 今回の渡りを見て、こんなにも多くのタカ達がこの列島に居て、繁殖していた事に驚かされた。見かけたハチクマなどには幼鳥が多かった。
 「生きて、また帰ってきてね。」と願わずにはいられない。
 日本でも生活環境が破壊されている。越冬地の東南アジアでは更に森が伐られていることだろう。数多くのタカを見て心が弾む一方で心が痛んだ。
   鷹渡り空また広くなりにけり      斉藤始子
   朝日今岬をそめて鷹渡る        内藤敏春
  
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