575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

恋バナに妻欠伸して団扇振る   能登

2013年06月30日 | Weblog
妻が欠伸をする「恋バナ」って何?とググってみました。
恋話(こいばなし)の略、俗に、恋愛に関する話題のこと、とありました。
さらに調べたら、恋バナとして盛り上がるテーマについて。
  キュンとする異性の仕草は?
  これまでの恋愛の失敗談は?
  前の彼氏(彼女)はどんな人だった?
  前の彼氏(彼女)とは、どうして別れた?
などですって。

この奥さんにとって、恋バナなど、欠伸の種。
「あなた今頃、なにを言っているの?」
団扇を振るように、やんわりと拒否・・・。

信頼を築いてきたご夫婦の様子が見えるようです、と郁子さん。

                       遅足



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十薬の恋ひの傷なと塞(フタ)がむか   結宇

2013年06月29日 | Weblog
この恋の古傷。こんな雨の日には疼く。
十薬は万能薬、とか・・・
傷を癒してくれないだろうか?という意味合いの句ですね。

十薬は、ドクダミを乾燥したもの。
十の薬効があるとされたこと付けられた名前。
便通、利尿、解熱、解毒、化膿(かのう)止めなどに効くそうです。

近代医学の発達する以前は、植物、鉱物などが薬でした。
とく植物は薬草として利用されるものが多く、貴重なものでした。

さて、十薬は、恋の病に効いたのでしょうか?    遅足



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蛍火に遺伝子託すこの一夜     立雄

2013年06月28日 | Weblog
俳句に「遺伝子」という言葉を詠み込んだ句です。
この冒険が成功しているのか?どうか評価は分かれるかも。

以前は、生物は種の保存が一番重要であり、個は種のためにと、考えられてきました。
現代の生物学では、個は自分の遺伝子を残すことにのみ必死の努力をしているとか。
遺伝子を必死に残そうとすることによって、結果として種が存続するのでしょうか?
卵が先か鶏が先か?に似たような感じですが・・・。

そう思って句を読むと、一匹一匹の蛍の火が逞しく、一層美しく感じられます。

人間社会も遺伝子を残すことが大切のようですね。

    遺伝子をのこして優先席に着く     遅足

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古書店に晶子の恋や夏燕   遅足

2013年06月27日 | Weblog
名古屋大学の図書館の入口の巣に今年も燕が帰ってきました。
もう雛の姿はなく、親鳥と一緒に餌を探して飛んでいるようです。

恋の句。最初は、こんな句をつくりました。

  早合点してあかいあじさいとなる

恋人同士のちょっとした行き違いを詠んでみた積りですが・・・、
どうも納得できませんでした。

写生を基本にした句は出来ないものか?
と、いうかモノが具体的ではっきり見えてくる句は詠めないものか?

自分にとって、恋との距離感を表現するのに「古書店」を。
そこに「与謝野晶子の歌集」を置いてみました。
では、そこに「詩」はあるのか?さらに季語は?

締め切りが迫って時間切れ。結局、「夏燕」を取り合わせました。
どうも今いちか感じかな?

  夏燕晶子の恋を買いにけり  

の方がいいかな?           

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蝶の恋高み高みと上りゆく    佐保子

2013年06月26日 | Weblog
羽色鮮やかなアゲハチョウ。上昇気流に乗りました、と鳥野さん。

蝶が2匹。もつれるようにして飛んでいます。
わが庭でもよく見られる光景です。
一匹が高みへ上っていきます。もう一匹も後を追って・・・
やがて光のなかに消えてしまいました。

蝶たちは、光になってしまったのでしょうか?
恋の持つ高揚感が蝶に託された句です。

今朝から雨。
恋に水をさされたは蝶はどうしているのでしょう?


                      遅足



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濡れて紫陽花   鳥野

2013年06月25日 | Weblog
6月の雨に濡れて、重たげに毬の花をかかげている
紫陽花。
ほんに、紫陽花は雨にこそ、の花です。

始めは白く開き、やがて水色から淡い青に、次第に
海の青、空の青へと深みを増していきます。

 ・ 紫陽花やはなだにかはるきのふけふ  子規

はなだ、とは、縹色。花田とも言い、月草つまり、
露草で染めた青色のこと。日本書紀、延喜式、源氏
物語にも見られる色の名です。
浅縹色、中縹色、次縹色、深縹色と、微妙に区分さ
れているのも興味深い。


子規は繊細な感性で、紫陽花の色移りを捉えていま
す。
   ・ 紫陽花や滴りてなお滴りて 鳥野

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人恋ふる心に夏の陽の痛く     亜子

2013年06月25日 | Weblog
人知れず温めている恋心。夏の陽光は意地悪、と鳥野さん。
夏の陽の痛くの表現が良いと思いました、とえみさん。

この句を読んで思い出したのが「夏の日の恋」。
映画「避暑地の出来事」の主題歌。
パーシー・フェイス楽団のこの曲、今も胸の奥に。

一夏の恋。秋にはかなく消えていくのでしょうか?
そんな恋心に、夏の陽の痛く、という下句が続きます。
危ういところをすっと潜りぬけて、すぐれた詩となっています。
しかも575の定型を壊す9+8のリズム。
なかなかの技の句です。

私は熟年の恋かな?と思いました。
作者は、少女の頃の実らなかった禁断の恋だった、だとか。

                    遅足



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恋女(こいじょ)らの群れる野宮竹の秋   静荷

2013年06月24日 | Weblog
語呂が良いですね。何となく都の雰囲気と喪失感と、結宇さん。

嵯峨野の一角にある野宮(ののみや)神社。
この神社を有名にしたのが、ここを舞台にした能「野宮」。
主人公は源氏物語のヒロインの一人、六条御息所です。
光源氏に失恋し六条御息所が怨霊となって現れます。
そして、ここ野宮に、光源氏が訪ねてきた一日のことを物語るもの。
誇り高い女性の苦しい恋です。

 観覧車回れよ回れ想い出は君には一日(ひとひ)我には一世   栗木京子

六条御息所にとっては大切な一日でした。

平成の御世、野宮は縁結びの神社として恋女たちのパワー・スポットです。
静荷さんによると失恋スポットとのこと。
一帯は竹林。竹が古い葉を落としています。
時間を行き来する絵巻のような一句です。

                           遅足


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茶気ありし君の声音や若葉雨   晴代

2013年06月23日 | Weblog
茶気(ちゃき)とは、茶目気のことだそうです。
私は知らない言葉でした。
昔の恋でしょうか。茶目っ気のあったあの人。
その声が今も耳に甦ってきます。
若葉雨が青春時代を連想させます。
若葉に落ちる雨の音。
恋する人の声のように心地よかったことでしょう。

実らなかった恋。それだけに思い出はより甘美に。
茶気、という言葉が甘くなるのをそっと抑えています。

                     遅足



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恋ごころ胸に這わせて半夏生    えみ

2013年06月22日 | Weblog
恋心を胸に這わせる、とくに中七の「這わせる」が良いですね。
私は能の「定家」を思い出しました。

歌人の藤原定家は、式子内親王を愛していました。
死後も彼女を忘れられません。
葛に生まれ変わって、彼女の墓にからみついたと。
この伝説をもとに作られた能。
幽霊となった内親王の依頼によって僧が読経。
定家の煩悩は消えたかに見える結末ですが・・・

恋ごころが蔓となって胸を這っている。
切っても切っても、なお生きている恋慕。
そんな恋をちょっと突き放して見ているようにも。

半夏生は夏至から10日ほど経った日のこと。
植物の生命力も一番強い頃です。

                   遅足
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6月句会の最終結果です。     遅足

2013年06月21日 | Weblog
6月句会には雨の中、8人が出席。
ごらんのような結果となりました。
(立雄さんの選句を頂きました。)

題詠「恋」
①恋ごころ胸に這わせて半夏生(えみ)すみ
②茶気ありし君の声音や若葉雨(晴代)遅足
③恋女(こいじょ)らの群れる野宮竹の秋(静荷)結宇
④人恋ふる心に夏の陽の痛く(亜子)鳥野・佐保子・能登・えみ・遅足・郁子・晴代・静荷・立雄
⑤蝶の恋高み高みと上りゆく(佐保子)鳥野・えみ・狗子・すみ・亜子・麗子
⑥古書店に晶子の恋や夏燕(遅足)智恵・亜子・麗子・静荷・立雄
⑦蛍火に遺伝子託すこの一夜(立雄)智恵・佐保子
⑧十薬の恋ひの傷なと塞(フタ)がむか(結宇)
⑨恋バナに妻欠伸して団扇振る(能登)狗子・郁子
⑩枇杷の実の産毛の艶気君の頬(すみ)晴代
⑪風待ちの恋真っ白なワンピース(郁子)鳥野・佐保子・結宇・能登・晴代・麗子・静荷・立雄
⑫つれもなき人の心は不如帰(ホトトギス)(狗子)亜子
⑬指の先人恋しさを満たすごと(智恵)結宇・えみ・遅足・郁子
⑭夏祭り誘う電話の声とぎれ(麗子)智恵・能登・狗子

自由題  
①大雪渓掘ると山小屋出でにけり(能登)麗子・静荷
②積ん読の書手に重き梅雨の窓(結宇)智恵・遅足・郁子・晴代・麗子・立雄
③天気図に傷ひとつなき梅雨晴れ間(遅足)鳥野・佐保子・えみ・狗子・すみ・静荷・立雄
④遺句集てふ文字のかなしも桐の花(静荷)鳥野・佐保子・結宇
⑤小説のような再会祭の夜(亜子)能登・狗子・晴代
⑥薔薇園に欧羅巴の香風渡る(佐保子)智恵・えみ・すみ・郁子
⑦父の日や鏡に向かう無精髭(立雄)智恵・鳥野・結宇・えみ・晴代・麗子
⑧ほほ笑みの翳深まりぬ梅雨の奈良(晴代)佐保子・亜子
⑨うなだれるアジサイの花空の色(すみ)
⑩蜘蛛の巣に誓った愛がからみつく(えみ)遅足・亜子・すみ
⑪秒読みの狙う眼のあり木下闇(郁子)結宇・能登・狗子・亜子
⑫今年またお化け屋敷の夜店かな(狗子)遅足・郁子
⑬仕舞いかけやはりと戻す布団かな(智恵)
⑭木下闇どくだみの星輝けり(麗子)能登・静荷・立雄

雨は今朝も降っています。しかし水がめを満たすには不十分とのこと。
適当に降って、時々、は晴れてほしいものですが・・・

次回は7月17日(水)午後1時   東鮨

題詠は「夕焼け」です。
夕焼けというと、つるべ落としや赤とんぼを連想します。
秋の季語かと思いますが、これが夏の季語なんですね。
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恋句会   麗

2013年06月20日 | Weblog
降りしきる雨の中、東鮨のお庭にはくちなしの花が咲いていました。
初恋、片恋、大人の恋。皆さん色々思い出しながらの俳句作りとなったようです。
恒例の一言講評を。

1,「胸に這わせて」が賛否別れました。半夏生を植物と見るとまた違った大人の恋?
2,茶気のある君の声。若葉雨に似合いますが実らなかった恋?決して邪気ではありません。
3,野宮は嵯峨野の神社。源氏物語を土台にした静荷さんの句。パワースポットだそうです。
4,トップ賞。亜子さん、さすがです。「夏の陽の痛く」が大人の恋を連想させます。
5,高みに上りゆくのは蝶ではなく作者?旦那さんの遅足さんの気持ちは複雑です。
6,「夏燕」がぴったり合います。遅足さんの新たな挑戦句。
7,「遺伝子」がやや重いという声あり。この一夜に託したのは作者?
8,恋の傷は十薬でも治せない。「塞がむか」がやや難しい?
9,「恋バナ」は恋の話のこと。若者言葉ですが575の会では市民権はまだないようです。
10,産毛の持ち主は少年か少女かと推理。少女ということでしたが間近で見る視線が熱いですね。
11,初恋の句。6月のことを風待月というそうです。風を待つ真っ白なワンピース。乙女心満開。
12,つれない人の心。新古今和歌集からの本歌どりの句。ホトトギス派も乱入?
13,なんと「指の先」はスマホを操る指でした。そこまで読み切れず、ごめんなさい。
14,電話口の緊張は昭和の恋です。失恋の句です。


さまざまな恋が乱舞しました。遠い記憶をたぐり寄せて、あるいは現在進行形の方も?
気持ちが若返った句会でした(笑)

来月は「夕焼け」。郷愁さそう句がそろいそうですね。





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恋の句が集まりました。     遅足

2013年06月19日 | Weblog
名古屋は朝から雨が降ったり止んだり。
今回の梅雨前線は北から南へ。珍しい展開です。

今回の題詠は「恋」。私には難しかったです。
読んでいくと、改めて、いろいろな恋があることに気づきました。


題詠「恋」
①恋ごころ胸に這わせて半夏生
②茶気ありし君の声音や若葉雨
③恋女(こいじょ)らの群れる野宮竹の秋
④人恋ふる心に夏の陽の痛く
⑤蝶の恋高み高みと上りゆく
⑥古書店に晶子の恋や夏燕
⑦蛍火に遺伝子託すこの一夜
⑧十薬の恋ひの傷なと塞(フタ)がむか
⑨恋バナに妻欠伸して団扇振る
⑩枇杷の実の産毛の艶気君の頬
⑪風待ちの恋真っ白なワンピース
⑫つれもなき人の心は不如帰(ホトトギス)
⑬指の先人恋しさを満たすごと
⑭夏祭り誘う電話の声とぎれ
 
自由題  
①大雪渓掘ると山小屋出でにけり
②積ん読の書手に重き梅雨の窓
③天気図に傷ひとつなき梅雨晴れ間
④遺句集てふ文字のかなしも桐の花
⑤小説のような再会祭の夜
⑥薔薇園に欧羅巴の香風渡る
⑦父の日や鏡に向かう無精髭
⑧ほほ笑みの翳深まりぬ梅雨の奈良
⑨うなだれるアジサイの花空の色
⑩蜘蛛の巣に誓った愛がからみつく
⑪秒読みの狙う眼のあり木下闇
⑫今年またお化け屋敷の夜店かな
⑬仕舞いかけやはりと戻す布団かな
⑭木下闇どくだみの星輝けり

句会では、どんな結果が待っているのでしょうか?
また、どんな読み方がされるのか?楽しみです。

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宗匠、中日歌壇へ   鳥野

2013年06月18日 | Weblog
中日歌壇への松田宗匠、久しぶりのお目見えです。

 ・ したかに水打たれたる烏賊の目の昏きを人の
   流るる市場

小島ゆかりの評。「烏賊の目の昏さに迫力がある。
静かなうねりのあるリズムも魅力的」

 そこは、函館でも八戸でもない都会の市場。否応
 もなく、水を打たれねばならぬ。烏賊の目の色は
 鈍く、それさえも見過ごしにして流れる人びと。
 命の鬩ぎ合いはもう、見られないないのでしょう
 か。「そして」とその後をお尋ねしたいものです。
 

 
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恋仲のハマヒルガオの顔ふたつ   遅足

2013年06月17日 | Weblog
京都からの帰り道、琵琶湖大橋の東にある「なぎさ公園」に立ち寄ってみました。
ハマヒルガオの群生地であり、丁度、花の咲く頃とガイドブックに。

とくに案内もなく、なかなか見つかりません。
地元の人に聞いて、やっとたどり着きました。
写真では一面の花盛りですが、時期が遅かったのか・・・
あちこちにポツリ・ポツリといった状態でした。

案内板には、ハマヒルガオは海浜性の植物。
淡水の琵琶湖に自生するのは珍しく貴重な存在とあります。
琵琶湖は大昔には海とつながっており、一部が、そのまま生き残ったとか。
かわいらしい花でしょう。
命の力を実感するひと時でした。

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