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南洋編 5 ~船舶工兵隊~

2010年06月24日 | 人生航海
各部隊が上陸したのち、付近一帯の海には、前日の海戦で敗れて沈没した敵艦の乗組員達が、静かな海上で白旗を振っていた。

また救命筏、板切れや浮流物等に掴まって泳ぐ者達も多く、なかにはゴムボートに乗った者達も助けを求めて手を振る者もいた。

しかし、勝手には救助は出来なかった。

戦闘が完全の終わった後に、海軍が、全員を救助して捕虜として収容したとの事である。

因みにインドネシアでのスラバヤ沖海戦にて、敵艦(連合国ABDA艦隊=アメリカ、イギリス、オランダ、オーストラリア)海軍に与えた損害は、巡洋艦轟沈3隻、大破又は撃沈4隻、駆逐艦撃沈6隻で計13隻をジャワ海に葬ったのである。

この結果、当時のオランダ領ジャワ島での資源確保と占領という所期の目的を遂げることになったのである。

この敵前上陸を振り返ると、忘れてならないのは・・船舶工兵隊の活躍である。

隠れ場所もない砂浜で敵機の機銃掃射を受けながらも、大発艇や小発艇で武器弾薬、そして兵隊を乗せて、運輸船団と海岸の間を何度となく往復したのである。

必死の覚悟で操船して、如何に国の為とは言え、船舶工兵隊の活躍は大変であったと・・あの当時の事を思い出す。

上陸作戦が終わって見ると、上陸地点に敵兵が居なかった事が幸いだった。

もしも、上陸地点に敵のトーチカや砲撃陣地があって、一斉射撃を受けているならば、もっと多くの死傷者や犠牲者が出た事であろう。

その後、上陸地点に多くの揚げ荷が残されて、その仕分けや輸送や整理が、私達の任務であった。

その間にも、船舶工兵隊は、すぐにスラバヤに向かっていたのである。