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軍属時代 14 ~纏足(てんそく)~

2010年06月05日 | 人生航海
中支(揚子江地域)において、既に二年が過ぎていた。

少しは中国語も話せるようになっていたので、街に出ても買い物ぐらいは何の不自由もしなかった。

安慶の街は、日本人の店や映画館も多くて、九江の街以上に日本人の商店が多くあって賑やかだった。

当時、上原謙と田中絹代主演の「愛染かつら」や長谷川一夫、李香蘭の映画も見ることが出来た。

言葉も少々話せたので、親しい姑娘(クーニャン)も出来て、自然にいろんな会話が出来て楽しかった。

そのうちに冗談も出るようになると、現地での珍しい話を聞いたり、日本語等も教えていたのである。

そのなかに一際目立つ可愛いクーニャンと自然と話す機会も出来て、そのうち親しくなって、いつも遊びに来るようになった。

毎日が楽しかったが、戦時中のこと故に言動には特に注意しながら気を使い過ごして、軍部に関しての会話は、当然出来なかった。

そんな事とは別に、中国では「纏足」と言って、女性は、生後間もない頃に小さな足型を嵌められたらしい。

足を大きくしない様にした為、成人女性でも4~5歳ぐらいの小さな足で歩くのである。

私は、ヨチヨチ歩きの中年女性と中国の各地において出会ったことがある。

それもお国柄の違いで、私たちには不思議に思う他はない。

昔、この中国では一夫多妻時代があって、富豪者達が何人も美人を金で買い、妻にして逃げられないようにするため、小さい時に足型を嵌める習慣を作ったらしい。

そして、いつしか足が小さい女性ほど美人だと行った時代があったのも事実らしい。

しかし、現地で若い姑娘(クーニャン)達に、その話を聞いても「そんな事は知らない」と笑うだけだった。