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「天明年中叓」を読む 45

(セイタカアワダチソウの花もまだ緑/9月27日撮影)

大代川の土手、クズ、ススキ、イタドリなどに混じって、セイタカアワダチソウも背を伸ばして、花芽を出し始めた。けれどもまだ花芽は緑である。

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「天明年中叓」の解読を続ける。「申し渡し覚え」の項の続き。

            天野山城守支配
              松本伊勢守
その方儀、御勘定奉行勤役中、御買米御用、軽(かろ)き者壱人へ申し付け候儀、先格の儀、二月、石田義右衛門、越後国米御買上御用のため、かの地へ相越し、追々米買候内、同七月、関東筋出水にて、なおまた御買上の儀、河野庄右衛門、武州白幡村義右衛門へ、内々申し談じ、飛脚問屋孫兵衛外弐人、引き請け、仙台米御蔵納致すべき旨、申し立て、内々取調べ候処、同八月、義右衛門越後表より罷り帰り、御買上米追々積み立て候えども、御蔵納の上、凡そ三千両ほども、換金相立て候の趣、申し候に付、仙台米、金壱両に付、壱石七斗替え、相積み置き、平均壱石替えに申し付け、右借り米を以って立用(りゅうよう)致し、損金償(つぐな)うべくと存じ、買替米壱万石余の分へ、越後国御代官役所より、義右衛門請け取り置き候残り金の内、五千五百両、その方並び義右衛門宅に於いて、両度に相渡し、別段三万五千石は、同十月十二日、赤井豊前守宅にて申し渡し、御前貸金弐万両相渡し、右借用
(この部分に落丁がある)
※ 出水(しゅっすい)➜ 洪水で水があふれること。
※ 立用(りゅうよう)➜ ある用に立てることの意。


(以下4行は別の申し渡しのようだ)
娘両人召し連れ、夜中裏城(木)戸を明け、忍び出候間、相違の儀申し立て候段、不埒の至りに候。これにより、押し込み仰せ付けられ候。
   右今晩、評定所において、大目付牧野大隅守申し渡し、
   町奉行山村信濃守、御目付井上助之丞立ち会い。

          松平内蔵頭家来
            渡邊系助忰
              渡辺定助
その方儀、杢左衛門へ応対の節、殺害致し候の段、もっとも至極と挨拶これ有り候えども、その方、卒忽(そっこつ)の仕形(しかた)に拘わらざる候段は、自得致し罷り在り候上は、何れにも用にて罷り通り候旨、承り候は、主人へ引き合わせ、御用の様子承り糺し、取り計らい方もこれ有るべきの処、これ無き儀、御用にて罷り通り候由、承りながら、徳次儀殺害致し候段、卒忽の至り、不届きに付、重追放申し付け候。
※ 卒忽(そっこつ)➜ 粗忽。軽はずみなこと。軽率。
※ 自得(じとく)➜ 自分の力で悟ること。自分自身で理解し、会得すること。


   御構え国
武蔵、相模、上野、下野、安房、上総、常陸、山城、摂津、和泉、紀伊、肥前、甲斐、駿河、河内、備前、備中、東海道筋、木曽路筋。
※ 御構え国(れい)➜ 重追放で足を踏み入れてはならない国。

(「申し渡し覚え」の項つづく)
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