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「壺石文」 下 17 (旧)二月朔日(つづき)~

(大代川の小魚の群れ立つ波)

夕方の散歩道、大代川の橋の上から、川面に小魚が群れ集って波立つところが2ヶ所見えた。写真にアップして撮ってみれば魚影も見えるかと思ったが、無理であった。波立ちは5分ほどで消えた。どんな魚の何の習性なのだろう。

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「壺石文 下」の解読を続ける。

手づから写して、秘め置きたりけん、古今歌集をと取(と)う出て、片端ずつ問いもてゆく序でに、てにをはという事の意は如何にか侍ると言えば、己れ答えけらく、こは先達方も心々に解かれたるなりけり。さりけれど、何れも何れも肯(うべな)い難き。時毎にて侍り。菅雄、心を潜めて、年頃に(かうが)得たりと思う一節(ひとふし)、なきにしもあらざりけれど、このことよ、ふつに問う人もなかりければ、今始めて説き侍るになん。
※ 手づから(てづから)- 自分自身で。みずから。
※ 古今歌集 - 古今和歌集のことか?
※ 先達(せんだつ)- 他の人より先にその分野に進み、業績・経験を積んで他を導くこと。また、その人。
※ 考う(かうがう)- 習慣や暦・先例などに照らして事を定める。判断する。
※ ふつに - 絶えて。全く。


「て」は経(タテ)のつゞめ、「に」は緯(ヌキ)のつゞめ、「を」は終(ヲハリ)、「は」は始(ハジメ)の義(ココロ)ならんかと見ゆめり。今様の押し並べての俗説(サトビゴト)にも、万の事に首(ハジメ)尾(ヲハリ)の整わざる事を、てにはの合わぬと云うもこの意なるべし。しかあれば、歌文章の上のみにいう言にもあらざめりと覚ゆ、など猥り過ぎがわしう、答(いら)えすれば、
※ つゞめ(約め)- 短くしたもの。縮めたもの。
※ さとびごと(俚び言)- 世俗の言葉。俚言。俗言。
※ てにはの合わぬ - 助詞の使い方が適切でなく、文がおかしいさま。転じて、文章能力が低い、話のつじつまが合わないことなどを意味する。


しばし丸頭(まろがしら)を傾(かたぶ)け、躊躇(ためら)いて、うべ/\、知る侍らん/\。仏の経文の経も、聖人の経書の経も、経(たて)(ぬき)の義(ココロ)なめり。されば万の事、経緯始終(たてぬきはじめおわり)こそ大事なれ。こは動(うご)くまじき説(トキゴト)なりと、手を打ちて、愛(め)でののしりければ、
※ 丸頭(まろがしら)- 坊主頭。
※ うべ/\(宜宜)- なるほど、なるほど。


   色香知る 人を相見て 言の葉の
        初花開く 春の嬉しさ
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