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江戸繁昌記初篇 35 書画会 2

(散歩道も実りの秋)

午後、「古文書に親しむ」講座に出席する。

「江戸繁昌記初篇」の解読を続ける。

一様(普通)、未だ会せざるの間、先生鶏起孜々奔走、これ高門縣薄、敢て往かざるはなし。また内熱の恐れを省かず。当日先生、儀装曲拳儼然として上頭に坐す。
※ 会せざる - 会が始まらない。
※ 鶏起(けいき)- 早起き。
※ 孜々(しし)- 熱心に努め励むさま。
※ 高門縣薄(こうもんけんはく)-「高門」は、富貴の家。「縣薄」は、田舎の卑賤な者。(「高門県薄無不走也」〔荘子・達生〕)
※ 内熱(ないねつ)- 体内にこもって抜けない熱。(気分が高揚することをいうか)
※ 儀装(ぎそう)- 儀式のための装飾・設備。ここでは正装すること。
※ 曲拳(きょくけん)- にぎりこぶし。
※ 儼然(げんぜん)- おごそかで近寄り難いさま。
※ 上頭(じょうとう)- ここでは、上坐のこと。


坐後、闌(てすり)を施し、案(机)を居(す)え、計人(番頭)二位(二人)筆を簪して、簿を守る。乃(すなわ)ち、賓主の相する、恰(あたか)賀客の、年を典舗頭に拜するが如し。剣を掌(つかさ)どる者有り。飯を管する者有り。酒監茶令。手を並べて、職に在り。客漸く麇至す。主人左に接し、右に応じ、その寿金(御祝儀)を拜する。推譲(いとま)あらず。豈に献酬に遑(いとま)あらんや。
※ 筆を簪(かんざ)して - 筆を頭にさして。(「簪筆」は、小役人になることをいう)
※ 賓主(ひんしゅ)- 客と主人。主客。
※ 揖(ゆう)- 両手を胸の前で組み合わせて礼をする。
※ 賀客(がかく)- 年賀の客。
※ 典舗頭(てんぽとう)- 質屋の店頭、店先。
※ 酒監(しゅかん)- 酒宴の監督するもの。
※ 茶令(ちゃれい)- お茶を命令するもの。
※ 麋至 -「麇至」の間違い。「麇至(くんし)」は、「群がり至る」の意。
※ 推譲(すいじょう)- 人を推薦し、自らは退くこと。
※ 献酬(けんしゅう)- 杯をやりとりすること。酒を飲み交わすこと。


客互いに主と為り、盃を挙げて相属す。名妓数名を聘しに充(あ)て、酒を佐(たす)く。調弄紛謔絲竹管絃の娯(たのし)み無きも、一笑一盃、また以って醉狂を発するに足る。
※ 相属す(あいぞくす)- つながる。
※ 聘す(しょうす)- 召す。
※ 儐(ひん)- 主人を助けて客を導く人。
※ 調弄(ちょうろう)- からかいなぶること。
※ 紛謔(ふんぎゃく)- 乱れ戯れること。
※ 絲竹管絃(しちくかんげん)- 琴・三味線や笛・笙などの音曲。
※ 一笑一盃(いっしょういっぱい)- 盃を交して笑い合うこと。
※ 醉狂(すいきょう)- 物好きなさま。好奇心から風変わりなことをするさま。
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