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四国邊路道指南 3 4番大日寺、5番地蔵寺、6番安楽寺、7番十楽寺、8番熊谷寺

(7番十楽寺山門 2012.4.7撮影)

朝一番で、会社のK氏から、Y氏のお父さんが亡くなられたとの訃報があった。葬式は掛川で午前9時半という。大急ぎで支度して葬儀に駆け付けた。92歳、昨年の暑い夏、熱中症で倒れてから、具合が悪かったらしい。

午後、掛川古文書講座に出席した。課題は先月に続いて、「延享四年道中御触れ書」である。明日から3回に分けて、その解読文を読み下して示す予定である。

 
(四番大日寺の御影と納経印)

一 四番大日寺、また黒谷寺ともいう。後ろ左右、山、南向き、板野郡黒谷村。
(御本尊の絵)座像長壱尺五寸、本尊大日、作者知らず。

詠歌  眺むれば 月白妙の 夜半なれや
      ただ黒谷に 墨染めの袖

※ 白妙(しろたえ)- 白。白い色。月光に照らされた様子をいう。
※ 夜半(よわ)- よる。よなか。


これより地蔵寺まで十八町。


 
(五番地蔵寺の御影と納経印)

一 五番地蔵寺、後ろ右、山、南向き、前に蓮池、中に弁財天の社あり。板野郡矢武村。
(御本尊の絵)坐長壱尺七寸、本尊地蔵、作者知らず。

詠歌  六道の 能化の地蔵 大菩薩
      導きたまえ この世後の世

※ 能化(のうけ)-(仏)仏教の教えを説き、人々を正しい教えに転向させる人。ここでは地蔵菩薩。
※ 後の世 - 死後。また,死後の世界。来世。あの世。


この寺、妙薬あり。参詣の輩、受けらるべし。世俗、万病円と名付く。安楽寺まで一里。○神宅(かんやけ)村。○七條村。○引野村。
※ 万病円(まんびょうえん)- 江戸時代にあった、万病に効果があるという丸薬。


 
(六番安楽寺の御影と納経印)

一 六番安楽寺、また瑞運寺ともいう。板野郡引野村。
※ 瑞運寺-兵火で焼けた安楽寺は万治年間(1658 - 1661)に駅路寺であった瑞運寺を併合して現在地に再建される。
(御本尊の絵)

詠歌  仮の世に 知行争う 無益(むやく)なり
      安楽国の 守護を望めよ
※ 知行争う - 安楽寺は天正年間(1658 - 1661)に長宗我部元親の兵火により焼失した。

十楽寺まで拾丁。○高尾村。


 
(七番十楽寺の御影と納経印)


一 七番十楽寺、後ろは山、堂は南向き、板野郡高尾村。
(御本尊の絵)坐長二尺、本尊弥陀、作者知らず。

詠歌  人間の 八苦を早く 離れなば
      到らん方は 九品十楽

※ 八苦(はっく)-(仏)生・老・病・死の四苦に,愛別離苦・怨憎会苦・求不得苦・五陰盛苦を加えた八つの苦しみ。
※ 九品(くほん)-(仏)浄土へ往生する者が,生前の性質やおこないによって受ける九つの段階。上品・中品・下品の三品をさらに上中下で三分する。
※ 十楽(じゅうらく)-(仏)極楽浄土で味わえる十種の喜びをいう。7番の寺名。


熊谷まで壱里、野原なり。○原田村。○土成(どなり)村。


 
(八番熊谷寺の御影と納経印)

一 八番熊谷寺、後ろ左右は山、堂南向き、阿波郡土成村。
(御本尊の絵)立長六尺、本尊千手、作者知らず。

詠歌  薪とり 水くま(熊)谷の 寺に来て
      難行するも 後の世のため


法輪寺まで十八町。
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